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2013年《产经新闻》社论中的中国主题汇集
( 来源:  发布日期:2013-01-05 阅读:次)

苏浩(研三)  2012年1月5日

1、1月3日【主張】TPPと成長 震災復興の起爆剤とせよ したたかな交渉力こそ磨け
 大震災の痛手から一刻も早く立ち直り、この国の経済を成長軌道へと戻す。これこそが今、日本が官民を挙げて取り組むべき最大のテーマである。
 そのためにも、債務危機に揺れる欧米を尻目に成長を続けるアジア太平洋地域のパワーの取り込みは、死活的に重要な意味を持つ。昨年11月、野田佳彦首相が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への交渉参加を正式に表明したのは当然の決断だった。
 ◆構造改革進める好機に
 だが、問題は、交渉で何を獲得目標とし、それを国益にどうつなげるのか、その具体論や明確な方向性が、野田首相から、いまだに示されていないことである。
 資源に乏しい日本が、貿易立国として世界の競争市場で生き残っていく上で、アジア太平洋地域の核を成す貿易共同体の構築に背を向ける選択自体、あり得ない。
 TPP交渉は今月中にも、米国や豪州など先行参加9カ国と日本の間で、参加承認を得るための個別事前協議が始まる。
 国益が懸かる交渉には、なによりも国民の広範な支持取り付けが欠かせない。首相はTPP参加の具体的な意義について、分かりやすく繰り返して国民に語り、理解と協力を得る必要があろう。
 20年来のデフレと低成長が続く中で、欧州債務危機をきっかけにした超円高が製造業の海外移転を加速し、産業の空洞化は深刻化している。TPPへの参加は、関税撤廃など交易条件の改善をもたらす。中長期的には、こうした空洞化の回避にもつながるはずだ。
内閣府の試算では、関税撤廃だけで実質国内総生産(GDP)を最大で3・2兆円、0・65%押し上げる効果がある。流通や通信などサービス分野のルールが共通化され、ヒト、モノ、カネの国境を越えた動きが活発になれば、さらなる相乗効果が期待できる。
 念頭に置くべきは、TPP参加は震災からの復興も加速するという視点である。
 岩手、宮城、福島の被災地には精密機械部品製造など世界市場で通用する高い技術力を持つ中小企業が少なくない。TPPは、そうした潜在的世界企業が海外に進出しやすい環境をもたらす。
 TPP参加で、被災地の漁業や農業は深刻な打撃を受けるとする見方もあるが、逆だ。むしろ、日本の1次産業再生に向けた構造改革を進める好機にすべきだ。
 生産規模が小さい農家が多く、高齢化と担い手不足が続く日本農業は、農政の無策もあって衰退の一途だ。このままでは、TPP以前の問題として早晩、存亡の危機に立たされかねない。交渉参加を機に農地の集約化で生産性を高め、国際競争力をつけることが急がれる。それこそが、将来世代につなぐ震災対策にもなる。
 宮城県は復興特区の指定による規制緩和で、企業にも漁業権の取得を認める構想を描く。海水に浸った農地の塩分を抜き、耕作地として再生させるにも企業農業の出番が求められている。
 ◆中国取り込む役割担え
 TPP慎重論には、米国主導で進む経済圏構想を警戒する中国への配慮もうかがえる。まずは、中国が積極的な東南アジア諸国連合(ASEAN)に日中韓を加えた経済連携協定(EPA)を優先すべしという考え方である。
 だが、日本の成長には、どちらも必要な枠組みだ。双方をバランスよく組み合わせ、最終的に、より広域な経済取り決め構想であるアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)へと進める。それこそが日本が担うべき役割だろう。
 事実、日本がTPP交渉への参加を表明したことで、メキシコやカナダが参加意欲を表明した。中国も、日本との個別EPA締結に前向きな姿勢を示し始めている。独善的な行動が目立つ中国を国際的な貿易ルールに組み込むためにも、TPPを推進する意味は大きい。実質的な日米同盟の強化にもつながる。
 1980年代から90年代に激しかった貿易摩擦を背景にした日米構造協議などを例に「日本はまた米国の要求を押しつけられる」とする懸念も聞かれるが、そもそも交渉とは、自国の利益を実現するために行うものだ。
 野田首相はTPP参加にあたり「勝ち取るべきものは勝ち取る」という決意を披瀝(ひれき)した。その言葉通り、したたかな外交交渉力こそが政府には求められている。

2、1月10日【産経抄】
 「折檻(せっかん)」という言葉から、どんなイメージが浮かぶだろうか。年配の人なら子供のころ、ひどいいたずらをして親に閉じ込められた押し入れの暗さを思い出すかもしれない。最近では、児童虐待事件を起こした親の言い訳としても使われる。
 ▼上野恵司さんの『ことばの散歩道III』(白帝社)によれば、「折檻」にはこんな故事がある。漢の成帝の時代、帝の師だった張禹が重用され、政治が乱れていた。それを嘆いた朱雲が成帝に、張禹の首をはねるよう諫言(かんげん)する。
 ▼成帝は怒り、役人は朱雲を引き立てていこうとするが、朱雲は欄檻(らんかん)にしがみついて離れない。ついに欄檻が折れた。そこから、家臣が君主を厳しく諫(いさ)めることをいうようになった。「爽やかな忠臣のふるまいが、陰湿なダメおやじのいじめに矮小(わいしょう)化されてしまった」と上野さんは言葉の誤用を嘆く。
 ▼本来の意味で、社員がトップに「折檻」できる企業文化が浸透していれば、オリンパスの損失隠しや大王製紙前会長の巨額借り入れなどの事件は、起こらずにすんだはずだ。成帝は結局、朱雲を許しただけでなく、忠臣を表彰するために、折れた欄檻をそのまま残すように命じた。
 ▼一方、オリンパスのやったことはまったく逆だった。別の不正行為をめぐって内部通報した社員を、不当に配置転換し「屈辱的な嫌がらせ」を続けたとして、昨年8月に東京高裁から賠償を命じる判決を受けている。
 ▼そのオリンパスは、損失隠しに関わった菊川剛前社長ら新旧経営陣に対して、損害賠償を求めて提訴した。提訴のくわしい内容はきょう発表されるが、賠償額は数十億円にのぼるという。古代中国人の知恵を忘れた報いは、過酷なものになりそうだ。

3、1月11日【主張】大使館に火炎瓶 犯人の中国人引き渡しを
 韓国・ソウルの日本大使館に火炎瓶が投げ込まれた。館員らにケガはなかったが、建物外壁などの一部が焦げた。実行犯の中国人男性は身柄を拘束されたものの、日本の主権が及ぶ在外公館がここまで危害を加えられたのは、韓国警備当局の重大な失態である。
 韓国外交通商省の第1事務次官が武藤正敏駐韓日本大使に電話で「遺憾の意」を伝え、大使は大使館が被害を受けたことを「遺憾」とし、再発防止を求めたというが、これでは不十分だ。
 日本側としては、外務省が駐日韓国大使を呼んで厳重に抗議すべきではないか。国際法に基づき公館の安寧に責任を負っている韓国側の対応に問題はなかったのか、ただすべきだろう。
 中国人男性は韓国捜査当局の調べに対し、先月26日早朝、東京の靖国神社の門が放火された事件についても「自分がやった」と供述している。確信犯とみられる。
 韓国で事件の捜査、処理がひと通り終わりしだい、日本は中国人男性の身柄引き渡しを求め、靖国神社の事件について改めて調べるべきだ。韓国が中国に配慮し、中国人男性の日本への引き渡しを拒むようなことがあれば、日韓関係の悪化は避けられない。
靖国神社の事件は神社側も確認している。午前4時すぎ、神門の一部が焼け、警備員が消火器で消し止めた。境内の防犯カメラに黒ずくめの男が神門に液体をまいて火を付ける様子が写っており、この男が日本大使館に火炎瓶を投げた中国人である疑いが強い。
 中国人男性は犯行動機を「母方の祖母が韓国人の従軍慰安婦で日本に恨みがあった」「野田佳彦首相の慰安婦問題に関する無責任な発言に腹が立った」と供述し、日本人女性と一緒に韓国に入国したことも判明している。
 韓国の捜査当局にも、中国人男性の背後関係などを含め、徹底した取り調べを求めたい。
 ソウルの日本大使館前に先月、慰安婦の碑が設置された。その後の日韓首脳会談で、李明博大統領が「日本の誠意ある措置がなければ、第2、第3の像が建つ」と恫喝(どうかつ)に近い発言をしたのに対し、野田首相は撤去要請しつつも、「誠に残念」と述べるにとどめた。
 この対応も不十分だった。慰安婦の碑は日本国の尊厳を著しく傷つけるものだ。日本は繰り返し撤去を求めるべきである。
石原知事「あいつら日本人じゃない」 全閣僚靖国参拝見送りに

4、1月15日【主張】馬英九総統再選 日米との連携強化を望む
 台湾の総統・立法委員(国会議員)同日選挙で、馬英九総統(中国国民党主席)が最大野党、民主進歩党(民進党)の蔡英文候補を破り、再選された。世界金融危機からの早期経済回復や対中関係改善などの実績が、相応の支持を得た。
 だが、馬政権4年間の中台急接近には、中国の台湾併合につながるとの内外の懸念も強い。2期目は「民主台湾」の現状を守り、日米との連携をより強化するよう望みたい。
 馬英九氏は2008年総統選では、民進党の謝長廷候補に220万票もの大差をつけ当選した。その票差は今回、かなり縮小した。国民党と協力関係にあった親民党の宋楚瑜主席が出馬したこともあったとはいえ、台湾選挙民の幅広い支持を得たとは言い難い。
 最大の原因は、馬総統の親中路線が行き過ぎ、中国が目指す台湾統一(併合)の動きを加速すると台湾住民が案じた点にある。大多数の民意は対中関係の安定と同時に、事実上の独立状態にある「民主台湾」を維持することだ。
 馬総統も、中国とは、「統一せず、独立せず、戦争せず」という現状維持政策を掲げて、経済を中心に交流を拡大してきた。しかし、今回の選挙戦では、「中国は一つ」との前提の下で「中国と平和協定を結ぶ」考えを表明して、支持率の急落を招いた。
 中国にとっての平和協定とは、前世紀前半からの中国大陸での共産党と国民党の内戦を終結し、双方が将来の中台統一に合意することを意味する。平和協定という名目の政治協定である。
 馬総統はその後、「協定締結の可否は住民投票で決める」と発言を修正したものの、選挙民は「終局的な中台統一」を否定しない同総統への不安感をぬぐえない。
 台湾海峡の平和と安定を維持することは、日米韓をはじめとする周辺国にとっても極めて重要だ。そのためには、海洋覇権を求めて急速な軍拡を続ける中国に対し、アジア太平洋地域の民主主義諸国・地域が政治、安全保障面での連携を強めることが不可欠だ。
 一方、中国は中台統一で海洋覇権確立の突破口を開こうとしている。そうなれば、日本は尖閣諸島など東シナ海の領土や領海の維持も危うくなる。馬英九政権に日米同盟との一層の関係強化を期待するとともに、日米もそのためにより積極的に努力してほしい。

5、1月16日【産経抄】
 平成6(1994)年に『週刊朝日』誌上で行われた台湾の李登輝総統(当時)と司馬遼太郎の対談は、台湾で大きな反響を呼んだ。中国政府に与えた衝撃はもっと大きかった。
 ▼「台湾人に生まれた悲哀」と題された対談のなかで、江沢民主席(当時)が特に問題にしたのは、李氏が旧約聖書の「出エジプト記」を話題にした部分だったという。エジプトで苦難にあえぐユダヤ人を預言者モーゼが連れ出し、約束の地に導くという物語である。
 ▼中国政府は、台湾独立への決意表明と解釈したようだ。ただし「約束の地」を自由と民主主義が保障された社会を指す、との見方もある。李氏は対談から2年後、台湾はもちろん中国数千年の歴史で初めての、民意で選ばれた最高指導者となった。
 ▼以来5回目の直接選挙となる総統選では、李氏が推した民進党の蔡英文主席は、あと一歩で及ばなかった。再選された中国国民党の馬英九総統のもとで、台湾の中国化が一段と進むのか。国際社会の関心はますます高まりそうだ。
 ▼中国は96年の総統選前には、大規模なミサイル演習を行って、台湾の有権者を威嚇した。今回はそんな暴挙には出なかったものの、中国でビジネスを行う台湾企業に圧力をかけるなど、水面下での干渉は公然の秘密だった。台湾の民主化を主導してきた李氏は、「約束の地」への道程の厳しさを改めてかみしめているのかもしれない。
 ▼それでも「台湾人」は、多くの中国人が自分たちの選挙を羨望の目で見ているのを知っており、誇りに思っているはずだ。中国政府が恐れているのは、台湾独立派の政権奪取よりむしろ、「中国人に生まれた悲哀」に人々が気づき始めることではないか。

6、【産経抄】
1月28日
2012.1.28 03:25 [産経抄]
 視聴率がいまひとつのNHK大河ドラマ「平清盛」は、学芸会レベルだった去年の戦国紙芝居よりましだが、兵庫県知事が記者会見で吐く罵詈(ばり)雑言の方が面白い。曰(いわ)く、「画面が汚い」「瀬戸内の真っ青な海の色が出ていない」などなど。

 ▼清盛は神戸に福原京をつくった兵庫県にゆかりの深い人物だ。ドラマで名所をきれいに撮ってもらい、観光客を増やそうという魂胆がはずれたのだろうが、ならば中国のようにプロパガンダ(宣伝)映画でもつくったらどうだろう。

 ▼言論の自由がない中国では、映画はいまだに国民を洗脳する重要な手段だ。北京五輪開会式で、9歳の少女に口パクで歌わせた張芸謀監督の新作「金陵十三釵」は、昭和12年の南京事件を題材に、「立派な中国人、残虐な日本人」という嘘を観客に刷り込もうというひどい代物だ。

 ▼中国史上最高の約72億円を投じた「金陵」は、昨年末にかの地で公開され、大ヒットしている。教会に逃げ込んだ13人の娼婦(しょうふ)らが、女子学生の身代わりに南京を占領した日本軍のパーティーに出向いて慰安婦になるという筋だが、でたらめにもほどがある。

 ▼怖いモノ見たさでDVDを入手した友人に見せてもらったが、映画人の良心のかけらも感じられなかった。張監督は、米アカデミー賞狙いでクリスチャン・ベールを主役にしたらしいが、酷評されて候補にも残らなかった。

 ▼それでも中国では、映画に興奮した有名歌手が、ミニブログで日本人を罵倒する騒ぎになっている。映画だからと放っておけば、嘘が独り歩きしてしまう。在中国大使には、兵庫県知事ばりに文句をいってもらわねばならぬ。パンダと日中友好だけでは、なめられるだけですよ、丹羽さん。

7、【主張】
離島に命名 尖閣諸島の有人化を急げ
2012.2.2 04:05 (1/2ページ)[主張]
 沖縄・尖閣諸島をはじめ日本周辺に点在する39の無名の離島について、政府は年度内に名称を決め、国土地理院の地図に掲載する方針だ。日本の排他的経済水域(EEZ)の権益を確実にする有意義な方策だ。

 尖閣諸島周辺の4島は「北小島」「北西小島」などと命名される。これに対し、中国と台湾が外交ルートで抗議し、中国の人民日報も「公然と中国の核心的利益を損なう振る舞いだ」と非難した。

 中国が「核心的利益」と言うとき、それは「安全保障上、譲れない国家利益」を意味する。もともとチベットや台湾などについて使っていた表現で、南シナ海に関しても、米政府との協議の中で持ち出したとされる。東シナ海の尖閣諸島問題でこの言葉が使われたのは初めてだ。

 中国共産党機関紙でこのように言及されたことは、中国が本気で尖閣領有を狙ってくるサインと受け止めるべきだ。野田佳彦政権は日本固有の領土である尖閣諸島の実効統治を強める策を早急に検討し、実施に移す必要がある。

 具体的には、一昨年9月の中国漁船衝突事件の直後、民主党の有志議員らが提案した「尖閣諸島での自衛隊常駐や漁業中継基地の構築」「警戒監視レーダーの設置」などが考えられる。単に施設を造るだけでなく、施設を維持するための人員配置も不可欠だ。
尖閣諸島には戦前、かつお節工場などがあり、最大の魚釣島には200人以上の日本人が生活していた。相当数の自衛隊員を常駐させることも十分可能だ。
 尖閣諸島周辺での日米共同軍事演習や同諸島の学術調査も、有効な手段である。尖閣諸島の民有地を国が買い上げて国有地化することも、検討課題に加えたい。
 また、先月末、東シナ海のガス田「樫」の採掘施設で炎が確認され、中国が日中合意に反して単独で開発している疑いが濃厚になった。これに対し、日本政府は「境界画定の合意がない中での一方的な開発は認められない」と、中国に抗議した。当然である。
 日本のEEZは448万平方キロと世界6位の広さだ。漁業資源だけでなく、海底に石油やメタンハイドレートなど豊富な鉱物資源が埋蔵されている可能性が強い。海洋権益を守るため、海上保安庁や海上自衛隊による監視・警備の強化が今以上に求められている。
8、【主張】シリア決議否決 中露は平和へ責任果たせ
2012.2.7 03:14(1/2ページ)[ロシア]
 反政府蜂起への武力弾圧を続けるシリアのアサド政権に対し、暴力の停止と自由選挙の実施などを求める国連安全保障理事会の決議案がロシアと中国の拒否権発動で否決された。シリアが本格的な内戦に突入してしまう恐れをはらむ、憂慮すべき事態だ。
 シリアの友好国である中露は昨年10月にも安保理のアサド政権非難決議案の採決で拒否権を使っており、これで2度目だ。安保理の機能不全が指摘されるが、まず両国に対し常任理事国にふさわしい行動を求めたい。
 今回の決議案は、アラブ連盟が1月にまとめたシリアの事態収拾案に「最大限の支持」を表明するものだった。アラブ連盟案では一党支配体制を敷くアサド大統領から副大統領への権限委譲がうたわれていたが、決議案は退陣の必要性を明示しなかった。しかも外国による軍事介入を否定するなど中露の意向を汲(く)んだ内容だ。
 こうした譲歩を一蹴した中露に対し、「自らの手を将来、血で染めることになる」(ライス米国連大使)などと激しい非難が起きたのは当然だろう。
 拒否権行使について、中露は「反体制派も非難すべきだ」「安保理が分裂状態にあるときに投票を強行するのは団結に役立たない」などを理由に挙げた。だが、ロシアにとってシリアは旧ソ連圏を除いて唯一の露海軍基地の提供国であり、最大の武器購入国だ。また中国は油田開発や工場建設で多額の投資を行っている。
自国の利益保護をシリアにおける人命の保護より優先させたのなら、両国は安保理常任理事国としての責任を果たしているとはいえない。アサド政権による昨年3月以来の弾圧の死者が5千人を超えたとの国連人権高等弁務官の報告(昨年12月)を深刻に受け止めるべきだ。
 レバノンのイスラム教シーア派原理組織ヒズボラやパレスチナ過激派への支援などを理由に、米国はシリアをテロ支援国家に指定している。シリアはまた、過去3回の中東戦争を経てイスラエルとも対立状態にある。それだけにシリア情勢は中東全体の安全に大きな影響を及ぼす。
 ロシアのラブロフ外相らが7日にもシリアを訪れる。拒否権行使の汚名を返上するには、責任をもってアサド政権を対話のテーブルにつかせることだ。

9、【産経抄】2月8日
2012.2.8 03:00[産経抄]
 昭和47年秋、北京で行われた中国との国交回復交渉をめぐって、よく知られた話がある。当時の田中角栄首相らが釣魚台迎賓館の部屋に入ったときのことだ。室内には首相の好物のアンパンが用意されている。朝食のミソ汁には故郷・新潟のミソが使ってあった。
 ▼並の政治家なら中国の「気遣い」に感激しメロメロになるところだ。だが田中は違った。同行した大平正芳外相に「すごい国に来たな。交渉は命がけだ」と語ったという。事実、交渉は周恩来首相らとの間で丁々発止の主導権争いが繰り広げられる。
 ▼このときの日中共同声明については、いまだ日本での評価は分かれる。しかし昨年末公表された外交文書によると、このとき中国側は声明に日本の「軍国主義復活」への懸念を盛り込むよう、執拗(しつよう)に求めた。これに対し田中が「それなら日本に帰る」と反発し、免れたという。
 ▼今、日本の国防を担う田中直紀防衛相に義父のそんな胆力を求めるのは無理かもしれない。アンパンひとつから相手の思惑を見抜く外交センスを持てというのもかなわぬことだろう。それにしても防衛相としては、あまりにその資質に欠けている。
 ▼国会の予算委員会を抜け出しコーヒーを飲んでいたのは、まだ謝ればいい。だが在日米軍の再編協議の内容をほとんど把握していないというのはそれではすまない。日本の安全保障に直結することだからだ。その自覚のなさにはあきれるしかない。
 ▼直紀氏は義父との違いを聞かれ「父は国会論戦の名手として有名だった」と答えた。まるで「私は口べたなので」と弁解しているようにも聞こえる。もっと学ぶべきことは多かったはずだと言いたいが、それも無理な注文のようだ。

10、【主張】
ガス田と中国 合意違反に強い対抗策を
2012.2.12 03:12 [主張]
 東シナ海のガス田「樫(かし)(中国名・天外天)」で中国が日本の抗議を無視して独自開発を続けている。日中合意に反する許し難い行為である。

 平成20年6月の合意では、日中中間線付近の4カ所のガス田のうち「翌檜(あすなろ)(同・龍井)」付近での共同開発と「白樺(しらかば)(同・春暁)」への日本側の出資が決められた。「樫」と「楠(くすのき)(同・断橋)」の両ガス田は継続協議とされた。

 従って、「樫」は新たな合意ができるまでは手をつけず、現状維持すべきガス田である。

 藤村修官房長官は先月31日付で外交ルートを通じて中国に抗議したことを明らかにし、「境界線画定の合意がない中、一方的な開発は認められない」と強調した。

 抗議の具体的な方法や中身は分かっていないが、中国が抗議を無視してきた以上、より強い対応が必要である。少なくとも、駐日中国大使を外務省に呼んで厳重抗議すべき事案だ。それでも中国が開発をやめないなら、丹羽宇一郎駐中国大使の召還も含め、さらに強い対抗措置を検討すべきだ。

 ガス田をめぐる協議は平成22年7月に行われて以降、途絶えている。同年9月の中国漁船衝突事件で、中国側が一方的に延期を通告してきたためだ。昨年暮れの日中首脳会談で、野田佳彦首相はこれに異議を申し立てず、双方が「早期再開」を約するにとどめた。

 中国は腰の引けた民主党政権の足元を見透かし、不当なガス田開発を続けているといえる。

 海洋権益を狙った中国の軍拡にも警戒が必要だ。防衛省のシンクタンク「防衛研究所」の最新報告は、中国の軍事力が東シナ海でも強化されれば「南シナ海でみせている強硬姿勢を取り始める可能性が高い」と警鐘を鳴らした。

 昨年4~12月の航空自衛隊の緊急発進(スクランブル)回数は対露軍機が最も多く、対中国軍機もこれに続いて急増している。

 また、「北方領土の日」の集会で野田首相が「強い意志でロシアとの(返還要求)交渉を進める」と表明した翌日の8日、5機の露軍機が日本海の日本領空近辺に接近した。政府がこれに明確な抗議を行わなかったのも、外交上の不作為と言わざるを得ない。

 日本の安全保障と海洋権益の確保は表裏一体である。機を逸しない外交に加え、自衛隊と海上保安庁の強化も急務である。

11、【主張】
習近平氏訪米 国際社会の批判聞く耳を
2012.2.17 03:12 (1/2ページ)[主張]
 今秋の中国共産党大会での最高指導者就任が確実視される習近平国家副主席が5日間の日程で訪米し、オバマ政権側との顔合わせを行った。

 一連の会談で、オバマ大統領らが、米中の貿易不均衡や中国の人権弾圧から北朝鮮やイランの核問題まで両国間の懸案事項を列挙し、中国に「国力の増大に見合った責任」を求めた姿勢を支持したい。向こう10年間、中国を率いる習氏にあえて対立点を明示した意義は大きい。

 大統領は習氏との初会談の冒頭で、「中国の平和的台頭を歓迎する」という表現で海洋権益の拡大を狙う中国の海軍力増強を牽制(けんせい)するとともに、とりわけ人道・人権問題では厳しい姿勢を見せた。

 国連安全保障理事会の対シリア決議案に中国が拒否権を行使したことには、「失望」を表明した。「すべての人々の願いや権利を認めることの重要性を今後も訴える」との発言は、中国当局のチベット仏教僧侶らへの弾圧を念頭においたものである。

 習氏の反応が従来の中国の立場の枠を超えるものではなかったのは残念だ。会談後の昼食会で習氏は「人権問題は改革・開放後の30年余りで多くの成果を挙げた」と反論し、翌日の講演では台湾やチベットなど自国の「核心的利益」の尊重を米国に要求している。

会談に合わせ、米議会では「中国に関する議会・政府委員会」の公聴会が開かれ、中国当局に拘束された民主活動家の妻らが拷問など人権弾圧の現状を証言した。ホワイトハウス近辺では、在米チベット人ら人権団体関係者らが集会やデモ行進を続けている。

 習氏は、中国の一党独裁体制に対するこうした厳しい批判を真摯(しんし)に受け止めてもらいたい。

 米中両国の動向は経済と安全保障の両面で日本に重大な影響を及ぼす。オバマ政権が在沖縄米海兵隊の一部をグアムに先行移転させる方針を決めたのは、明らかに対中シフトである。

 パネッタ米国防長官は習氏と会談した日に議会公聴会で、海兵隊をフィリピンにも移せるか交渉を進めていると明らかにした。中国の対応を警戒する必要がある。

 野田佳彦政権には、米中の動向を注視することが求められよう。米軍普天間飛行場移設の早期実現を含め、日本は日米同盟の実効性を高める役割を積極的に担わなければならない。

12、【主張】
中国船の中止要求 日本側も試掘で対抗せよ
2012.2.21 03:19 (1/2ページ)[中国]
 沖縄県・久米島近海の日本の排他的経済水域(EEZ)で、海洋調査中の海上保安庁測量船に中国国家海洋局の監視船が接近、「中国の法令が適用される海域」として調査中止を要求した。

 海保測量船は日中中間線から110キロも離れた日本側で活動していた。これまで一昨年5月と9月、中間線から日本側に約40キロ、約90キロ入った海域で海保の測量船が中国公船から調査中止を求められている。

 今回は最も日本側海域に入り込んで中止を求めたが、不当な要求であり、到底認められない。

 日中中間線を認めず、沖縄トラフまでの大陸棚を自らのEEZと主張している中国は自国の権益を確保するための実力行動をエスカレートさせている。このことを日本側は認識すべきだ。

 藤村修官房長官は20日の会見で「外交ルートで抗議している」と語ったが、形式的抗議では足元をみられるだけだ。駐日中国大使を呼ぶなどの厳重抗議に加え、実効ある対抗措置を検討すべきだ。具体的には中間線付近にあるガス田の日本側での試掘などだ。

 この問題では平成17年、中川昭一経済産業相(当時)が資源開発会社に試掘権を許可した。しかし中国側が強く反発し、翌18年に二階俊博経産相(当時)が中国への配慮から消極姿勢をとり、試掘には至っていない。
 平成20年6月には日中中間線付近のガス田4カ所のうち1カ所の共同開発と別の1カ所へ日本側出資を認める合意がまとまった。

 だが、これも継続協議となっているはずのガス田で、中国側は日本の抗議を無視して一方的に独自開発を続けている。

 EEZは国連海洋法条約に基づいて設定された自国海岸から200カイリ(約370キロ)の海域だ。2国間で向き合う海域では中間線でEEZを画定するのが現在の国際規範といえる。これに背を向けて一方的に権益を主張する中国政府の姿勢が問題なのである。

 中国の海洋調査船による日本EEZ内の航行は十数年前から急増し、昨年9月には2日連続の事例もあった。

 日中中間線の問題は国家の主権的権利と海洋権益に関わる重大な問題である。日本が主権国家として毅然(きぜん)と抗議するだけでなく、権益を守るための実効ある行動をとらなければ国益は守れない。

13【産経抄】
2月22日
2012.2.22 03:04 [産経抄]
 自虐的言動というのは、ほめられたものでない。だがこれが上質のユーモアで包まれると、思わずほおが緩み、肩のひとつもたたいてあげたくなる。先日、本紙に載った中国版ツイッターでの中国若者による台湾への「対抗心」がそうだ。
 ▼それによると、若者は台湾の友人に自慢された。「今朝みんなで投票に行ってきたよ。夜には誰が国家指導者になるか分かるのさ」。だが私は声を大にして言う。「明日の朝、大陸で投票が行われるとしても、僕らは今日の段階で誰が国家指導者になるか知っている」。

 ▼明日の夜まで待つ必要なんかない。だから「台湾よりずっと先を行っている」という。台湾では国をあげ熱狂した総統選で、馬英九氏が再選された。それなのに「大陸」では国民のあずかり知らぬところで、習近平氏のトップ就任が決まっている。そのことを自嘲しているのである。

 ▼習氏は今月、米国を訪問したさい、もう「最高指導者」扱いだった。一党独裁の国ならではのスムーズな権力移譲に見える。だが実態はそう簡単なことではない。大都市の重慶などで、胡錦濤現国家主席の勢力の巻き返しが始まっているらしいからだ。

 ▼重慶では習氏と同じ元高級幹部の師弟でつくる「太子党」の中心人物、薄煕来氏の腹心が失脚した。後任の市公安局トップに就任したのが、胡錦濤氏直系の共青団のホープだ。習氏の盟友である薄氏の力が弱まり「習近平政権」にも影響するという。

 ▼文化大革命を持ち出すまでもなく、きれいごとの裏で凄(すさ)まじい権力争いを繰り返してきたのが一党独裁の現実だ。日本人が見習うべきは、かの若者の冷めた視線である。「習近平時代来る」などと浮かれることではない。

14、【産経抄】
2月23日
2012.2.23 03:03 [産経抄]
 平成15(2003)年の秋、18年ぶりにリーグ優勝を果たした阪神タイガースの球団幹部は、思わぬ問題を抱えていた。千葉県の衣料品店経営者が、「阪神優勝」の4文字をロゴとして商標登録していたのだ。このままでは公式グッズにも使えない。

 ▼恒例のビールかけのイベントで選手が着ていた記念Tシャツには、英語で「アチーバーズ(達成者) タイガース」とプリントされていた。特許庁がこの年の暮れ、登録を無効と認めたのは常識的な判断だった。球団幹部も、ほっと胸をなでおろしたはずだ。

 ▼もっとも中国の裁判所に、「常識的な判断」を求めるのは難しい。広東省恵州市の裁判所は、米アップルのタブレット型多機能端末「iPad(アイパッド)」の商標権を所有していると主張する中国側企業の言い分を認め、商品の販売停止を命じてしまった。

 ▼同じような裁判がきのうから上海でも始まった。「iPhone(アイフォーン)」の商標権まで、わが社にありと主張する企業まで現れた。さすがは、コメの「コシヒカリ」から陶磁器の「有田焼」まで、日本の有名ブランドを早い者勝ちとばかりに商標登録してきた国柄である。

 ▼日本の高級イメージがつけば、中国の製品でも高価格で売れる。本物の日本産品が中国に進出してくれば、商標を高額で買い取らせればいい。ただ、ぬれ手であわの「商標ビジネス」で、巨利を博するのは、ひとにぎりの業者だけだ。

 ▼今回の騒15、ぎでも、万一、人気のアップル製品の輸入が止まる事態に発展すれば、多くの消費者が被る不利益は計り知れない。「行き過ぎる拝金思想を改めよう」。そろそろこんな声が、草の根から上がってきてもいいころだ。

15、【主張】河村氏の南京発言 これで問題視されるとは
南京事件をめぐる河村たかし名古屋市長の発言をめぐり、姉妹都市関係にある中国南京市が名古屋市との交流を当面中止すると発表した。「河村市長は南京大虐殺の史実を否定、南京人民の感情を著しく傷つけた」との理由からだ。

 中国外務省のアジア局長も、杉山晋輔外務省アジア大洋州局長に「歴史の歪曲(わいきょく)」と強い不満を表明した。

 歴史問題をめぐる中国の理不尽な対応は今に始まったことではないが、日本の政府やメディアまでが中国側に立って河村氏を批判しているのは理解に苦しむ。

 問題にされたのは河村市長が20日、名古屋市で南京市訪問団との面談で発言した内容である。

 河村氏は南京で終戦を迎えた父親が南京の人々から温かいもてなしを受け、お礼に桜の木をプレゼントしたことなどを話し、その背景について「南京事件はなかったのではないか」と述べた。

 断定的な表現を避け、極めて穏当な発言である。

 しかし、藤村修官房長官は「非戦闘員の殺害、略奪行為は否定できない」と河村市長の発言を否定し、「村山談話以来、政府の姿勢は変わっていない」と述べた。

 村山談話とは村山富市元首相が平成7年、先の大戦の要因を「植民地支配と侵略」と断じ、閣議決定もされた。だが、あくまで当時の内閣の歴史認識を表明したものであって、今回の河村氏の発言とは無関係である。
メディアの中には、「南京事件については、日中共同の歴史研究がある。市長としての発言にはもっと慎重であるべきだ」「配慮が足りなすぎる」などと、まるで河村氏が重大な失言をしたかのような社説もあった。

 2年前に発表された共同研究では「南京虐殺」があったとの認識が示された。だが、それは研究に参加した日中の一部の学者の意見が一致したにすぎない。

 南京事件は昭和12年暮れから13年にかけ、旧日本軍が南京で多くの中国軍の捕虜や市民を殺害したとされる事件だ。中国は「30万人虐殺」を主張している。

 最近の研究で、「南京虐殺」や「南京大虐殺」は当時の中国国民党の一方的な宣伝だったことが分かってきた。政治的妥協の中で生み出された日中歴史共同研究などにとらわれない、実証的な学問研究の積み重ねが必要である。

16、【産経抄】
2月25日
 40年も昔のお話。「テレビカメラはどこかね? 新聞記者の諸君とは話さないことにしてるんだ」と言い放ったのは、退陣会見に臨んだ佐藤栄作首相だった。怒った記者団は退席し、首相は無人の会見場でテレビカメラ相手にしゃべり続けた。

 ▼民主党の前原誠司政調会長は、どうやら佐藤シンパらしい。記事が気に入らないと、小紙記者を会見場から排除したが、沖縄返還を実現した佐藤氏と違い、政治家としてさほど実績のない前原氏がやるのは40年早い。

 ▼彼のみならず民主党には、他者の批判を極端に嫌う党風がある。野田佳彦首相はたまにしかやらぬ会見以外では、記者の質問には一切答えず、小沢一郎、菅直人の両元代表は、気に入ったメディアしかインタビューに応じない。

 ▼橋下徹大阪市長のように相手を言い負かす自信がないからだろうが、前原氏の言い分も書かなくてはフェアではあるまい。会見に出られなかったので他紙を引用すると、「事実と異なることを人をおとしめるために書き続けるのはペンの暴力だ」と言ったという。

 ▼事実と異なるのなら、新党日本の田中康夫代表が命名した「口先番長」を拝借した小欄も謝らねばと、記事を読み返したが、どの部分が事実に基づかないのか、さっぱりわからない。国土交通相就任時に宣言した八ツ場(やんば)ダム建設中止か。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件での豹変(ひょうへん)ぶりか。まさかとは思うが、在日外国人からの献金か。

 ▼京大法学部から松下政経塾を出てすぐ政治家になった彼には世間知がなさ過ぎる。天下を狙うのなら一度、国会議員をやめ、南京事件の発言で中国から嫌がらせを受けてもぶれない名古屋市長の下で修行し直すことを強くお勧めしたい。

17、【主張】
本紙への会見拒否 前原氏の言論感覚を疑う
 自由な言論こそ健全な民主主義社会の基本であることを、民主党の前原誠司政調会長は理解しているのであろうか。

 産経新聞の報道内容を理由に、本紙記者を記者会見から排除し、取材拒否を通告したのは、日本社会の根源的な価値を否定していると言わざるを得ない。

 政権与党の政策責任者である前原氏の政策判断は、国益や国民の利害に直結する。その言動がとりわけ詳細に報道され、厳しい評価の対象となるのは当然だ。

 報道内容が気に入らないからと特定のメディアを締め出して、自己正当化を図るような行為は断じて許されない。

 本紙は、前原氏が国土交通相時代に建設中止を表明した八ツ場(やんば)ダムの再開を最終的に受け入れたり、東日本大震災の復興財源をめぐり政府案より2兆円多い税外収入の目標額を表明したりした際などに、言葉ばかりで結果が伴わないという意味で「言うだけ番長」との表現を用いた。

 報道機関が正確で公正な報道に努め、表現方法にも留意しながら報道の自由の権利を行使すべきであることは言うまでもない。政治家は結果責任を厳しく問われることを忘れてはなるまい。

 本紙は、文化大革命当時の報道姿勢を理由に、北京に常駐する特派員が中国共産党政府により追放され、昭和42年から31年間、北京支局が閉鎖されたことがある。
前原氏の行為も、相手の批判を許さず、意見の異なる者からの取材は受け付けないという思想や体制と重なり合ってはいないか。

 本紙記者の排除に対して、他の報道機関も前原氏や民主党に抗議した。民主党は「記者会見は党主催」などと排除を正当化しているが、国民の税金である政党助成金を受け取っている公党のとるべき態度とはいえない。

 野田佳彦首相は24日、前原氏に事実関係を聞きたいと述べていたが、実際にはそうしなかった。

 民主党政権は自衛隊施設での行事で、民間人の政権批判を封じることを目的とした防衛事務次官通達を出した。自由な報道活動を阻害する恐れのある、新たな人権救済機関「人権委員会」の創設も目指している。

 言論統制につながりかねない施策が相次いで打ち出されるところに、民主党の「体質」があるのではないかと憂慮する。


「言うだけ番長」は「言葉ばかりで結果が伴わない人」の意味
【産経抄】
3月2日
2012.3.2 03:14 [産経抄]
 中国・清朝末期に権勢をふるった西太后(せいたいこう)がどんな少女時代を送ったのか、よくわかっていない。中国文学者の加藤徹さんは、『西太后』(中公新書)のなかで、彼女が沈黙を守ったのは、9歳のとき起こった一族の汚辱となる事件が一因ではないか、という。

 ▼アヘン戦争の終結直後、国庫に保管する銀の調査が行われ、帳簿に記載されている量より、925万2000両余も少ないことが判明したのだ。加藤さんの換算によると、現在の5000億円近くにもなる。

 ▼激怒した当時の道光帝は、銀の保管に携わった役人すべてに責任を負わせる決定を下した。運悪く該当した西太后の一族は、約10億円もの弁済を迫られたという。巨額の銀の消失は、長年にわたって小口の横領が行われた結果だった。

 ▼170年後、投資顧問会社「AIJ投資顧問」は、約2000億円もの大金をどのように消失させたのか。その多くは中小企業に働く人たちから託された大切な年金資金である。会社側は、リーマン・ショック以降の世界的金融危機のために多額の損失を出したと説明する。

 ▼しかし、証券取引等監視委員会の調べで、会社が顧客に虚偽の高利回りを示し、資金の一部を運用以外に充てていた疑いが出てきた。悪質な手口が事実なら、清朝末期の官僚腐敗より闇は深い。西太后は後に権力を握ると、銀の消失額をはるかに超える浪費を続け、清朝の滅亡を早めた。

 ▼ただそのぜいたくな生活のおかげで、中華料理や京劇、刺繍(ししゅう)など中国の生活文化が花開いた一面もある。これに対して今回のAIJによる年金消失は、何をもたらすのか。老後のささやかな楽しみが奪われようとしている人たちの、絶望のうめきだけだ。
【産経抄】
3月3日
2012.3.3 03:23 [産経抄]
 三波春夫さんの「お客さまは神様です」という決めぜりふが、若いころには、胡散(うさん)臭くて仕方がなかった。きらびやかな和服に包まれた胸の内はきっと違うはず、と勝手に邪推していたが、そうではなかった。

 ▼兵士として満州で終戦を迎え、シベリアに4年抑留された三波さんは、生きて舞台に立てるありがたさを誰よりも感じていたのだろう。客を神と見立て、常に神前で歌い上げる態度を生涯貫いたからこそ彼をしのぶファンは今も数多い。

 ▼そんな三波さんの境地には遠く及ばないが、読者からの手紙や電話には教えられることが多い。最近では「河村たかし名古屋市長をなぜ大々的にバックアップしないのか」とお叱りを多数いただいた。

 ▼河村市長は、中国・南京市からやってきた共産党幹部に、終戦時に南京にいた自分の父親が温かいもてなしを受けたと感謝し、「いわゆる南京事件はなかったのではないか」と述べた。これに中国側が怒り、南京市で開かれる予定だったアイドルグループの公演が中止になる騒ぎとなっている。

 ▼中国大陸で戦った日本兵に非行がまったくなかったか、といえばそうではあるまい。しかし、三波さんらほとんどの兵士は、軍紀を守って戦った。当時の海外紙も報じたように、中国兵が日本兵の蛮行にみせかけた例もある。ましてや30万人もの市民を虐殺した証拠はどこにもない。

 ▼戦争への反省を忘れてはならないが、巨大な軍事大国に誇大なぬれぎぬを着せられ続けては、末代まで害が及ぶ。河村市長が提案するように、本音でどんどん話し合うべきだ。小欄も「ぶれずにがんばれ」とエールを送りたい。史実と中国のプロパガンダ(宣伝)の間に一線を引くときがきた。
【主張】
海保の警察権強化 国境の守りに万全を期せ
2012.3.4 03:04 (1/2ページ)[主張]
 海上保安庁の海上警察権強化に向け、海上保安庁法などを一部改正する法案が閣議決定され、国会に提出された。一昨年9月の沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を受けて、検討されてきた法改正である。国境の守りを強化するため、一日も早い成立が望まれる。

 海保の警察権が及ぶ離島には尖閣や東京・沖ノ鳥島、南鳥島などが指定される見通しだ。重要な改正点は、国境の離島に外国人が不法上陸した場合、海上保安官が警察官に代わって捜査や逮捕ができるようにしたことだ。

 離島の陸上では海上保安官に捜査権がなかった。このため、例えば、平成16年3月に中国人活動家7人が尖閣諸島の魚釣島に不法上陸した際は、沖縄県警が石垣島から捜査員を派遣して7人を入管難民法違反で逮捕した。改正法が成立すれば、付近を警戒する巡視船の海上保安官が迅速に不法上陸者を逮捕することが可能になる。

 このほか、領海に侵入した不審船に立ち入り検査なしで退去命令などを出せる規定や、海上保安官による任意の「質問権」の対象者を船長だけでなく、重要な事実を知る陸上の関係者にも拡大する規定が盛り込まれている。

 いずれも、国境の警備強化のために欠かせない法改正である。

 だが、改正法が成立しても、それだけで万全ではない。中国の漁業監視船などの外国公船が日本領海に侵入してくるのに対しては、日本の法律はほとんど無力だ。

国連海洋法条約は「沿岸国は無害でない通航を防止するため、領海内で必要な措置をとることができる」(25条)と定めている。だが、それに基づく国内法がないため、日本は領海内で無害でない行為をした外国公船を排除できず、退去要請しかできない。

 最近、中国公船の横暴な活動には目に余るものがある。

 昨年8月、中国の漁業監視船2隻が尖閣諸島周辺の日本領海内に侵入し、海保の巡視船が退去を求めたものの、うち1隻は警告を無視して再度、領海侵犯した。

 先月、日本の排他的経済水域(EEZ)で海洋調査を行っていた海保の測量船に対し、中国の海洋調査・監視船が2度、接近し、無線で調査中止を要求した。

 野田佳彦政権には、海保の警察権強化に加え、領海内で不法行動を取る外国公船を強制排除できるよう早急な法整備を求めたい。

【主張】
海保の警察権強化 国境の守りに万全を期せ
2012.3.4 03:04 (1/2ページ)[主張]
 海上保安庁の海上警察権強化に向け、海上保安庁法などを一部改正する法案が閣議決定され、国会に提出された。一昨年9月の沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を受けて、検討されてきた法改正である。国境の守りを強化するため、一日も早い成立が望まれる。

 海保の警察権が及ぶ離島には尖閣や東京・沖ノ鳥島、南鳥島などが指定される見通しだ。重要な改正点は、国境の離島に外国人が不法上陸した場合、海上保安官が警察官に代わって捜査や逮捕ができるようにしたことだ。

 離島の陸上では海上保安官に捜査権がなかった。このため、例えば、平成16年3月に中国人活動家7人が尖閣諸島の魚釣島に不法上陸した際は、沖縄県警が石垣島から捜査員を派遣して7人を入管難民法違反で逮捕した。改正法が成立すれば、付近を警戒する巡視船の海上保安官が迅速に不法上陸者を逮捕することが可能になる。

 このほか、領海に侵入した不審船に立ち入り検査なしで退去命令などを出せる規定や、海上保安官による任意の「質問権」の対象者を船長だけでなく、重要な事実を知る陸上の関係者にも拡大する規定が盛り込まれている。

 いずれも、国境の警備強化のために欠かせない法改正である。

 だが、改正法が成立しても、それだけで万全ではない。中国の漁業監視船などの外国公船が日本領海に侵入してくるのに対しては、日本の法律はほとんど無力だ。

 国連海洋法条約は「沿岸国は無害でない通航を防止するため、領海内で必要な措置をとることができる」(25条)と定めている。だが、それに基づく国内法がないため、日本は領海内で無害でない行為をした外国公船を排除できず、退去要請しかできない。

 最近、中国公船の横暴な活動には目に余るものがある。

 昨年8月、中国の漁業監視船2隻が尖閣諸島周辺の日本領海内に侵入し、海保の巡視船が退去を求めたものの、うち1隻は警告を無視して再度、領海侵犯した。

 先月、日本の排他的経済水域(EEZ)で海洋調査を行っていた海保の測量船に対し、中国の海洋調査・監視船が2度、接近し、無線で調査中止を要求した。

 野田佳彦政権には、海保の警察権強化に加え、領海内で不法行動を取る外国公船を強制排除できるよう早急な法整備を求めたい。
【主張】
中国の国防費 日本も防衛予算の増強を
2012.3.6 03:08 (1/2ページ)[主張]
 中国の国防費が米ドル換算で初めて1千億ドルの大台に乗り、日本の防衛関係費(来年度4兆7138億円)の1・8倍に膨張した。

 全国人民代表大会(全人代)の李肇星報道官が公表した2012年度国防予算案は、前年度実績比11・2%増の6702億元(1064億ドル)に上る。過去23年で10年度以外は常に2桁増のすさまじい増強だ。

 「平和的台頭」とは裏腹に、突出した軍拡は力ずくの海洋権益拡大と併せて地域や世界の懸念を強めている。米国も新国防戦略の下で本格的な備えに入り、東南アジアでも国防費増強が目立つのが近年の顕著な傾向だ。

 にもかかわらず、尖閣諸島などを抱える日本だけが10年連続で防衛費を減少させているのは異様である。野田佳彦政権は中国に一層の透明性を求めるだけでなく、日米同盟の強化を進め、脅威の増大に自らの備えを急ぐべきだ。

 中国の国防費の2桁増は1989年からだ。07年度には日本を抜き、その差が急速に拡大している現状を直視する必要がある。

 初の国産ステルス戦闘機開発や2兆円近くを投入した空母建造計画に加え、米軍の接近阻止を狙った対艦弾道ミサイル(ASBM)や宇宙・サイバー空間の攻撃能力も増強中だ。しかも、これらの研究開発費は公表額に含まれず、米国防総省は「その1・5~3倍」を実際の国防費とみている。

李報道官は「数字は透明で、他国の脅威にならない」と強調したが、内容をみる限り、南シナ海、東シナ海を含む西太平洋地域へ海・空両面で力による進出を図り、長期的かつ独占的に領域支配を狙う海洋覇権戦略とみるべきだ。

 とりわけ日本が警戒すべきは、尖閣諸島を含む東シナ海だ。

 一昨年秋の漁船衝突事件後も中国は監視船などが日本の排他的経済水域(EEZ)内での海上保安庁船の調査中止を求め、中国軍機の領空接近に対する航空自衛隊のスクランブル(緊急発進)回数も急増している。

 尖閣周辺の無人島に対する日本政府の命名に対抗し、中国政府が3日、独自に71島を命名した措置も到底看過できない。

 日本固有の領土である尖閣諸島の防衛や海洋の主権的権利にもかかわる重大な問題だ。首相は国家の安全と主権を守るために必要な防衛費を確保してもらいたい。
【主張】
離島命名 尖閣で対中配慮は禁物だ
2012.3.8 03:11 (1/2ページ)[主張]
 日本政府が沖縄・尖閣諸島の周辺を含む39の無人島に名前を付けたことを受け、中国が早速、周辺の71の島に命名する対抗措置に出てきた。

 中国外務省報道官は「釣魚島(魚釣島の中国名)と付属の島は中国固有の領土」と改めて強調し、楊潔●外相は「日本が歴史問題や釣魚島問題の複雑さと敏感さを十分に認識するよう望む」と“忠告”した。

 中国側がこれほど強硬な態度に出てきたのに対し、日本側は無名の離島に付けた名称を内閣官房のホームページに載せただけで、記者会見して発表してはいない。

 日本は、後手に回ってしまったとはいえ、中国に反論する意味でも、改めて内外メディアを対象に記者会見を行い、離島命名の事実や尖閣諸島が歴史的にも法的にも紛れもない日本固有の領土であることを、世界に向けて明確に発信する必要があるのではないか。

 一方、日本政府が23の離島を国有財産化していたことは、領土保全と日本の排他的経済水域(EEZ)の海洋権益確保に資する施策といえる。しかし、尖閣諸島周辺の離島を国有財産化の対象から除外したことには疑問が残る。

 今回、政府は尖閣諸島周辺に位置する、久場島付近の3島と大正島付近の1島の計4カ所の無名の島を「北西小島」などと名付けている。久場島は民間人が所有し、それを国が賃借している。大正島はもともと国の所有である。

藤村修官房長官は「周辺に所有者が明確な島がないものが対象で尖閣周辺は該当しない」と説明した。だが、その付近の無人島に命名した以上、所有権などがはっきりしている久場島、大正島とは別の扱いをしたことになる。

 尖閣を手中に収めようと狙う中国に誤ったメッセージを送らないためにも、野田佳彦政権はもう少し丁寧な説明が必要である。

 中国側は尖閣諸島問題を棚上げにして、日中の力関係が自らに有利になる時期を待っている可能性もある。中国への過度な配慮は日本の足元を掘り崩している。

 最近、中国は軍拡を背景に東シナ海でのプレゼンス強化に乗り出している。不定期だった巡回を定期化するため地方政府の公船も投入し、航行速度などの向上も図っている。野田政権には、尖閣諸島の実効統治を強化するため、自衛隊常駐や漁業中継基地設置などの有人化対策も重ねて求めたい。

●=簾の广を厂に、兼を虎に

【産経抄】
3月9日
2012.3.9 03:01 [産経抄]
 「粛々」という言葉は、もともと中国現存最古の詩集『詩経』では、「おごそか」の強調表現と、鳥の羽ばたきを表す擬音語だったそうだ。日本に渡り、頼山陽の「鞭声(べんせい)粛々」を経て、現在の政治家は主に、「普段と変わらず」の意味で使っている。

 ▼その変化の道筋は、円満字二郎さんの『政治家はなぜ「粛々」を好むのか』(新潮選書)にくわしい。平成22年に沖縄・尖閣諸島沖で起きた漁船衝突事件で、むざむざ中国人船長を釈放するまで、民主党政権の幹部が盛んに口にしたのも、この言葉だった。

 ▼ただ今にして思えば、「強国の傲慢には、波風を立てないのが得策」のニュアンスの方がむしろ強かった。日本の排他的経済水域(EEZ)の権益をめぐる政府の施策を見ていると、2年前と何も変わっていない。

 ▼尖閣周辺を含む39の無人島の名称を決めたのはいい。ただ、記者会見で内外メディアに発信する機会を逃してしまった。まして小紙がスクープするまで、23の離島の国有財産化を公表しなかったのは、いかなる了見か。尖閣周辺の4島を対象からはずしたのも、中国への配慮との見方がある。

 ▼案の定、中国は範囲を広げて71の島に命名する対抗措置に出てきた。日本が粛々と弱腰外交を続けている間に、海軍力を増強して、東シナ海支配を着々と進めるのが中国の狙いだ。その野望を阻むために日本は、尖閣諸島に自衛隊を常駐させて実効統治を強化した上で、堂々と「正論」を訴えるしかない。

 ▼円満字さんによれば、ナポレオンも愛読した『孫子』で「堂々」は、軍隊の陣立てにゆるぎがないようすを表している。そんな相手に、攻撃を仕掛けるのはやめた方がよい、と説いているのだ。

【主張】
中国が土地取得 軽視された相互主義原則
2012.3.13 03:18 (1/2ページ)[主張]
 新潟市の中心部約1万5千平方メートルの民有地を中国が総領事館の移転・拡張のため、取得したことが明らかになった。

 中国国内では国以外の土地の所有は認められておらず、日本を含め外国の公館はすべて賃貸で運営されている。日本が中国の公館用に土地取得を認めるのは、外交原則である相互主義に反している。

 取得の経緯にも不明朗な点が多々あり、関係者は説明を尽くす必要がある。

 中国が公館建設用に土地を取得する動きは名古屋市でもあった。新潟市同様、市中心部での広大な公有地取得という共通点があり、地元や国会でたびたび疑念が示されてきた。

 一昨年秋に、尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突する事件が起き、これを機に、両市での土地取得話は立ち消えとなった経緯がある。

 一方で昨年7月に完成した北京の日本大使館の新築工事について、中国側が工事の届け出内容を問題にし、建築確認が出ないまま使用できずに苦慮する事態が続いていた。

 その後、中国側は日本に対して在日公館の拡張などに日本側が便宜を図れば、建築確認に配慮すると持ちかけてきたとされている。日本政府の立場を「口上書」にして提出するよう迫り、日本側は応じたという。

 これについては玄葉光一郎外相も国会答弁で認めているが、「口上書」はあくまで条約や国内法令の範囲内で協力すると表明したにすぎないと弁明している。

 しかし、これでは日本の大使館の新築問題を、中国への便宜を図ることで解決したととられても仕方がない。なにより、こうした「口上書」の提出自体が極めて異例だ。

 国家間の外交では、相互主義が原則だ。中国が日本の公館建設用に中国での土地取得を認めないなら、日本国内での土地取得も中国に認めるべきではない。事実、米国では相互主義の立場から中国の公館建設のための土地所有を認めていない。

 外国政府の広大な土地取得は規模や用途次第で、街づくりや景観、治安面など幅広く地域住民の暮らしにも影響が及ぶ。

 今回の問題の背景には、中国に対する過度な配慮がうかがわれ、禍根を残しかねない。

中国の土地取得 相互主義で規制すべきだ
国の出先移転 中国領事館も候補地
【主張】
中国とWTO 規範破りに厳しい対応を
2012.3.15 03:13 (1/2ページ)[主張]
 中国によるレアアース(希土類)の輸出制限は不当だとして、日米欧が世界貿易機関(WTO)に共同提訴した。日本として中国を相手取って争うのは初めてとなる。

 中国はレアアースについて、輸出を大幅削減する一方、安価な国内販売は認めている。こうした恣意(しい)的な規制はWTO協定違反であり、提訴は当然だ。

 ネオジムなどのレアアースは、日本が得意とするハイブリッド車のモーターやデジタルカメラ用レンズの研磨材などに使われる。世界生産の9割を占める中国は2010年から、その輸出を格段に抑えるようになり、日米と欧州連合(EU)が提訴に踏み切った。

 オバマ米大統領は今回の提訴にあたって、「中国は自ら守ることに合意した、まさにそのルールに背いている」と断じている。

 中国は、亜鉛やマンガンなどのレアメタル(希少金属)でも、09年、輸出制限を理由に欧米からWTOに訴えられた。今回と同様、「天然資源を保護するため」と主張したものの、この1月、「国内販売は規制していない」としてルール違反と認定されている。

 今回のケースでも違反と判断されれば是正勧告が出され、応じない場合、提訴国は制裁関税などの対抗措置を講じることになる。

中国は01年のWTO加盟後も、不正な安値輸出の疑いで各国から約600件の調査を受け、欧米などに20件以上も提訴されている。とりわけ欠けるのは、知的財産権保護のルールを守る姿勢だ。

 中国に対しては、WTO加盟で自由貿易の恩恵に浴する以上、国際規範を順守する義務も負うとの常識を繰り返し迫っていくほかない。その意味で今回、日米欧がスクラムを組んでWTOという国際的な枠組みで中国に圧力をかけることを、重要な一歩としたい。

 日本は、自国企業が保有する商標権の侵害などをめぐっては、これまでややもすると、中国との貿易紛争を避け、穏便に事をすまそうとする姿勢が目立ってきた。

 だが、レアアース規制は、10年秋の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を機に、中国が理不尽な外交圧力の道具として行使してきたことを、日本は忘れてはなるまい。

 レアアースは国際競争力や軍事力を左右する戦略資源でもある。輸入先の多様化や代替品の開発も急ぎ、対中依存から脱し、中国の寡占支配を崩す必要もある。

【主張】
重慶トップ解任 政治改革は待ったなしだ
2012.3.16 03:07 (1/2ページ)[主張]
 中国重慶市トップの薄煕来・市党委書記兼党中央政治局委員が15日、党委書記を解かれた。

 同市で薄氏がこの数年進めてきた「暴力団撲滅と毛沢東賛歌」運動の重大な弊害が表面化し、最側近が成都市の米総領事館に保護を求めて駆け込んだ大失態の責任を取らされたようだ。

 温家宝首相は14日、全国人民代表大会(全人代=国会)閉幕後の恒例の記者会見で、重慶市の責任を厳しく問うと同時に政治体制改革の重要性を強調した。胡錦濤国家主席、温首相らで構成する現政権は今こそ、長年先送りしてきた政治改革を断行すべきである。

 温首相は会見で、改革が成功しなければ「これまでの(改革・開放政策の)成果を失い、文化大革命のような歴史の悲劇を繰り返しかねない」とまで述べた。

 温首相が文革再発の懸念にまで言及したのは、薄前書記が重慶市で進めた運動が、文革を彷彿(ほうふつ)させるものだったからだ。

 運動開始から80日間で「約3万3千件の刑事案件を摘発し、9500人を逮捕した」(重慶市)というが、そんな短期で十分な捜査は不可能だ。多くの民営企業家が無実の罪で極刑に処され、資産を没収されたという。

 薄氏の指導下の重慶市で起きてきた権力の乱用や腐敗などは、今の中国をあまねく覆う深刻な問題だとみるべきだろう。中央政府による真相究明を注視したい。

中国はいまだに、一党独裁体制で言論の自由は制限され、法治が徹底せず、人治と権力乱用が横行している。全ては体制の崩壊を恐れるあまり政治改革を棚上げしてきたためである。だが、重慶の事態をみると、それこそが中国大混乱の引き金ともなりかねない。

 解任劇の背景には、今秋の党大会での指導者交代をにらんだ、胡主席ら共産主義青年団派と江沢民前主席ら上海閥・太子党(高級幹部子弟)との権力闘争もある。

 薄氏は、太子党の有力者で、今秋、最高指導部の政治局常務委員会入りが有力視されていたが、その芽はほぼ消えた。同じ太子党で、権力を継承することが内定している習近平副主席の指導力にも微妙な影響を及ぼしそうだ。

 権力移行期に入った中国は、指導部の求心力低下も予想される。日本は、尖閣諸島周辺などでの中国軍の動静に、より大きな注意を払う必要がある。




【産経抄】
3月17日
2012.3.17 02:59 [産経抄]
 真夜中の不気味な揺れでたたき起こされた。寝ぼけまなこでテレビのスイッチを入れると、各局とも字幕で震度を伝えてはいたが、NHKは録画撮りのニュース解説を中断せず、某民放はふだん通りに芸能ニュースをやっており、逆にほっとした。

 ▼目がさえてゴソゴソしているうちに吉本隆明さん死去を知った。学生運動華やかなりし頃、一世を風靡(ふうび)した「共同幻想論」から「脱原発」批判まで、大衆から遊離した権威が大嫌いだった彼については書きたいことがヤマほどあるが、きょうはへそ曲がりだった吉本さんに敬意を表して別の話を書く。

 ▼尖閣諸島がいよいよ危なくなってきたのだ。きのう朝、中国の海洋監視船が尖閣諸島沖の領海を侵犯したが、今までとかなり様相が違う。中国の国家海洋局が、「定期的な巡視活動だ」とただちに発表、国営の新華社通信が速報したのが何よりの証拠である。

 ▼中国には、日本や欧米では当たり前の「報道の自由」がない。チベットや台湾など中国の国益に直結するニュースは、共産党が記事や映像を厳しくチェックし、都合の悪い情報は公にされることなくボツにされている。

 ▼そんな閉ざされた情報環境で、新華社が尖閣沖の「巡視活動」を速報した意味はひとつしかない。東日本大震災の復興に手間取り、消費税増税問題で与党内がゴタゴタしている野田政権の隙をつき、本気で尖閣諸島領有の布石を打とうとしているのだ。

 ▼お隣の北朝鮮もまたぞろ長距離弾道ミサイルを発射しようとしている。そんなきな臭い空気の中、民主党の元大臣が成算もなく北の高官に会おうとしているのは、どういう了見か。政府の無策と政治家の無定見は、真夜中の地震より怖い。
【主張】
中国船長強制起訴 国の責任で起訴状届けよ
2012.3.19 03:09 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
 平成22年9月に尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件で、検察官役の指定弁護士が、公務執行妨害などの罪で中国人船長を強制起訴した。那覇検察審査会の起訴議決を受けたものだ。

 2カ月以内に起訴状が送達されなければ効力を失い、公訴棄却となる。那覇地裁は最高裁を通じ、中国の裁判所に送達を嘱託する手続きをとったが、中国側が拒否する可能性が高い。

 すでに釈放され、帰国している船長に起訴状を届けるには、日本政府の毅然(きぜん)たる外交が必要だ。国の意思を示すため、政府はあらゆる努力を尽くすべきだ。

 だが、藤村修官房長官は「指定弁護士の職権行使に政府として何か述べることは差し控えたい」と語っている。まるで人ごとだ。

 船長の釈放についても「検察当局が国内法と証拠に基づき判断を行い、その判断は適切だった」と語った。検察審査会の意義を、あまりに軽視した発言だ。

 検察審査会は、検察官による不当な不起訴を抑制するための制度だ。国民から選ばれた那覇検察審査会は証拠を精査し、2度にわたり検察当局の判断は誤りだと議決した。藤村長官の発言は、それを真っ向から否定したものだ。

事件の黒白は端(はな)から明らかである。海上保安庁の巡視船に故意に漁船を衝突させた船長は、海保に公務執行妨害の疑いで逮捕された。那覇検察審査会が「船長の行為は人命を危険にさらす無謀なもので、起訴すべきだ」と議決したのは、当然の判断だった。

 国民の疑問はむしろ、那覇地検が「今後の日中関係を考慮した」と説明した釈放の経緯や、当時の仙谷由人官房長官が「地検独自の判断を諒(りょう)とする」と述べた政府の関与にこそ向けられている。

 一方で、16日には中国の海洋調査船が尖閣諸島付近で、一時、日本の領海に侵入した。海保の退去警告に対し、中国船側は「魚釣島を含むその他の島は中国の領土だ」と応答したという。

 しかも、中国国家海洋局は、尖閣周辺での巡視を直ちに公表する異例の措置をとった。外務省が抗議したのは当然だが、対抗措置を検討すべきだ。中国の行動は、強制起訴の機をとらえた、明らかな恫喝(どうかつ)である。

 船長の強制起訴は、こうした脅しに屈してはならぬという、国民感情の表れでもあったはずだ。


起訴状送達、最高裁に嘱託 中国漁船衝突で那覇地裁

【主張】「尖閣打破」発言 中国の横暴を座視するな
2012.3.23 03:06 (1/2ページ)[主張]
 中国の監視船が尖閣諸島周辺の日本領海に侵入するなどした一連の活動について、中国共産党機関紙、人民日報は「日本の実効支配の打破」を目的とした定期巡視だとする当局者の発言を載せた。日本固有の領土である尖閣諸島のわが国の統治を真っ向から否定するものであり、本気で領有を狙ってきたとみるべきだ。

 丹羽宇一郎・駐中国大使は中国当局に確かめ、発言が事実なら強く抗議すべきだ。野田佳彦首相や玄葉光一郎外相らは対抗措置を取れるよう準備するなど、覚悟を決めて対処する必要がある。

 人民日報が尖閣諸島に関し、挑発的な報道を行うようになったのは、今年に入ってからだ。
 日本が尖閣周辺の離島などの命名作業を進めていることに対し、1月17日付で「公然と中国の核心的利益を損なう振る舞いだ」と非難した。「核心的利益」は中国が台湾やチベットなどに用いる言葉で、「安全保障上、譲れない国家利益」を意味する。

 今月16日には、中国監視船「海監50」が尖閣周辺の領海を侵犯した後、東シナ海のガス田海域に向かい、同行した「海監66」とともに、ガス田「白樺」付近で他の調査船4隻と合同訓練を行った。これも人民日報は紹介した。

 人民日報は自由な言論が認められた欧米や日本のメディアと異なり、一党独裁政権下の機関紙である。中国外務省自体は「核心的利益」という言葉を使っていないが、中国政府や軍の意向が反映されているとみるべきだ。
 同紙は中国国家海洋局が昨年、大型船16隻、小型船28隻の調査・監視船を増強したとも伝えた。国家海洋局は海軍と密接な関係にあり、特に、領海侵犯した海監50は最新鋭のヘリ搭載型で、1千トン級の海監66は同局所属の調査・監視船の中で最速とされる。

 これに対し、日本は尖閣周辺を海上保安庁の巡視船が巡回し、海上自衛隊の哨戒機「P3C」が空から監視しているだけだ。警戒態勢をさらに増強すべきだ。

 海上警察権を強化するための改正海上保安庁法などを早く成立させ、領海侵犯した中国監視船など公船を排除するための法整備に取りかかる必要がある。尖閣諸島での漁業中継基地建設や自衛隊常駐などの有人化対策も急がれる。

 中国の横暴な活動をこれ以上、座視することは許されない。
【産経抄】
3月24日
 あなたはいま、次期社長を約束された大会社の重役である、と仮定しよう。週末を控え何かと忙しい金曜の午後、重要な取引先である会社Mの元社長と現役の専務が、急用ではないがはるばる海外からきたので、別々に会いたい、と言ってきたらどう思うだろうか。

 ▼まずはうんざりとし、Mという会社はなんとまとまりも常識もない組織か、と軽蔑するはずだ。普通のまともな会社なら、日程をずらすか、あるいは一緒に訪問するよう事前に調整するはずだからだ。

 ▼続いて重役氏は、客に恩を売ろうとするだろう。「M社はわれわれにとって重要なパートナーなので、異例ではありますが、同じ日に別々にお会いすることにします」とかなんとか秘書に言わせ、2人は大喜びする。今後の商談がどちらの会社に有利に進むかは火を見るより明らかである。

 ▼Mのような間抜けな組織が実際にある。民主党だ。きのう次期国家主席確実とされる習近平副主席は、訪中した民主党の輿石東幹事長や仙谷由人政調会長代行ら9人と面会した。習氏は彼らが退出するとすぐに、鳩山由紀夫元首相と握手した。

 ▼次期国王を言祝(ことほ)ぐ外国使節団の趣だが、これでは尖閣諸島奪取に本気で乗り出してきた中国にはっきりモノを言えるはずがない。案の定、実のある話は出なかったという。

 ▼日本となじみの薄いアフリカ諸国と地道に交流し、実績をあげている議員もごく少数存在する。しかし、党内の消費税論議もまとまらず、年度末までに予算案が成立しそうにもない中、与党幹部がうち揃(そろ)って北京詣でを決行するとは国政をなめきっている。定数削減のさきがけとしてこの人たちの議員バッジをとりあげてもバチは当たるまい。
【産経抄】
3月26日
2012.3.26 03:08 [産経抄]
 「一大権力闘争の始まりだ」。昭和41年6月、彭真(ほう・しん)・北京市長の解任のニュースを聞いて、柴田穂(みのる)記者は大声を上げたという。その後北京支局長として文化大革命の実相を伝えたがゆえに、国外退去を命じられる。

 ▼それから長く小紙が北京に支局が持てなかったいきさつは、長年の読者ならご存じだろう。一党独裁体制が続く中国で現在、熾烈(しれつ)な争いを繰り広げているのは、胡錦濤(こ・きんとう)国家主席が率いる共産主義青年団派と、江沢民(こう・たくみん)前国家主席らの上海閥・太子党(高級幹部子弟)である。

 ▼そんななか飛び込んできた、重慶市のトップ、薄煕来(はく・きらい)・党委書記失脚のニュースは、何を意味するのか。矢板明夫北京特派員が上梓(じょうし)したばかりの『習近平(しゅう・きんぺい)』(文芸春秋)を読んで合点がいった。

 ▼薄氏は、次期国家主席に内定している習氏と同じ太子党に属している。ただ性格が正反対の2人は、少年時代からライバル関係だった。出世で先を越されたことに納得がいかず、非公開の場で習氏を批判したこともあったそうだ。

 ▼薄氏が重慶市で、冤罪(えんざい)を多く生みながらマフィア一掃キャンペーンを進めたり、毛沢東(もう・たくとう)を称賛する革命歌を市民に歌わせたりしたのは、自分の存在のアピールにほかならない。文革の悪夢を再現するような振る舞いに、温家宝(おん・かほう)首相は昨春、苦言を呈した。習氏も苦々しい思いで見ていたはずだ。

 ▼もっとも、薄氏の側近による米総領事館駆け込み事件を発端とする一連の事態は、矢板記者を含めて中国ウオッチャーすべての予想を超えるものだった。今は次期最高指導部で、薄氏が就く可能性が強かったポストをどちらの派閥が取るのかが、注目の的だ。対日政策にも大きく影響するだけに、目が離せない。

【主張】
新しい憲法へ 欠陥正さねば国もたぬ 誇りと自立心とり戻す内容に
2012.3.27 03:19 (1/3ページ)[主張]
 産経新聞の「国民の憲法」起草委員会が発足した。委員長の田久保忠衛氏は「国を新しくするという意気込みで取り組みたい」と、新憲法づくりの決意を表明した。この覚悟を共有したい。

 まず現行憲法が大きな欠陥を抱えていることを直視しよう。そのことに長い間、目をつぶってきた日本人の責任は問われるべきだが、今は国民の力を結集して、欠陥是正を最優先したい。

 ≪尖閣奪取を座視するな≫

 もはや、時間の余裕はない。中国が、日本固有の領土である尖閣諸島の奪取に動いている中、それを座視せざるを得ない基本的な枠組みにこそ、問題があるのだ。

 来年6月の産経新聞創刊80周年に向けて、憲法と国のありようを見つめ直し、日本の再生に全力を尽くしたい。

 日本の安全が脅かされていることの根幹に憲法がある。

 一昨年9月の中国漁船衝突事件以降、中国は強大な軍事力を背景に、尖閣周辺の日本の領海を侵犯し、海洋権益を侵害し続けている。今月も中国の監視船が領海に侵入した後、ガス田付近で他の調査船と合同訓練を行った。この侵犯に対し、海上保安庁の巡視船は退去要請しかできない。海上自衛隊であっても同様だ。

 国連海洋法条約では領海内の無害ではない行為に対し、必要な措置を取れるとしているが、日本はこれに沿った措置を取ろうとはしなかった。

憲法第9条の「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段」として放棄する規定に抵触しかねないとの判断が背景にある。だが、この規定は他国への侵略を念頭に置いており、領土・領海を守ることは自衛行動だ。倒錯しているといえる。国際法上の軍隊としての機能と権限を自衛隊に与えていないことにも、問題がある。備えの空白が野望を膨らまし侵攻を引き入れかねない。

 北朝鮮も、「衛星打ち上げ」と称する長距離弾道ミサイル発射実験を来月行うと予告した。憲法前文は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して…」と謳(うた)っているが、日本の周辺はもはや、そんな状況ではない。横田めぐみさんらが北朝鮮工作員に拉致された事件も、日本が自立した主権国家として強固な防衛体制を敷いていれば、防げた国家犯罪だった。

 問題は、こうした憲法と現実の乖離(かいり)が日米安保体制下の米軍事力で巧妙に隠され、そこに日本人が安住したことだ。戦後民主主義の弊害だ。自らの国を自らの手で守ろうとする自立心と気概が失われれば、日本に未来はない。

 占領時につくられた米国製の憲法が日本の無力化を目的にしていたことを忘れてはなるまい。

 昨年3月の東日本大震災に対しても、憲法を中心とする日本の法体系はあまりに無力だった。

 ≪緊急事態対処は明記を≫

 憲法は非常時について、衆院解散中の参院の緊急集会を定めているだけで、国家緊急事態への対処規定には著しい不備がある。

 現在の法体系でも、災害対策基本法があるが、当時の菅直人首相は同法に基づく「災害緊急事態」を布告せず、「重大緊急事態」に対処するための安全保障会議も開かなかった。国家の指導者として重大な不作為責任を免れないが、政権自体が国家の非常時を想定していない憲法に安穏とし、備えを怠っていたといえる。

 それでも、国民が一丸となって復旧・復興活動に全力を挙げたのは、秩序と助け合いを重んじる日本人の国民性に加え、天皇陛下をはじめ皇族方が岩手、宮城、福島県の被災地や首都圏の避難所を訪問し、被災者一人一人に声をかけて励まされたからである。

 被災者の救出、救援には、警察、消防とともに自衛隊が大きな力を発揮した。非常時に頼りになるのはやはり自衛隊だ。天皇を戴(いただ)く日本の国柄を明確にし、自衛隊の役割を憲法で明記する必要性を改めて痛感させられた。

 産経新聞は昭和56年元日付の年頭の主張で、新聞社として初めて憲法改正を訴えた。それ以降、9条改正などいくつかの提言を行ってきた。昨年9月には、日米安保条約の片務性を是正するために「自立」と「相互防衛」を両輪とする再改定案を提示した。

 これらの蓄積を生かし、日本に生まれた子供たちが日本の歴史に誇りを持ち、将来に希望を持てる新憲法づくりを目指したい。

【主張】
核サミットと北 中国は本気で発射止めよ
2012.3.28 03:23 (1/2ページ)[主張]
 ソウルで開かれた核安全保障サミット最終日の全体会合で、野田佳彦首相が北朝鮮の事実上のミサイル発射予告を非難、強く自制を求めた。

 韓国の李明博大統領もサミット閉幕後の会見で各国首脳から北の核・ミサイル開発への批判が出たことを明らかにした。サミットは北への圧力を強める成果を挙げたといえる。

 サミットは核テロ防止策や原発の安全管理が本来の議題だった。しかし、北のミサイル問題は日本を含む東アジアの安全保障には喫緊の課題である。

 野田首相が米中韓露など53カ国の首脳らが一堂に会した場で踏み込んだ発言をしたのは妥当といえるが、参加が出遅れた上に、短時間の出席で存在感を欠いたのは極めて残念だった。

 首相は北の発射予告を「国際社会の(核)不拡散の努力に反し、国連安保理決議に違反している」と名指しで非難した。核弾頭の運搬手段となるミサイルこそ、核安保サミットで論じるのにふさわしい。今後は国連安保理にミサイル発射中止を勧告する決議の採択を働きかけるなど具体的な行動力を示してほしい。

 問題はこうした圧力の実効性である。北が「金日成主席生誕100年」となる4月15日前後のミサイル発射を予告したのは、金正恩新体制を固めるためだ。発射計画を「絶対に放棄しない」(北朝鮮外務省)とする頑迷な姿勢を転換させるカギは、長く北の後ろ盾となってきた中国が握っている。

オバマ米大統領と議長国の李大統領はいずれもサミットの合間に中国の胡錦濤国家主席、ロシアのメドベージェフ大統領と個別に会談した。だが、発射阻止に向けて4カ国首脳の足並みが完全にそろったわけではない。

 例えば、米露と韓露の首脳会談では「ミサイル発射は国連安保理決議に違反」との立場で一致した。しかし、中韓首脳会談で胡主席は国連決議への見解を示さず、「打ち上げを中止するよう数回にわたり求めた」などと述べたという。不透明さがぬぐえない。

 中国自身が掲げてきた「朝鮮半島の非核化」が揺らいでいる。

 6カ国協議議長国の責務として中国は北への影響力を発揮し、ミサイル発射を中止するよう、全力を挙げて説得すべきだ。さもないと、中国もまた国際社会から指弾されよう。
【主張】
教材にマ証言 バランスのとれた授業を
2012.4.3 03:24 (1/2ページ)[主張]
 日本が対米戦争を始めたのは「自衛(安全保障)」のためだったとする連合国軍総司令部(GHQ)最高司令官、マッカーサー元帥の証言が東京都立高校の教材に掲載される。生徒に先の戦争を多角的に捉えさせ、考えさせる機会として期待される。

 この証言は、司令官を解任されたマッカーサーが1951(昭和26)年5月3日に、米上院軍事外交合同委員会の公聴会で行った。資源小国の日本が安全確保の必要に迫られて戦争を起こしたという内容である。

 小堀桂一郎氏らがニューヨーク・タイムズ紙の記事を基に証言録を入手、翻訳文と解説が雑誌「正論」などに掲載されていた。

 証言は、江戸時代から今日まで約400年間の東京の歴史を盛り込んだ「江戸から東京へ」と題する教材に英文で掲載される。都立高に限らず、他の学校でも取り上げてほしい貴重な証言だ。

 現代史の授業は、戦勝国が敗戦国日本の戦争指導者を一方的に裁いた、極東国際軍事裁判(東京裁判)に基づく歴史観によって行われる傾向が強い。多くの教科書も、満州事変から日米戦争までの一連の出来事を日本の「侵略」と捉えた書き方である。

 しかし、東京裁判の判決は必ずしも歴史の真実ではない。

 いわゆる「南京大虐殺」をめぐって、旧日本軍が約20万人の中国軍捕虜や市民を殺害したと認定されたが、その後の実証的な研究により、「20万」が誇大な数字で、「大虐殺」が中国側の反日宣伝だったことも明らかになった。

 東京裁判では、インドのパール判事が日本の無罪を主張し、事後法で裁いた裁判自体を批判した。また、小堀氏らにより、弁護側が提出したものの却下された資料や、未提出に終わった資料が大量に発掘され、刊行されている。

 社会科の教師はこれらに関する文献も調べ、バランスのとれた授業を行うべきである。

 現行憲法はマッカーサーらGHQが草案を作り、これに日本側が修正を加えたものだが、子供たちはあまり知らない。教師が制定過程を詳しく伝えないからだ。

 憲法の平和主義の理念ばかりを唱えるのではなく、中国の軍拡や北朝鮮の核開発などの脅威に対処できなくなっている憲法の欠陥も、子供たちに分かりやすく教える必要がある。
【主張】
北のミサイル 中国は責任を放棄するな
2012.4.10 03:21 (1/2ページ)[主張]
 「人工衛星」と称する北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射問題を協議するため中国で開かれた日中韓外相会談は、北に自制を求める方針で一致したが、発射を強行した際の対抗措置で日韓と中国のすれ違いに終わった。

 日韓が対北制裁強化を含む新たな国連安保理決議採択へ協調を求めたのに対し、中国の楊潔●外相が明確な姿勢を示さなかったためだ。

 発射は安保理決議の明白な違反であり、これを厳しく罰するには実効性ある措置が欠かせない。

 にもかかわらず、北の後ろ盾といえる中国の対応は極めて不十分かつ無責任だ。安保理常任理事国であり、「朝鮮半島非核化」を掲げる6カ国協議議長国でもあることを自覚し、国際社会への責任を明確に果たしてもらいたい。

 外相会談で、玄葉光一郎外相は「発射は明確な安保理決議違反」とし、韓国の金星煥外交通商相も「国際社会の厳しい対応が必要」と主張した。だが、楊外相は「長い目で平和的に解決すべきだ」などとし、新決議や制裁強化に触れようとしなかったという。

 先にソウルで開かれた核安全保障サミットでも、日米韓露の4カ国首脳は「ミサイル発射は安保理決議違反」との認識で一致した。明確な見解を示さなかったのは、中国の胡錦濤国家主席だけだ。

この間に、北はミサイルや発射施設を外国報道陣に公開するなど着々と準備態勢を誇示している。「平和利用」を口実に安保理決議違反との批判を無視し、既成事実を重ねる狙いだろう。また、ミサイル発射に対して国連が新決議採択に動くなら、3回目の核実験で対抗する構えも見せている。

 中国は、エネルギーや食糧を中心とする経済支援を通じて北に多大な影響力を示してきた。

 ミサイル発射を阻止するために影響力を行使しようとしないことは、北を擁護していることを意味する。中国の“正体”が見えたといってよい。

 ミサイル発射や核実験で、最も大きな脅威を受けるのは日本であることも忘れてはならない。

 発射予告期間に入る12日(日本時間)はワシントンで主要国(G8)外相会合、10日には日米外相会談が開かれ、この問題が重要議題となる。野田佳彦政権は日米の緊密な連携を堅持するとともに、北への対抗措置づくりに主導権を発揮する必要がある。

●=簾の广を厂に、兼を虎に
【主張】
北ミサイル発射 さらなる暴挙に備えよ 安保理で実効性ある懲罰を
2012.4.14 03:13 (1/4ページ)[主張]
 北朝鮮が「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイル発射を強行した。結果は失敗に終わったが、日本や韓国を含む東アジアの安全と世界の平和を揺るがす重大な挑戦であり、無謀な発射は関係国に深刻な危険と脅威をもたらした。これを断じて許してはならない。

 日米など主要国(G8)や韓国をはじめ、世界が「国連安保理決議の明白な違反」と制止したのを無視した暴挙に対し、断固たる懲罰を加えるべきであることは言うまでもない。同時に、北の国防委員会第1委員長に就任しながら発射失敗で面目を失った金正恩氏はその挽回を狙って3度目の核実験などへ突進する恐れもある。

 ≪中国は制裁に足並みを≫

 北のさらなる挑発に備え、これを抑止するためにも、速やかな行動が必要だ。日本政府などの要請で開かれる安保理緊急会合では国際社会の総意結集を急ぎ、新たな制裁強化決議も視野に、実効性ある対抗措置を講じるべきだ。

 また日米同盟を通じた日本の防衛と安全のあり方を検証する機会ともしたい。日本政府がミサイル防衛(MD)システムで迎撃態勢を敷いたのは当然である。その一方で、発射情報の公表遅れなどでは問題を残した。

北は1998年、2006年、09年と弾道ミサイルを発射、06年、09年に核実験も強行した。安保理は一連の制裁決議で核・ミサイル関連兵器と奢侈(しゃし)品の禁輸、金融資産凍結などの措置を発動したが、加盟国に「制裁順守を要請する」とし、制裁破りへの明確な罰則はないのが現状だ。この欠落を埋める工夫と加盟国の真剣な取り組みが不可欠といえる。

 とりわけ中国には責任ある行動が求められる。北の最大の友好国である中国は、日米韓が期待した発射中止を説得する役割を十分に果たさなかった。胡錦濤国家主席はミサイル発射の2日前、朝鮮労働党第1書記に就任した金正恩氏に「(中朝)友好関係の発展は中国共産党と政府の不動の方針だ」と祝電さえ送った。発射強行への後押しと言わざるを得ない。

 中国は安保理常任理事国で、6カ国協議の議長国でもある。にもかかわらず、北への食糧やエネルギーなどの支援を続けてきた。それが北の核・ミサイル開発を進展させたのは明らかだ。

 今回のミサイル発射の総費用は約700億円(韓国筋)で、コメ140万トンに相当するという。
中国外務省は各国に「冷静さと自制」を求める談話を発表したが、今なすべきは「発射は安保理決議違反」と明確に認め、日米韓露などと足並みをそろえ圧力を強めることだ。国民の食糧難に目を閉ざして「先軍政治」を貫く政策を改めさせることではないか。

 安保理での議論と並行して日本政府は独自の制裁強化策の検討に入ったが、オバマ米政権にも対北金融制裁復活や「テロ支援国家」の再指定を求めたい。北に対してはそうした措置が有効だ。

 ≪公表遅れの責任大きい≫

 一方、野田佳彦政権は沖縄本島や宮古島などに迎撃用地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を配備、救援などに陸自隊員約400人を派遣するなど国民の生命・財産を守る万全の態勢で臨んだ。

 これに対し、民主党の小沢一郎元代表は「何日もかけてロケットをあちこちに運ぶのはナンセンスだ」と語り、社民党は「政府の対応は過剰」などと批判した。傍観しろという意味なのだろうか。

 午前7時38分のミサイル発射を政府が最初に確認したのは、約40分後に「何らかの飛翔(ひしょう)体が発射された情報がある」とした田中直紀防衛相の会見だ。だが既に8時前後に韓国国防省が発射を発表、米メディアも米高官の話として「発射失敗」を報じた。官邸危機管理センターが8時過ぎ、自治体向けの「Em-Net」で「発射を確認していない」と伝えたことも混乱に拍車をかけた。

発射の一次情報は米早期警戒衛星に依存しており、09年の前回発射の際は前日に誤報を出した。今回は慎重を期したにせよ、首相官邸なども米情報を早い段階で生かせなかった。ミサイルが日本に飛来していたら、対応は困難と言わざるを得ない。

 自民党など野党は政府対応を国会で追及する構えだ。政争の具とせずに、核やミサイルの脅威に対抗できる抑止力のあり方などを含め、日本の平和と安寧を守る手立てを徹底的に論議すべきだ。
【主張】
尖閣「購入」 石原構想で統治強化を 対中危機意識を共有したい
2012.4.19 03:09 [尖閣諸島問題]
 東京都の石原慎太郎知事が米国で講演し、「東京都が尖閣諸島を購入する」との構想を明らかにした。すでに魚釣島、北小島、南小島を所有している地権者との交渉も進んでいるという。

 日本固有の領土である尖閣諸島を守り、実効統治を強化していくための有効な提案だ。国を挙げて支持したい。

 石原氏の発言は「中国が(尖閣を狙って)過激な行動に走り出した」「本当は国が買い上げたらいいが、外務省がびくびくしている」「日本人が日本の国土を守るために(都が)島を取得する」という趣旨の内容だ。

 ≪政府は国有化をめざせ≫

 この発言には、尖閣周辺で領海侵犯などを繰り返す中国に対する危機意識と、日本政府の腰の引けた対中姿勢への憤りといらだちがうかがえる。米国で講演することにより、尖閣諸島の日本領有を世界に発信し、国際社会に訴える狙いもあったとみられる。

 石原発言を受け、藤村修官房長官は「必要ならそういう(国有化)発想で前に進めることもある」との認識を示した。野田佳彦首相も18日の衆院予算委員会で「所有者の真意を改めてよく確認する中で、あらゆる検討をしたい」と述べ、国有化も選択肢とする考えを示唆した。

 石原氏に刺激されたとはいえ、野田政権も前向きな対応を示したのは当然だ。

 尖閣諸島は現在、魚釣島など4島を民間人が所有し、国が賃借料を払って借りている。民主党政権は尖閣周辺を含む39の離島に名前を付け、うち23を国有財産化するなどの措置を取ってきた。

 しかし、尖閣周辺の離島を国有財産化の対象から除外するなど、いまだ十分とはいえない。これを機に、野田政権は尖閣諸島の国有化を真剣に検討すべきだ。

 また、尖閣諸島を行政区域として管轄する沖縄県石垣市の中山義隆市長は石原発言を「好意的に受け止めている」と歓迎し、仲井真弘多沖縄県知事も「何となく安定する感じ」と語った。中山市長は「市との共同所有が望ましい」とも言っている。

 東京都が石垣市などと共有するのも有効な方策である。国であれ、自治体であれ、尖閣諸島が公有化されることは、そこに日本の主権が及んでいることをより明確にする重要な意義がある。

 石原氏が指摘するように、最近の中国船の尖閣諸島周辺での横暴な行動は座視できない深刻な事態だ。一昨年9月の中国漁船衝突事件後、中国の海洋調査・監視船などの日本領海侵入は相次いでいる。中国共産党機関紙「人民日報」も譲れない国家利益と位置付けており、中国が尖閣奪取を狙っていることは明白である。

 野田政権や沖縄県など関係自治体は石原氏と対中危機意識を共有し、速やかに行動すべきだ。

 ≪漁業中継基地の設置を≫

 尖閣諸島の実効統治をより確かなものにするためには、公有化に加え、有人化も急がれる。

 尖閣周辺は漁業資源が豊富で、付近の海底にも石油や鉱物資源が眠っている可能性が大きい。漁業中継基地の設置や海底資源を調査する研究所設立などの知恵を絞ってほしい。公有化により、自衛隊の常駐も可能だ。

 かつて、日本も尖閣の実効統治を強めようとした時期がある。中国漁船が大挙して尖閣近海の領海を侵犯した事件から1年後の昭和54年5月、当時の大平正芳内閣は魚釣島に仮ヘリポートを造り、動植物、地質、水質などを調べる調査団を派遣した。

 しかし、中国がこれに強く抗議してきたため、調査団を予定より早く引き揚げさせた。その後、本格的なヘリポートや灯台、避難港などの建設計画が一部で浮上したが、中国への配慮から先送りされた。現在は、日本の政治団体が昭和63年に建てた灯台を海上保安庁が管理しているだけだ。

 53年8月の日中平和友好条約調印の際も、問題の解決を次世代に委ねたいとする当時の中国の最高実力者、トウ小平副首相の意向もあって、日本の領有権は明確にされなかった。

 中国との事なかれ主義外交を続けてきた歴代自民党政権の責任も大きい。日本の領土を国が守るために最善の策を講じることは、主権国家として当たり前のことだ。与野党とも、政治家はこのことを肝に銘じるべきだ。
【産経抄】
4月19日 都の「尖閣諸島購入計画」を批判する新聞へ
2012.4.19 03:08 [尖閣諸島問題]
 東京都の石原慎太郎知事がワシントンで明らかにした「尖閣諸島購入計画」について、案の定、朝日新聞が社説で批判している。「日本人が上陸しただけで反発してくる中国のことだ。問題はいっそうこじれるだろう」。果たしてそうか。

 ▼中国や台湾が、尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、1960年代後半からだ。沖縄県に編入されてから70年以上もたっていた。付近の海底で、石油資源が埋蔵している可能性が高まったからだ。

 ▼一昨年9月、中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件は、多くの日本人に尖閣問題の深刻さを教えてくれた。実はそれ以前から、大量の中国漁船が日本の領海をわが物顔で徘徊(はいかい)してきた。今年に入ってからは、漁業監視船の侵入も頻繁になっている。

 ▼エスカレートする中国の挑発行為に対して、いまだ自衛隊の常駐が実現していない。それどころか、日本人の上陸を許さず、無人島のまま放置してきた。自民党政権時代から続いてきた事なかれ主義こそ、問題をこじらせてきた元凶だ。

 ▼所有者には、中国側から数百億円の買収話があったとの報道もある。一刻も早く公有化して、実効統治を強めなければ中国の思うつぼだ。きのう「あらゆる検討をしたい」と語った野田佳彦首相は、石原氏と危機感をどこまで共有しているのか。

 ▼東京新聞は、「都民の税金は暮らしのために使ってほしい」と主張する。ならば猪瀬直樹副知事がいうように、寄付を募ればいい。前の晩に岩手、宮城、福島3県の郷土料理と地酒を堪能した「復興支援酒場」が参考になる。利益をすべて、被災地に寄付するというのだ。「尖閣買い入れ支援酒場」が開店すれば、大入りは間違いない。
【主張】
主権回復の日 「領土」と「拉致」に本腰を
2012.4.28 03:25 (1/2ページ)[主張]
 サンフランシスコ講和条約の発効から、28日で60年を迎えた。講和条約によって敗戦国日本は占領体制を脱し主権を回復したが、政府主催の行事は予定されておらず、関心は薄いのが現実だ。

 その中で注目すべきは今月、石原慎太郎東京都知事が米国で「東京都が尖閣諸島を購入する」と発言したことだ。

 これまで、都には約3500件の意見が寄せられ、9割が賛成だった。現金書留などによる寄付も約30件あったという。日本の領土、領海を守るという主権意識が大きなうねりになってきたといえ、戦後日本のありようを見つめ直す契機としたい。

 反響の根底には、一昨年9月の尖閣沖での中国漁船衝突事件で、中国人船長を逮捕したにもかかわらず、処分保留のまま釈放してしまったことに象徴される政府の弱腰外交への批判がある。

 中国は日本政府の足元を見透かすように漁業監視船などを尖閣周辺に派遣し、領海侵犯を繰り返している。野田佳彦政権は今こそ、尖閣諸島の有人化など、領土保全策に本腰を入れるべきだ。

 尖閣諸島は講和条約発効から20年後、沖縄返還で米国から返された島だが、北方領土と竹島は、戦前・戦後を通じて一貫して日本固有の領土である。しかし、北方領土はロシア、竹島は韓国に不法占拠されたままだ。ロシア大統領の北方領土訪問など不法占拠を既成事実化する露骨な行為には、強い対抗措置が求められる。
 横田めぐみさんらが北朝鮮工作員に拉致された問題が長年、放置されてきたのも、多くの政治家や外務官僚の主権意識が希薄だったことと無関係ではない。

 拉致は日本人の生命が危険にさらされ、人権を奪われただけでなく、主権を侵害された北による国家犯罪である。日本政府は拉致された日本人全員を取り戻すまで、全力を尽くさねばならない。

 講和条約は11条で、極東国際軍事裁判(東京裁判)などの受諾を求めている。だが、それは、戦犯として有罪判決を受けた被告の刑の執行の継続と法による適正な赦免・減刑手続きを求めた規定で、東京裁判における「南京大虐殺」など一方的な事実認定まで日本に強要したものではない。

 東京裁判などにとらわれない国民の歴史を取り戻すことも、重要な課題である。
【産経抄】
5月4日
2012.5.4 03:12 (1/2ページ)[産経抄]

盲目の人権活動家、陳光誠氏(AP)
 「大使館を出なければ、妻を殴り殺す」。AP通信によれば、北京の米大使館に保護されていた盲目の人権活動家・陳光誠氏に対し中国当局者は米側を通じこう伝えたという。事実だとすれば、暴力団や闇組織としか思えない、れっきとした「脅迫」である。

 ▼陳氏はその後、大使館を離れて北京市内の病院に入り家族と再会したという。米側は陳氏への圧力を否定し「安全は保証される」としているが、まだまだ不透明だ。もし「脅迫」をバックに米国が中国と妥協したというのなら、批判は免れないだろう。

 ▼ただ今回の事件では「収穫」もあった。中国の人権抑圧の実態や当局者の「粗暴」な体質がかなりな程度明るみに出たことだ。軟禁されていた自宅から脱出し、ケガをしながらも8時間かけ北京にたどりついた。その逃避行が間をおかず、外国メディアで生々しく報道された。
 ▼凄惨(せいさん)な権力抗争だった文化大革命をはじめ、この国での少数民族抑圧や言論封じはすべて分厚いカーテンの向こう側で行われてきた。このため特に日本では、中国を見る目が曇らされた。いまだに経済成長に関心を奪われ、その陰湿さに向き合おうとしない人が多い。

 ▼しかしそのカーテンも良い意味でほころび始めた。中国にネット社会が広まり情報がもれやすくなった。外国メディアもアンテナを張り巡らせているからだ。実力者だった薄煕来氏の失脚事件も、新たな権力抗争として早くから報道されている。

 ▼北朝鮮の「ミサイル」発射のときにも書いたが、独裁国の横暴を防ぐには、ベールを一枚、一枚はがし監視していくしかない。中国も、そのことを世界で一流国と認められるための試金石と考えてもらわないと困る。
【産経抄】
5月12日 議員旅費増額、原因は中国の“嫌味”
2012.5.12 03:18 [産経抄]
 「永田町の常識は世間の非常識」なのは、すっかり常識になってしまったが、またまたあきれた話が明るみに出た。衆院が議員の海外派遣に使える旅費が少ないと、来年度予算案に今年度の4・5倍に当たる20億円を要求しようとしていたのだ。

 ▼国会議員が公費で外遊する場合、飛行機の座席はエコノミークラスではなく、ビジネスクラス以上を使う。泊まるホテルも各都市のトップクラスだ。国民に消費税増税を強いる一方で、自らは贅沢(ぜいたく)三昧の海外旅行費を税金からむしり取ろうとは悪代官もびっくりの所業である。

 ▼旅費増額要求の舞台裏も情けない。事情通によると、大型連休中に訪中した横路孝弘衆院議長らが、中国側要人に「日本は議員外交が少ないですね」と嫌みを言われたのがきっかけで、急に持ち上がった話だという。

 ▼中国側の意図は明白である。自民党政権時代から、首相の靖国神社参拝や法外なカネを注(つ)ぎ込み続けている遺棄化学兵器問題で日本よりも中国側に立って行動してきたセンセイたちの引退や老化が進み、「親中派」の若返りを急いでいるのだ。

 ▼議員外交がすべて無駄だ、と言っているのではない。前にも書いたように、引退後もアフリカの中小国と地道な交流を続けている議員、米有力議員と外交や経済問題について本音で論議できる議員もいた。

 ▼残念ながらそういった外交通の国会議員はごくまれになってしまった。中国に行っても「友好第一だから」と尖閣諸島沖での中国の挑発について何一つ触れず、韓国に行っても竹島や慰安婦問題で理不尽な要求をされて反論もしない。そんなセンセイたちのために旅費を用立てる必要は毛頭ない。盗人に追い銭とはこのことである。
【主張】
「核心的利益」発言 中国の意図は尖閣奪取だ
2012.5.15 03:26 (1/3ページ)[主張]

日本は万全の備えと覚悟を


 北京での日中韓首脳会議(サミット)に合わせて設定された野田佳彦首相と中国の温家宝首相との個別会談で沖縄・尖閣諸島をめぐって応酬があり、温首相が「(中国の)核心的利益と重大な関心事を尊重することが大事だ」と発言した。

 「核心的利益」とは、中国にとって安全保障上譲ることができない国家利益をさす。尖閣問題と関連付けながら、中国首脳が、これを口にしたことは初めてであり、きわめて重大である。

 ≪野田首相の反論は当然≫

 温首相は「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国領土だ」と改めて強調している。中国公船による尖閣周辺の領海侵犯が常態化している状況下、温首相の発言は海洋権益の拡大を狙う中国が尖閣奪取の意図を明確にしたと受け止められる。尖閣問題が新たな局面に入ったとの危機認識が必要だ。

 温首相の発言に対し、野田首相が「尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らか」と反論し、さらに、「中国の海洋活動の活発化が日本国民の感情を刺激している」と指摘したのは当然だ。首脳レベルでは尖閣問題にふれないようにしてきたこれまでの民主党政権の方針を転換したことは意味がある。

 ただ、両首相は「日中関係の大局に影響を与えることは好ましくないとの認識で一致した」という。問題を棚上げにしても解決にはつながらない。

 今回の「核心的利益」発言の背景には、中国側の思惑が見え隠れしている。
 温首相は尖閣問題に加え、東京での「世界ウイグル会議」に出席したラビア・カーディル議長に対する日本側のビザ発給を批判したという。中国側はウイグル問題を「核心的利益」としている。

 一方で、中国国営新華社通信や中国中央テレビは、ウイグルと尖閣の問題を並べ、温首相が「中国の核心的利益と重大な懸案事項を尊重するよう日本に求めた」と報じた。尖閣問題での対日強硬姿勢を強調する中国側の宣伝工作に振り回されてはならない。

 台湾やチベット、ウイグル問題など中国の「核心的利益」を尖閣問題にまで拡大したともとれる発言の口実として、中国側は石原慎太郎東京都知事が先月発表した都による尖閣諸島の購入計画を意識しているようにみえる。

 都が開設した購入資金の寄付金口座には半月で5億円以上が集まった。日本の国内世論の高まりに中国が危機感を強めている。

 次期最高指導者に内定している習近平国家副主席は今月訪中した日中友好議員連盟に対し、「核心的利益」との文言を使って石原知事を暗に批判した。日本にしてみれば、知事の計画は尖閣諸島を守り、実効統治を強化していくための有効な提案だ。習副主席の発言もまた、中国側の勝手な言い分と言わざるを得ない。

 ≪海保法改正案の成立を≫

 政権指導部の交代が行われる今秋の共産党大会を前に、中国では重慶市党委員会書記だった薄煕来氏の中央政治局員解任をめぐるスキャンダルや、盲目の人権活動家、陳光誠氏の米国出国問題など社会安定を揺るがす出来事が続いている。国内の統制をはかる意味でも、中国は尖閣で強く出ざるを得ないのではないか。

そうした状況を念頭に日本は戦略を練る必要がある。

 野田首相が温首相との会談の翌日に求めていた胡錦濤国家主席との首脳会談は中国側が応じなかった。きわめて残念だ。

 中断されたままになっている東シナ海のガス田共同開発をめぐる交渉再開については温首相から具体的な時期を引き出すことはできなかったが、粘り強く再開を迫るべきだ。さらに、15日から中国浙江省で開催される東シナ海での危機管理を話し合う事務レベルの海洋協議も継続が必要だ。

 また、野田首相は、中国漁船衝突事件で強制起訴された中国人船長の身柄引き渡しを温首相に直接求めるべきだった。

 最も重要なのは、領土を守るための具体的行動である。

 すでに国会に提出された海上警察権強化に向けた海上保安庁法などの改正案は早急に成立させなければならない。野田政権には、尖閣諸島での自衛隊常駐や警戒監視レーダーの設置など、実効統治を強めるための具体的行動と覚悟が求められている。

【主張】
世界ウイグル会議 中国の抗議は内政干渉だ
2012.5.17 03:09 (1/2ページ)[主張]
 中国による不当なウイグル人弾圧などを訴えて東京で開催中の「世界ウイグル会議」代表大会(17日まで)に出席した日本の国会議員らに対し、程永華駐日中国大使が抗議文を送った。

 日本での開催容認を「中国の内政に対する干渉」だと決めつけ、同会議との接触を断つよう求めている。

 言論、集会の自由を保障するのは民主主義国家の根幹であり、揺るがしてはならない。理不尽な要求を、日本政府は断固はねつけるべきだ。

 13日の日中首脳会談でも温家宝首相が野田佳彦首相に対し、同会議のラビア・カーディル議長らへの査証(ビザ)発給について「テロリストを入国させるのは許せない」と激しい言葉を浴びせたという。温発言や程大使の抗議文こそ、一党独裁国家による独善的な内政干渉と受け取られよう。

 程大使の抗議文は日本ウイグル国会議員連盟会長の古屋圭司衆院議員(自民)ら代表大会に出席した5人のほかにも送付されたようだ。今月8日付だが、大会初日の14日に届いたという。

 抗議文は中国による新疆統治の正当性を強調している。「世界ウイグル会議」は中国の分裂をたくらむテロ組織の結合体▽カーディル議長は中国の司法機関から訴追されている犯罪人-などとし、開催を認めれば「日本の安全にも害がある」と主張している。
しかし、中国から亡命したウイグル人を束ねる組織として2004年に再編された「世界ウイグル会議」は、国際的に認知された人権団体も支援している。米国に亡命したカーディル議長は、これまでに何度も来日した。違法性がない限り、開催に政府が介入するのは妥当でない。

 今回の会議には、議長を含め世界20カ国から約120人が集まっている。代表大会がアジアで開催されるのは初めてだ。中国の反対を恐れ、尻込みしては民主主義国家としての信用にかかわる。

 カーディル議長らへのビザ発給に関し、玄葉光一郎外相は16日の記者会見で「国内法と国際法に従い、安全に害があるかどうかも含めて、きちっと対応している」と述べた。

 野田首相はこうした民主主義のルールを説明して反論し、中国側の不当な介入に屈しない姿勢を世界に発信すべきだ。
【主張】
中国船長公訴棄却 これで幕引きは許されぬ
2012.5.21 03:27 (1/2ページ)[主張]
 沖縄・尖閣諸島沖で平成22年9月に起きた中国漁船衝突事件で、公務執行妨害などの罪で強制起訴された中国人船長について、那覇地裁は公訴棄却を決定した。

 刑事訴訟法に規定された起訴から2カ月以内の15日までに船長に起訴状が送達されず、効力を失ったためだ。政府や検察当局の事件対応に多くの疑問を残したまま、これを幕引きとすることは許されない。

 那覇検察審査会の起訴議決を経て、検察官役の指定弁護士は3月15日に強制起訴した。

 那覇地裁は法務省を通じて3月18日、中国側に司法共助を求める文書を送った。しかし、中国側は今月15日になって「尖閣諸島は自国の領土であり、日本の司法手続きを受け入れることはできない」と回答してきたという。

 日本側は、期限最終日の拒否回答まで中国側の対応をただ待ち続けたのか。領土を主張する回答をそのまま受け入れたのか。何の外交努力も尽くさなかったのか。

 13日に北京で温家宝首相と会談した野田佳彦首相は、船長の身柄引き渡しや起訴状送達について、何も求めなかったのか。国家の主権にかかわる問題である。政府はきちんと説明すべきだ。

 検察審査会は、検察官が独占する起訴権限の行使に民意を反映させて不当な不起訴処分を抑制するためにある。

船長の犯意が明白なこの事件で、那覇検審の強制議決は、「今後の日中関係を考慮した」と説明して船長を釈放・帰国させた那覇地検や「地検独自の判断」と繰り返した政府の関与に向けられたものといえる。

 誰の目にも不自然と映った船長に対する不起訴(起訴猶予)処分について、その背景も含め、改めて検証する必要がある。

 政府はこの事件で、海保が撮影した衝突時の録画映像の公開を、「刑事訴訟法上の証拠」であることを理由に拒み続けてきた。

 海上保安官(当時)が流出させた映像を見れば、中国漁船が故意に海保の巡視船に体当たりしたことは明らかだった。

 公訴棄却で裁判が開かれないなら、録画映像はすでに「証拠」ではない。拒む理由を失った以上、政府は正式な形で録画映像を全面公開すべきだ。

 うやむやのまま事件を忘れてしまうことが、一番悪い。

【主張】
陳氏の米国到着 「正義の実現」圧力かけよ
2012.5.22 03:11 (1/2ページ)[主張]
 中国で「盲目の人権活動家」として知られ、北京の米大使館に駆け込んで去就が注目された陳光誠氏が妻や子供2人とともに出国し、米ニューヨークに到着した。

 陳氏の留学名目の渡米を中国政府が認め、米中双方が合意した結果だ。陳氏一家の身の安全がひとまず確保されたことは歓迎したいが、事実上国外追放となる可能性が高い。それこそが問題である。

 近い将来の帰国を希望している陳氏は受け入れ先の大学で「中国での正義の実現」を訴えた。

 地方当局者の暴力に抵抗した陳氏のおいが故意殺人容疑で逮捕されるなど関係者への迫害は続いている。中国政府は暴力や抑圧を即時やめさせるべきだ。こうした実態について、国際社会をあげて監視を続けなければならない。

 陳氏は当局の「一人っ子政策」を理由にした中絶強制などを告発した。交通秩序攪乱(かくらん)罪などで服役し、2年前に出所後も山東省の自宅で軟禁状態に置かれていたが、先月下旬、支援者の協力で脱出に成功した。

 米大使館に保護された当初、中国国内にとどまる意向を示した陳氏は一転して出国を希望した。動揺を見せた背景に、当局の暴力への恐怖がある。

 陳氏はネットで公開したビデオで自宅軟禁中に妻らが暴行を受けたと訴えた。胡錦濤政権は陳氏が温家宝首相に直訴した調査の結果を包み隠さず公表すべきだ。

 中国で民主化運動、人権活動家らへの弾圧は数え切れない。
1989年の天安門事件の際に民主化を求める学生らの精神的支柱だった天文物理学者の方励之氏は米大使館に保護を求め、1年後に英国に出国し、最終的に米国に亡命した。弾圧に耐えかねて米国に逃れたエイズ活動家もいる。

 しかし、今秋の共産党大会での指導部交代を控えた中国政府が政治的な「不安定要因」として最も警戒するのは、陳氏のように国内で影響力を発揮しうる人物だ。一党独裁体制の廃止を求めた「08憲章」の起草者として国家政権転覆扇動罪で服役中、ノーベル平和賞を受賞した劉暁波(りゅうぎょうは)氏もそうだ。

 中国の主要メディアはこれらの問題をほとんど報じていない。陳氏らを後押しできるのは、普遍的な民主主義の価値観に立つ日米欧である。異質さを改めるよう圧力をかけ続けることが必要だ。


【主張】
中国スパイ疑惑 国会は農水相ら追及せよ
2012.6.2 03:26 [主張]
 日本でスパイ活動を行った疑惑が持たれている在日中国大使館の李春光・元1等書記官が、外国人登録法違反(虚偽申請)などの容疑で警視庁から書類送検された。

 一時帰国した元書記官は再三の出頭要請にも応じず、不起訴になる公算が大きい。玄葉光一郎外相は中国に抗議したことを明らかにした。当然である。

 今回の事件で、鹿野道彦農林水産相や筒井信隆農水副大臣らが進めていた日本の農産物の対中輸出事業に、元書記官が深く関与していた疑惑も浮上した。元書記官は鹿野氏らとしばしば接触し、副大臣室にも出入りしていた。

 事業が起こされる過程での不可解な人事も問題になっている。鹿野グループに所属する衆院議員の公設秘書が、いきなり農水省顧問に任命され、8カ月後の23年7月に設立された社団法人「農林水産物等中国輸出促進協議会」の代表理事に就いている。

 焦点の一つは、元書記官が鹿野氏らと接触しながら機密を入手したかどうか、その場合、それは何かである。筒井氏は元書記官に文書を渡したことは認めている。

 衆参両院の予算委員会や農水委員会で、元書記官がどう近づいてきて事業にどう関与したかを、鹿野、筒井両氏は詳しく説明すべきだ。鹿野氏は、国会議員の公設秘書を農水省顧問に任命した経緯も改めて説明する必要がある。

 農水省では、岩本司副大臣を中心とする調査チームが週明けにも中間報告を発表する。身内による調査は否めないだけに、第三者による調査がさらに必要だ。

 元書記官が防衛機密や外交機密の入手を図っていたとしたら、問題はより深刻だ。防衛、外務両省などは、元書記官の接触の有無などを改めて点検すべきである。

 今回の事件を元書記官の「個人的な利得活動」「蓄財」などとする見方もあるが、それは楽観的に過ぎると言わざるを得ない。

 元書記官が関与していた中国への投資話に日本企業約10社から約2千万円が集まり、その使途が不明である。元書記官が中国人民解放軍の情報部門出身とみられることから、軍の諜報活動のための資金に充てられた疑いがある。

 中国情報機関による組織的なスパイ活動の一端だったとの懸念もある。そうした動きを厳しく取り締まるスパイ防止法の導入に向けた議論も、国会に求めたい。
【主張】
天安門23年 「超大国」の資格あるのか
2012.6.4 03:06 (1/2ページ)[中国]
 中国の6月4日は重い意味をもつ日だ。

 1989年のきょう、北京で民主化を求める学生らの運動を当局が武力で鎮圧し、多数の死傷者を出す天安門事件が起きた。それから23年、中国政府は犠牲者数さえ明らかにせず、遺族の監視や民主活動家の弾圧を続けている。これでは、「超大国」の資格が問われよう。

 犠牲者の母親らのグループ「天安門の母」の120人余が事件の真相究明と責任の追及を求めた声明は、胡錦濤政権を「経済発展による民主化の機会をみすみす逃した」と厳しく批判した。

 死んだ息子の無念を訴えて自殺した父親もいる。こうした訴えを無視し続けることに、共産党一党独裁の変わらぬ体質がある。

 23年前の最高実力者、トウ小平氏は事件を学生たちによる「動乱」と断じて封印した。一方で改革開放の大号令をかけ、市場経済への全面移行をはかった。その結果として今、中国は世界第2位の国内総生産(GDP)を誇る。

 その半面、一党独裁制の権力者周辺に富が集中する不公平や腐敗が蔓延(まんえん)し、都市部と地方農村との格差も拡大した。対外関係でも、軍事力を背景にした中国の露骨な海洋権益の拡大戦略は目に余る。東シナ海では日本領土であることが明白な沖縄・尖閣諸島を奪取する動きさえ見せる。傍若無人な「異形の大国」だ。

 中国政府が民主化運動を厳しく取り締まるのは、内在する不満が政府批判のうねりと合体するのを恐れるためだ。だが、一党独裁制に起因する社会矛盾は政治改革なしには解消されない。

 温家宝首相は3月の全国人民代表大会(国会)後の会見で「政治改革の推進」を強調した。その翌日、重慶市のトップとして文化大革命を思い起こさせる急進左翼路線を推進した薄煕来氏が電撃的に解任された。民主化への展望が開けたとみる向きもある。

 しかし、全人代では人権問題にからみ、当局の意向次第で秘密拘束も容認する改正刑事訴訟法が承認された。政治改革はまだはるかかなたである。

 今秋の共産党大会で党総書記に就任する習近平氏の父、習仲勲氏(元副首相)は「民主と法治」を唱える改革派だったという。

 来年の「6・4」に習近平氏がどう対処するか。日米欧は監視と圧力をかけ続ける必要がある。

【主張】
尖閣発言 国益損なう大使は更迭を
2012.6.9 03:11 (1/2ページ)[主張]
 丹羽宇一郎駐中国大使が東京都の尖閣諸島購入計画について「実行された場合、日中関係に深刻な危機をもたらす」との見解を英紙に述べたことが明らかになった。

 日本固有の領土である尖閣諸島を守り、実効統治を強めるための計画を真っ向から否定する発言は国益に反しよう。中国による不当な領有権主張を後押ししかねず、更迭すべきだ。

 藤村修官房長官は「個人的な見解であり、政府の立場を表明したものではない」と否定した。外務省は「政府の立場とは異なる」と丹羽氏に注意し、丹羽氏は「大変申し訳ない」と謝罪した。

 しかし、それで済まされる問題ではない。丹羽氏は先月、訪中した横路孝弘衆院議長と習近平国家副主席の会談に同席した際にも、石原慎太郎東京都知事の「尖閣購入」発言を国民の大半が支持していることに「日本の国民感情はおかしい」などと述べている。

 尖閣購入資金として、都へ寄せられた10億円を超す善意の寄付を貶(おとし)めるものだ。外務省は丹羽大使を召還し、一連の発言の詳しい経緯を問いただした上で、厳しく処分すべきだ。

 丹羽氏は伊藤忠商事の社長や相談役を務め、中国政府とのパイプを持つ財界人として、菅直人前政権下の平成22年6月、初の民間出身の駐中国大使に起用された。

 だが、中国に過度に配慮した丹羽氏の発言はしばしば問題になった。赴任前のパーティーで中国の軍事力増強に触れ、「大国としては当然のことといえば当然かもしれない」と述べた。赴任後も、役割を終えた対中政府開発援助(ODA)を関係改善のために「続けるべきだ」と主張した。

 中国は強大な軍事力を背景に尖閣周辺の領海侵犯などを繰り返している。石原知事の尖閣購入発言以降でも、中国の漁業監視船が2度、接続水域に入った。

 先月の日中首脳会談で、温家宝首相は尖閣について譲れない国家利益を意味する「核心的利益」という言葉を使い、尖閣奪取の意図をうかがわせた。日本の領土が危険にさらされかねない時期だ。丹羽氏は大使として国益を踏まえ、中国政府に耳の痛いこともはっきり言わねばならなかった。

 「政治主導」と「脱官僚」を印象づけようとした丹羽氏の起用が失敗だったことは明白である。民主党政権は反省が必要だ。
【主張】
北への軍事輸出 中国の決議違反を許すな
2012.6.14 03:26 (1/2ページ)[主張]
 中国が昨年8月、新型弾道ミサイルの運搬・発射に使う大型特殊車両を北朝鮮に輸出していたことが明らかになった。

 2009年の北朝鮮による2度目の核実験に対する国連安全保障理事会の対北制裁決議(武器および関連物資の輸出禁止)の明白な違反を、安保理常任理事国の中国が行っていた。

 国際社会に対する重大な背信行為であり、到底容認できない。法的拘束力をもつ決議を率先して順守する責務を放棄していると非難せざるを得ない。

 中国が輸出したのは、軍関係の国有企業の子会社が開発した特殊車両4両とみられる。日本政府は昨年10月にこの情報を把握し、米韓両国にも伝えたという。

 4両は今年4月15日、平壌で行われた故金日成主席の生誕100年を祝う軍事パレードで公開された。車両は片側8輪で、従来公開されていたものより全長が長く、発射台を装着できるのが特徴だ。搭載されたミサイルも格段に大型化していた。

 パレード4日後の米下院軍事委員会の公聴会で、パネッタ米国防長官はこの車両について「中国の協力があったと確信している」と証言している。中国が「民生品の輸出だ」と主張しても、信用はされまい。

 北朝鮮がこれまでに行った長距離弾道ミサイルの発射実験は、すべて固定発射台が使われていた。大型発射台車両は大陸間弾道ミサイルの移動発射能力の獲得を意味し、北朝鮮の軍事力増強を中国が後押ししたことになる。日本を含む東アジアの安全保障を、根幹から揺るがしている。

中国政府は「非核化の実現による朝鮮半島の長期安定」(胡錦濤国家主席)を掲げ、北の核・ミサイル問題をめぐる6カ国協議の議長を務めている。

 だが、一方で中国と北朝鮮は軍事同盟も結んでいる。国連の制裁下、中国は水面下で北への石油や食糧供給の支援を続け、最近では北の経済特区への投資を活発化させた。ミサイル開発の手助けまですれば、国際社会における信頼を致命的に失う。

 藤村修官房長官は「中国を含む国際社会が安保理決議を全面的に実施するよう、関係国と緊密に連携して対応する」と語った。中国に対北融和策の転換を迫る日米韓の結束と圧力が必要だ。
【主張】
対中機密漏洩 TPP工作も含め調査を
2012.6.30 03:57 (1/2ページ)[主張]
 在日中国大使館の李春光・元1等書記官が関わった対中農産物輸出事業に絡み、機密文書4点が農林水産省から漏洩(ろうえい)していたとする同省の中間調査報告が出された。

 だが漏洩経路は不明で鹿野道彦前農水相らの関与も曖昧なままだ。身内による甘い調査では限界がある。第三者も加えた徹底調査を求めたい。

 漏洩した4点は、福島原発事故後のコメの需給見通しに関する文書などで、いずれも最高機密の「機密性3」に相当する。これら4点が、農水省の後押しによって設立された社団法人「農林水産物等中国輸出促進協議会」に渡っていたことも確認された。

 農水省は鹿野前農水相、筒井信隆前農水副大臣や関係職員から聞き取りした結果、全員が文書提供を否定したとしている。漏洩文書の中には筒井副大臣用の説明資料もあったが、筒井氏も社団法人への提供を否定した。

 一般職員が外部流出させていたことが判明した場合、同省は国家公務員法(守秘義務)違反で捜査当局に告発することも検討するとしている。当然である。

 元書記官は外国人登録法違反などの容疑で警視庁に出頭を求められたが、拒否し、帰国したままだ。農水省の機密書類が社団法人を通じて元書記官に渡った可能性を否定できない。社団法人から先の経路についても、追跡調査が必要である。

中国が狙っているのは、機密文書に限らない。元書記官が農水省に接近した真の狙いは、野田佳彦政権が目指す日本の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を阻むことだったのではないか、との指摘もある。

 TPPは日本の安全保障にも深く関わっている。TPP問題も含め、元書記官から農水省幹部への働きかけの有無などについて、厳正な調査を行ってほしい。

 元書記官が在籍していたとされる中国人民解放軍総参謀部第2部は、海外に要員を派遣して情報源やスパイ網を構築し、情報収集にあたる組織である。中国の諜報機関は自然な形で日本の政財官界要人に近づき、親中派の獲得や中国の利益につながる政策誘導を行うケースが多いといわれる。

 中間報告では、疑惑解明にはほど遠い。外部の専門家も加え中国の対日工作に多角的な光を当てた最終報告が不可欠だ。
【産経抄】7月1日
 東京都の石原慎太郎知事がパンダの「名付け親」を買って出たらしい。妊娠の兆しが見られる上野動物園のシンシンが産んだ子供の名を「センセン」と「カクカク」にしたらいいというのだ。沖縄・尖閣諸島にちなんだもので、むろん中国に対する痛烈な皮肉である。

 ▼もう少し詳しく言えば、定例の記者会見で「パンダには関心がなさそうですね」と水を向けられ、こう答えたのだそうだ。「子供生まれたら中国に返すんでしょ。それならセンセン、カクカクと名前を付けたらいい。そうしたら中国はパンダに関しては実効支配できる」。

 ▼全国のパンダファンは「動物を政治に巻き込むとは」と、眉をひそめたことだろう。早速、シンシンらの貸主の中国に「ご注進」に及んだマスコミもあったのかもしれない。しかし目に余る中国の「棍棒(こんぼう)外交」に警戒を呼びかけるジョークとして受け止めたい。

 ▼「棍棒外交」とは20世紀初頭の米大統領、T・ルーズベルトの「太い棍棒を持ち、穏やかに話す」という口癖から生まれた用語だ。硬軟巧みに使い分ける外交である。パンダとともに笑顔を振りまく一方、武力で覇権を伸ばす中国外交はその典型といえる。

 ▼シンシンなど2頭のパンダが中国から貸与され、上野にやってきたのは昨年2月のことだ。5カ月前には尖閣で中国漁船衝突事件が起き、その後も中国は一方的に領有権を主張する。パンダで日本国民を懐柔できるならお安いご用なのだろう。

 ▼とはいえ「棍棒外交」は今や世界の常識だ。安易に乗せられる国はそうない。東京都の尖閣購入計画に中国が反発するや、駐中国大使があわてて「日中関係に深刻な危機をもたらす」と呼応した日本ぐらいのものだ。
【主張】
台湾の尖閣侵犯 やはり断固たる姿勢貫け
2012.7.5 03:12 (1/2ページ)[主張]
 中国に続いて台湾の巡視船と遊漁船が尖閣諸島周辺の日本領海内に侵入した。遊漁船には、尖閣の領有権を主張する活動家らが乗船し、台湾巡視船は退去を命じる日本の海上保安庁の巡視船に対し、「ここは中華民国(台湾)の領海だ」とする掲示板を表示した。

 これまでの漁船の領海侵犯や違法操業と異なり、台湾当局の明確な意思に基づく計画的な行動である。由々しき事態だ。

 藤村修官房長官は「どんな目的であれ、領海に入ったことは絶対に認められない」と強い調子で非難し、官邸危機管理センターに情報連絡室を設置したことを明らかにした。日本の対台湾交流窓口機関、交流協会台北事務所も、台湾側の亜東関係協会に抗議した。

 当然の対応である。引き続き、海保と自衛隊の緊密な連携による厳戒態勢を維持すべきだ。

 台湾の巡視船は、東京都議らが尖閣諸島周辺を視察した先月下旬にも領海侵入している。台湾外交部は、この視察について尖閣諸島の台湾領有を主張した上で「一方的で不当な行動は慎んでほしい」と非難する声明を出した。

 台湾が尖閣領有を主張し始めたのも、中国と同様、昭和43年に国連アジア極東経済委員会(ECAFE)の調査で、付近の海底に大量の石油資源埋蔵の可能性が判明してからだ。その主張は法的にも歴史的にも全く根拠がない。

台湾の公船が尖閣周辺で領海侵犯したのは、平成20年6月以来、4年ぶりだ。中国公船の領海侵犯より頻度が少ないとはいえ、許し難い行為である。

 台湾とは中国の軍拡などに対する安全保障面などで協力しなければならない関係にあるが、領土や海洋権益など国益や主権にかかわる問題では譲らず、やはり断固とした姿勢を貫くべきだ。

 中国の尖閣奪取の意図が明白なうえ、台湾公船の領海侵犯で、日本固有の領土である尖閣が奪われかねない危険性がますます強まった。石原慎太郎都知事の尖閣購入計画に加え、野田佳彦政権も、尖閣の国有化や漁業基地建設などの有人化政策をはじめとする統治強化策の検討が急務だ。

 尖閣に不法上陸した外国人を海上保安官が警察官に代わって逮捕できる改正海上保安庁法を今国会で速やかに成立させたい。領海侵犯した外国公船を強制排除するための国内法の整備も急がれる。

【産経抄】
7月8日 中国の「旗」に困惑し続ける日本
2012.7.8 03:17 [産経抄]
 1928年12月29日の早朝のことである。旧満州・奉天(現瀋陽)の町に「青天白日旗」が一斉にかかげられた。爆殺された父親の張作霖に代わり、この地の軍閥に君臨していた張学良の命によるものだった。歴史的な易幟(えきし)(旗を変える)として今もその名を残す。

 ▼青天白日旗は張作霖と対立していた蒋介石の国民党の旗だった。易幟は張学良が蒋介石の軍門に下り、手を結ぶことを宣言していた。それ以来、この地の中国人による反日運動が強まる。危機感を持った日本の関東軍が満州事変を起こすことになるのだ。

 ▼実は張学良はそれ以前から蒋介石と接近していたのに、日本側が気付かなかったとされる。それだけに町中に青天白日旗が翻ったとき、心底驚いた日本人は多かったという。だがそれから80年以上がたった今も、日本は中国の「旗」に困惑させられる。

 ▼4日に沖縄・尖閣諸島沖で日本の領海を侵犯した台湾の活動家たちが、中国の「五星紅旗」を持っていた。活動家は香港に本部を置く政治団体に所属している。その団体は中国側から資金援助を受けているらしい。まるで中国、台湾の共闘による尖閣攻撃に見える。

 ▼活動家たちが五星紅旗を持っていったのも、はじめから計画的だったと見てよさそうだ。中国外務省も活動家らを援護する発言をしている。中国が活動家らを「先兵」役として使おうとしているとの見方にもうなずける。現代版「易幟」のような気さえしてくる。

 ▼そんなとき、政府がようやく尖閣諸島国有化に向けて動き出した。結構ではあるが、東京都の購入計画に渋々腰を上げた感もしなくはない。聞きたいのはあの手この手を繰り出す中国相手に国土を守る覚悟のほどだ。


石原知事「黙って見ていてくれ」 都として購入方針

【主張】
尖閣国有化 主権守る方策が問われる
2012.7.8 03:23 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
 政府が尖閣諸島(沖縄県石垣市)を国有化する方針を固め、購入を表明している東京都の石原慎太郎知事に伝えた。

 野田佳彦首相は「平穏かつ安定的に維持・管理する観点から、所有者と連絡を取り、総合的に検討している」と尖閣諸島の魚釣島などを所有する地権者とも接触していることを認めた。

 現在、魚釣島など3島は民間人が所有し、国が賃借している。国の所有になれば、日本の主権をより明確にし、主権侵害行為を排除できる。野田政権が尖閣国有化に踏み出したことを評価したい。

 ただし、尖閣諸島は石原氏が4月に都の購入計画を発表し、すでに地権者と交渉を進めている。購入資金として、13億円を超す寄付金が東京都に寄せられている。

 尖閣諸島を管轄する石垣市も都の購入計画に賛同し、連携を強化している。6日には、中山義隆市長が都庁を訪れ、日本が尖閣を実効統治していた記録ともいえる琉球大学による尖閣の調査研究書を石原知事に手渡した。

 野田政権は東京都や石垣市に地権者を交え、魚釣島などの所有権移転手続きなどについて、よく話し合い、詰めてほしい。石原氏も将来の尖閣国有化は否定しておらず、「東京が買い取って、いつでも国に渡す」と言っている。

 中山市長は「国が購入するだけでは全く意味がない」とも指摘している。石垣市が再三、尖閣調査のための上陸許可を求めても、国が認めようとしないことへの不信感があるためだ。
民主党内では、一昨年9月の中国漁船衝突事件以降、尖閣諸島への警戒監視レーダー設置や漁業中継基地建設などを求める意見が出された。野田政権は改めて党内や有識者から意見を聴くなどし、尖閣諸島の実効統治を強化するための有人化など、具体策を早急に決定すべきである。

 今月、尖閣周辺の日本領海に台湾の巡視船とともに侵入した遊漁船は、中国国旗の五星紅旗を持っていた。活動資金が中国側から出ていた。尖閣を奪われかねない危険性が増している。

 自民党は次期衆院選公約の第2次原案に「尖閣諸島国有化」を明記している。たちあがれ日本も次期衆院選公約に「尖閣への自衛隊配備」を盛り込んだ。日本固有の領土を守るため、党派を超えて知恵を出し合いたい。
【主張】
中国の尖閣侵犯 統治強化もはや猶予なし
2012.7.12 03:32 [主張]
 中国の漁業監視船3隻が尖閣諸島周辺の日本領海に侵入した。野田佳彦政権が尖閣国有化方針を示したことに対する明らかな挑発行為である。

 玄葉光一郎外相はプノンペンで中国の楊潔●外相と会談し、「尖閣諸島は日本固有の領土であり、領有権問題そのものが存在しない」と日本政府の立場を主張し、漁業監視船の領海侵犯に強く抗議した。

 外務省の佐々江賢一郎事務次官も程永華駐日中国大使を同省に呼び、「非常に深刻だ。容認できない」と抗議した。佐々江氏は今年3月にも、中国側の領海侵犯があったことを指摘し、「再発防止を求めたが、再度侵入したことは極めて遺憾だ」とも述べた。

 当然である。今後も中国の領海侵犯が度重なるようなことがあれば、対抗措置を実行すべきだ。

 海上保安庁によると、日本の巡視船が中国の監視船に領海からの退去を求めたところ、「中国の海域で正当な公務を執行している」「妨害するな。直ちに中国領海から離れよ」などと主張した。

 中国の明確な国家意思に基づく計画的な領海侵犯であることを示している。先の台湾巡視船の領海侵犯も、台湾当局の意思による計画的な行動だった。尖閣周辺の事態は猶予を許さない状況だ。

 尖閣国有化の政府方針が明らかになって以降、東京都には「国でなく都が購入すべきだ」という意見が多く寄せられている。尖閣諸島の魚釣島などを所有する地権者も、国への売却に難色を示しているといわれる。

 国有化以外に有効な有人化対策などを打ち出せないでいる民主党政権への不信感があるとみられる。野田政権は早急に実効統治強化策を講じるべきである。

 藤村修官房長官が参院予算委員会で、尖閣諸島を管轄する石垣市による魚釣島での慰霊祭を認める可能性に言及したことは、評価できる。終戦前、石垣島から台湾に向けた疎開船が魚釣島に漂着し、食糧難などで死亡した人々を弔う行事で、市が上陸許可を求めたが、認められなかった。

 石垣市が求める環境調査なども国は認めるべきだ。海上警察権を強化する海上保安庁法改正案の早期成立や、領海侵犯した外国公船を強制排除するための法整備も国の仕事だ。尖閣問題で国は東京都と牽制(けんせい)し合うのではなく、できることを速やかに実現すべきだ。

●=簾の广を厂に、兼を虎に
【主張】
尖閣の守り 巡視船の増強を急ぎたい
2012.7.14 03:18 [中国]
 中国の漁業監視船が11日に続いて12日も尖閣周辺の日本領海内に侵入した。野田佳彦政権の尖閣国有化方針に対する重ね重ねの挑発かつ威嚇行為であり、許し難い。

 外務省の佐々江賢一郎事務次官は再び、程永華駐日中国大使を呼び「極めて遺憾であり、再発防止策を強く求める」と強く抗議した。当然である。

 また、藤村修官房長官は尖閣諸島への上陸許可申請があった場合の対応について「上陸の必要性や所有者の意向、平穏かつ安定的な維持管理などを総合的に勘案して判断する」と述べた。国に先がけて尖閣購入を計画している東京都が申請しても認めないとした一部報道に関しても「そういう事実はない」と否定した。

 これも当たり前のことだ。

 中国が領海侵犯を重ね、尖閣奪取の意図をますます明確にしてきているときに、国が東京都と牽制(けんせい)し合っている場合ではない。互いにできることを確認し、協力できることは協力すべきである。

 小笠原諸島や沖ノ鳥島を管轄する東京都は漁業調査指導船を4隻保有している。石原慎太郎都知事はこの船を使って尖閣での調査を行いたい意向だ。国は都の上陸を認めるべきだ。

 尖閣を管轄する石垣市も環境調査などのための上陸許可を求めてきたが、退けられている。石垣市の上陸も認めてほしい。
 ただし、いずれの上陸調査も、海上保安庁の巡視船などによる万全の警備が必要だ。

 国有化の方針を示すだけでは、日本固有の領土である尖閣諸島を守り切れない。石原氏は先月の衆院決算行政監視委員会で、都ができることとして「魚礁設置」などを挙げ、「飛行場や港(の建設)は国がすることだ」と促した。

 中国の領海侵犯後、中国の外務省報道官と国営新華社通信はそろって、尖閣周辺海域への中国漁船の進出を示唆する見解を発表した。中国国家海洋局所管の海監総隊幹部が「日本が釣魚島(尖閣諸島の中国名)問題で挑発し続けるなら、一戦も辞さない」と発言したと台湾紙が伝えた。

 中国の武装した漁船群が大挙して尖閣に接近してきた場合などに備え、巡視船の増強や海上保安官の増員を急ぐべきだ。巡視船だけで対処しきれない場合の自衛隊法に基づく自衛隊の出動態勢なども準備しておく必要がある。

【主張】
海の日 元寇船に「国の守り」学ぶ
2012.7.16 03:35 [主張]
 きょうの「海の日」に、国の守りについて考えたい。

 今年の海に関する話題の一つに3月、長崎県松浦市、鷹島(たかしま)沖の「鷹島神崎(こうざき)遺跡」が初めて水中遺跡として国史跡に指定されたことがある。

 水深約25メートルの海底からは、鎌倉時代の元寇(蒙古襲来)のうち、2度目の弘安の役(1281年)で暴風雨のため沈没した元の軍船に積まれた武器や生活用具などが発見、引き揚げられている。昨年からは琉球大学による潜水調査もスタートし、全長30メートル近い船体の一部が確認され話題になった。

 文化庁は「蒙古襲来の様相を具体的に明らかにする遺跡」として国史跡にし、保存や活用の方針を打ち出している。海とともに発展してきた日本にこれまで水中の国史跡がなかったのは不思議なほどで、指定を歓迎したい。

 水中に残る遺物、遺構の調査や保存には、地上の場合の何倍もの手間と費用がかかる。日本での「水中考古学」の歴史はまだ新しいが今後、しっかりと計画を立て調査を進めていくべきだ。

 元寇沈没船の生々しい姿を見ていると、「国の守り」とは何かを教えられる。

 「兵を用いることなど誰が好むだろうか」という恫喝(どうかつ)に満ちたフビライへの臣従を求める国書に、幕府執権・北条時宗は軍事力で対抗する意思を固めた。

 九州に襲来した元軍は火薬など日本にない兵器も持つ強力部隊だったが、諸国から動員した武士たちの奮戦で、どうにか退けることができた。武士たちの目的は領地の安堵(あんど)であり恩賞だったが、異国の兵と干戈(かんか)を交えるうち、「国を守っている」という実感は自然と湧いてきたことだろう。

 いま、日本固有の領土が大きな危機に瀕(ひん)している。北方四島は戦後66年以上もソ連・ロシアによって不法支配が続き、竹島は韓国が武力で占拠している。尖閣諸島も、中国公船による領海侵犯が繰り返される状態だ。

 元寇に際し、この国を命がけで守ろうとした武士たちの思いに学ぶ点は少なくない。

 「海の日」に合わせ、野田佳彦首相は「海洋権益の確保、離島の保全などの課題に国をあげて取り組み、日本再生の原動力にしなくてはいけない」などとする談話を発表した。決意を必ず、実行に移してほしい。

【主張】
丹羽大使 翌日帰任は抗議にならぬ
2012.7.17 03:06 [主張]
 日本固有の領土である尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海侵犯を繰り返す中国に対し、日本政府はなぜ毅然(きぜん)たる対応を示さないのか。

 玄葉光一郎外相は、東京都による尖閣購入計画を批判した丹羽宇一郎駐中国大使を15日に帰国させ、「日本の考え方を正しく伝達するよう指示した」と語った。だが処分はせず、翌日には帰任させてしまった。

 大使の帰国・召還は相手国への強い抗議の意味が込められる。すぐに帰任させては領海侵犯などの威嚇を続ける中国への抗議にならない。逆のメッセージを送ったことになる。政府方針に反する発言を繰り返した丹羽氏を更迭すべきだったのではないか。

 都の尖閣購入が実行されれば「日中関係に深刻な危機をもたらす」との丹羽氏の見解が英紙に掲載されたのは6月初旬だった。尖閣は固有の領土、との根本の認識を欠いた発言だ。外務省は丹羽氏に注意し、丹羽氏は謝罪した。1カ月以上もたって丹羽氏を帰国させたこと自体が、後手に回った対応としかいえない。

 この間、政府が尖閣の国有化方針を打ち出すと中国は激しく反発し、今月11~12日、漁業監視船を尖閣周辺の日本領海に侵入させるなど威嚇を繰り返した。尖閣を安全保障上譲れない「核心的利益」とする中国共産党機関紙、人民日報は武力衝突の可能性にさえ触れ「日本の政治家たちはその覚悟があるのか」と恫喝(どうかつ)している。

 玄葉外相は東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の会議に出席した際、中国の楊潔●外相との会談で中国側の領海侵犯に強く抗議した。丹羽氏からは英紙での発言についての説明のほか、「中国側の対日政策の詳細な報告を受けた」という。野田佳彦政権は国を守るという強い意志を示す機会だったのに、見送ったことは大きな禍根を残したことになる。

 伊藤忠商事の社長、会長を歴任し、中国政府との太いパイプを持つ財界人としての経歴を買われ、2年前、大使に起用された丹羽氏だが、中国の軍事力増強を「やむなし」と言ったり、すでに役割を終えた対中政府開発援助(ODA)の継続を主張するなど問題発言が目立っていた。

 大使の任務の第一は領土を含む自国の国益を守ることにある。それをためらう人物は大使に不適格と言わざるを得ない。

●=簾の广を厂に、兼を虎に

主張】
尖閣防衛 自衛隊活用も考える時だ
2012.7.28 03:15 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
 野田佳彦首相は衆院本会議で、尖閣諸島など日本の領土・領海で外国による不法行為が発生した場合、「必要に応じて自衛隊を用いることも含め、政府全体で毅然(きぜん)と対応する」と述べ、自衛隊出動を検討する考えを示した。

 中国が奪取を狙う尖閣諸島を守り抜く首相の強い意志の表れと受け止めたい。

 森本敏防衛相は首相発言を受け、海上保安庁や警察だけで対応できない場合、海上警備行動や陸上の治安出動、防衛出動に伴う自衛隊の活動が法的に確保されていることを指摘した。

 海上警備行動は自衛隊法82条に基づき、海上での人命・財産保護や治安維持のために防衛相が命じるもので、海上自衛隊の艦船が出動する。平成11年3月の能登半島沖不審船事件と16年11月の中国原子力潜水艦領海侵犯などに対し発令されている。

 治安出動(同78、81条)は、警察力だけで治安を維持することができない場合に発令される。防衛出動(同76条)は、日本への外部からの武力攻撃が発生、もしくはその危険が迫った場合に首相が自衛隊に出動を命じるものだ。いずれも、発令されたことはない。

 野田政権の尖閣国有化方針に対し、中国は漁業監視船を尖閣周辺の日本領海に侵入させるなど挑発・威嚇行為を繰り返している。中国共産党機関紙の人民日報は、武力衝突の可能性を示唆するコラムを掲載し、尖閣周辺の事態は予断を許さない状況だ。

官邸を中心に防衛、外務両省、海保、警察両庁など関係省庁間で尖閣諸島への中国の武装漁民上陸や不法占拠などを想定し、自衛隊法の適用や自衛隊の運用方法を早急に準備する必要がある。現状は尖閣の地形調査すら行われておらず、有事における備えや対処などでは極めて不十分な状況だ。

 尖閣諸島が日米安保条約の対象内にあることをクリントン米国務長官らが明言している。沖縄が米国の施政下に置かれていた時期、尖閣諸島の久場島では米軍の射撃演習が行われていた。尖閣周辺での日米合同演習実施についても、両国間で検討してほしい。

 尖閣諸島を外国の不法行為から守るのは、まず海保の巡視船である。海上警察権強化のための海上保安庁法改正案の早期成立に加え、巡視船の増強と海上保安官の増員を重ねて求めたい。

【主張】
防衛白書 尖閣の危機に守り固めよ
2012.8.2 03:39 (1/2ページ)[主張]
 平成24年版防衛白書の特徴は、中国海軍の太平洋進出について初めて「常態化している」との表現で一層の懸念を示すとともに、中国共産党の指導部交代期を踏まえて党と人民解放軍の関係にも分析を加え、日本の「危機管理上の課題」と位置づけたことだ。

 特に、対外政策決定や安全保障上の課題で「軍が態度表明する場面が増加している」とした指摘は重要だ。白書が発表された先月31日にも国防省報道官が尖閣諸島の「中国の主権」を強調し、「軍としての職責を果たす」と日本を強く牽制(けんせい)した。

 わが国固有の領土である尖閣諸島付近で、中国の漁業監視船が繰り返し領海侵犯するなど、尖閣は極めて危うい状況にある。野田佳彦政権がこうした危機感に立ち、必要な防衛力や防衛態勢を整える決意が問われている。

 白書がここ数年の中国軍の動向などの分析から「軍事に関する意思決定や行動に懸念」を抱いているのは当然だ。対外政策決定への軍の影響力が今後も強まるとすれば、日本の守りはより重大な危機にさらされよう。

 中国側は白書の指摘に強く反発しているが、党と軍の関係や政策決定のプロセスが不透明な現実に周辺諸国の懸念が集中していることを中国は省みるべきだ。

白書は中国の国防費が2012年度も前年比で約11%増え、過去24年間で約30倍の規模に達しているとした。にもかかわらず、日本政府は防衛費を10年連続で削減してきた。危機認識が決定的に足りない。財政事情などにとらわれて国家の安全確保を怠ってきたとしか言いようがない。

 一昨年に改定した「防衛計画の大綱」で動的防衛力という考え方を打ち出したものの、現状ではスローガンにすぎないといえる。

 これを裏付ける警戒監視活動の強化や突発的な事態に即応する装備の充実は不十分だ。輸送機や哨戒機などは耐用年数を延ばしてやりくりしているのが実情だ。

 大綱で掲げた南西諸島防衛の強化も遅々として進んでいない。政府が地元説得に本腰を入れるなど、着実かつ速やかに取り組むことが欠かせない。そうしなければ、日米同盟の抑止力に不可欠な米軍普天間飛行場の移設問題の二の舞いになりかねない。

 白書の懸念に、首相は具体的な行動で対応する必要がある。

【主張】
日米防衛相会談 対中共同行動を強めたい
2012.8.5 03:21 (1/2ページ)[主張]
 訪米した森本敏防衛相はパネッタ国防長官との会談で、住民の安全に配慮しつつ新型輸送機MV22オスプレイの配備を進める方向で一致するとともに、中国の軍事的台頭を踏まえ「日米防衛協力のための指針」の再改定に向けた見直し協議に入る方針で合意した。

 両相が防衛協力指針の見直しで一致したのは、中国の強引な海洋進出や尖閣諸島周辺の挑発的行動を念頭に置いた判断で、極めて妥当といえる。中国の軍拡により日本周辺の安全保障環境は急速に悪化しつつあり、指針の見直しやオスプレイ配備が求められるのもそのためだ。

 とりわけオスプレイの導入は、沖縄を拠点とする米海兵隊の能力や日米同盟の抑止力を高める上で不可欠であり、中国に備える観点からも緊急性が高い。日米が協力して安全性を確保しつつ、配備を着実に進めてもらいたい。

 会談では、パネッタ氏が「オスプレイの安全性には強い自信がある」と強調、10月運用開始という計画の実現に日本政府の協力を求めた。森本氏は訓練飛行などで安全への配慮を要請し、米側も4、6月の墜落事故の調査報告を月内にまとめると約束した。

 一方、パネッタ氏が防衛協力指針の見直しを提起し、森本氏が応じたのは、中国の異様といえる軍拡に伴い、「東アジアの安保環境の急速な変化に対応するため日米防衛協力のあり方の検討が必要」との認識が双方にあるからだ。

防衛指針は平成9年、朝鮮半島情勢の緊迫化を受けて改定されたが、今日のような中国の台頭は想定しておらず、尖閣沖の漁船衝突や最近の中国公船による領海侵犯の頻発といった事件もなかった。新たな情勢に日米で備えるのは当然であり、速やかに見直し協議を進める必要がある。

 オバマ政権は既に中国への備えを軸とした新国防戦略を発表、日本も4月の日米首脳会談や在日米軍再編見直しを通じて動的防衛力の強化などに着手した。

 だが、より具体的な共同対処行動のあり方などは進んでいない。在沖海兵隊の装備・能力の飛躍的拡大につながるオスプレイ配備でもつまずいているのが現状だ。

 森本氏は今回、オスプレイに試乗し、普天間飛行場の移設推進でも一致した。中国への備えを防衛相だけに任せず、野田佳彦首相が先頭に立って進めてほしい。

【主張】
尖閣不法上陸 今度は厳正な刑事処分を
2012.8.16 03:26 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
 尖閣諸島沖の日本領海内に香港(中国の特別行政区)の抗議船が侵入し、活動家7人が魚釣島に上陸した。沖縄県警は船に乗っていた者を含め14人を入管難民法違反などの疑いで逮捕した。野田佳彦政権は、中国による尖閣奪取への備えを一段と強めるべきだ。

 野田首相は「法令にのっとり厳正に対処する」と述べた。これをきちんと示してほしい。

 外国人の尖閣不法上陸は小泉純一郎内閣の平成16年3月、中国人活動家7人が魚釣島に上陸して以来だ。その際は沖縄県警が7人を逮捕しながら政治判断で送検を見送り、中国へ強制送還した。今回は逮捕者を送検、起訴し、国の断固たる姿勢を示す必要がある。

 2年前の9月に起きた中国漁船衝突事件では、石垣海上保安部が中国人船長を公務執行妨害などの疑いで逮捕したものの、那覇地検が外交的配慮を理由に船長を処分保留で釈放した。このようなことを繰り返してはならない。

 8年前は、逮捕までに時間がかかったが、今回は警察官や海上保安官らが事前に上陸し、備えていた。しかし、それでも、予測されていた活動家の不法上陸を阻止できなかったことは問題である。

 今国会で審議中の海上警察権強化のための海上保安庁法改正案の早期成立に加え、海保の巡視船の増強や海上保安官の増員がさらに急がれる。尖閣諸島への漁業中継基地建設や警戒監視レーダー設置などの有人化対策も急務だ。

中国当局の意図は分からないが、中国共産党機関紙、人民日報系の国際情報紙、環球時報は「日本が強硬手段に出れば、中国は断固として報復すべし」とする社説を書いている。

 活動家でなく、漁民を装った海上民兵が分乗した中国漁船が大挙して不法上陸した場合、海保や警察だけでは対応しきれない。漁船に中国の漁業監視船や海洋調査船などの公船が加われば、さらに深刻な事態が予想される。

 野田首相は先月末の衆院本会議で、尖閣への自衛隊出動を検討する考えを示した。これを受けて、自衛隊も尖閣出動に関する対処方針の策定に動いている。自衛隊法に基づく海上警備行動など自衛隊の運用の仕方が検討されているとみられる。

 南西諸島への自衛隊配備を含め、日本固有の領土である尖閣の万全の守りを固めるときだ。

【産経抄】
8月17日
2012.8.17 03:02 [産経抄]
 日本には世界的にみて、ユニークな点が多々ある。そのひとつが、「『国土=民族=言語』がほぼ一致している状況」だと、『知らなかった! 日本語の歴史』(東京書籍)で、教えられた。

 ▼確かに日本の国土では、どこでも日本語が通じる。ロシアと韓国に不法占拠されている北方領土や竹島といった例外は、あるにしてもだ。当たり前すぎて、「国際的にみてそれがいかに稀有(けう)で幸運な状況であるかということをまったく意識していません」と、著者の浅川哲也さんは指摘する。

 ▼領土や歴史問題をめぐり、このところ日本への挑発活動をエスカレートさせている近隣国をみれば、納得できる。人口13億人を超える中国は本来、多民族、多言語国家でありながら、政府は漢族文化の押しつけ政策に余念がない。逆に朝鮮半島では、ひとつの民族が1945年以来分断されて、軍事的緊張が今も続いている。

 ▼沖縄本島の西約400キロに位置する尖閣諸島は、明治28(1895)年にわが国の領土に編入された。昭和15年ごろに無人島になるまで、最盛期には100人を超える日本人が、かつお節工場などで働いていたそうだ。

 ▼そのなかの最大の島、魚釣島に15日、抗議船で日本の領海に侵入した香港の活動家ら14人のうち、7人が不法上陸を果たした。沖縄県警の警察官や海上保安官、入管職員らが待ち構えていなかったら、中国語の歓声はやむことがなかったろう。

 ▼今回の上陸劇は、民間人を装った民兵が武装化した漁業監視船に守られて島を占領する、中国側の「予行演習」との見方がある。将来の自衛隊駐留を見据えた対策強化を急がないと、尖閣諸島もまた、「日本語の通じない」領土になりかねない。
【主張】
活動家ら強制送還 侵犯許さぬ領域警備法を
2012.8.18 03:09 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
 禍根を残した判断と言わざるを得ない。野田佳彦政権が、尖閣諸島に不法入国するなど入管難民法違反で逮捕された香港の活動家ら14人を強制送還した問題だ。

 藤村修官房長官は「国内法にのっとって厳正に対応した」と述べた。日中関係をこれ以上緊張させないようにとの政治的配慮にせよ、少なくとも送検という手続きを踏むべきだった。

 弱腰な態度では、領土は守れない。同様の主権侵害を許さないためにも、限界のある現行法を改めるなど新たな法整備が急務だ。

 活動家らは巡視船による警告を無視し、レンガのようなものを投げつけたという。船体への被害が出て、公務執行妨害の疑いも指摘されている。捜査が尽くされたとは言い難い。活動家らの逮捕に至る経過を撮影したビデオについても、国民に公開すべきだ。

 平成16年3月、中国人活動家7人が魚釣島に上陸、逮捕された際には当時の小泉純一郎政権が政治判断で送検を見送り、強制送還した。中国公船が日本領海への侵犯を繰り返すなど、事態ははるかに深刻化している。安易に前例を踏襲したことで、中国側の挑発行為が激化することを危惧する。

 主権侵害に対し、「密入国」を取り締まる入管難民法違反などでの対処を繰り返すことにも限界がある。領空侵犯には対処規定があるが、領海侵犯への法整備ははなはだ心もとない状況だ。

「外国船舶の航行に関する法律」には、領海内の不審船に退去命令が出せる規定がある。しかし、船舶への立ち入り検査が義務づけられ、有効に機能していない。検査なしで退去命令を出せる改正法案は衆院を通過したが、いまだ成立していない。

 改正が実現していたなら、命令を聞き入れない侵入者は「退去命令違反罪」で対処可能となり、抑止できたかもしれない。ただ、これも「領海侵犯」行為を正面から処罰できる規定ではない。

 今回の措置には、関係閣僚会議でも強い意見が出た。松原仁国家公安委員長は「主権を侵害する目的で不法入国・上陸する行為は通常と区別し、重く罰すべきだ」と主張した。当然である。不法な侵害行為を排除する領域警備法制定が必要だ。

 党派を超えて領土侵犯を許さないという国家の強い意志を行動で示したい。
【産経抄】
8月21日
2012.8.21 03:17 [産経抄]
 「日本の不幸は中国のそばにあることだ」。中国近代史を専門とする岡本隆司さんが十数年前、大学の授業で冗談めかして言うと、「何でそんなひどいこと言うんですか」などと食ってかかる、中国ファンの学生が必ずいたそうだ。

 ▼香港の活動家による、沖縄県・尖閣諸島への不法上陸をきっかけに起こった中国の反日デモは、4日後の日本人上陸のニュースを受けて、20都市以上に飛び火した。日本車を破壊したり、日本料理店のガラスを割ったり、一部の参加者の乱暴狼藉(ろうぜき)は、相変わらずだ。

 ▼岡本さんの「冗談」は、もはや当たり前すぎて、口にすることもなくなった。中国の若者が「反日」に走るのは、江沢民総書記時代の徹底した反日教育を受けてきたからだ、との指摘がある。もっとも反日デモ自体は、1910年代からあった。

 ▼岡本さんは、『中国「反日」の源流』(講談社)のなかで、その由来を明・清の時代以来の両国の社会構造の違いにみている。為政者が民衆の生活にある程度関わっていた日本に対して、中国の支配者は、税を取り立てたあとの人民の暮らしに興味を示さなかった。いわゆる「西洋の衝撃」の受け取り方が大きく異なったのもそのせいで、相互の理解不足が近代の対立と破局につながったというのだ。

 ▼最近の反日デモは、経済格差などに対する若者の怒りの「はけ口」になっている、との見方がある。今秋の第18回共産党大会を控え、胡錦濤政権の対日政策を批判して勢力拡大を図る、党内左派の姿も背後に見え隠れする。

 ▼歴史的経緯に加えて、一党独裁体制の矛盾を映し出す「反日」に、日本は振り回されてきた。経済を立て直し防衛力を強化して、対峙(たいじ)するしかない。
【主張】
尖閣反日デモ 勝手な主張は許されない
2012.8.21 03:20 (1/2ページ)[主張]
 日本の尖閣諸島領有に反対する中国各地のデモが19日、上海など20都市以上に拡大した。一部は暴徒化し、日本車を破壊したり、日本料理店を襲撃したりした。

 世界第2位の経済大国とは思えない無法ぶりである。デモを取材していた日本人記者も暴行を受けた。在留邦人の被害が懸念される。中国政府には日本の公館や日系企業の安全確保も含め、警備に万全を期すよう強く求めたい。

 今回のデモは、15日に尖閣に不法上陸した香港の活動家らを沖縄県警などが現行犯逮捕したのがきっかけだった。いっきに拡大したのは、日本の地方議員ら10人も尖閣に上陸したことが携帯電話で伝わったためだ。

 デモ参加者は深センで約5千人、成都や浙江省杭州ではそれぞれ約3千人にのぼった。掲げられた横断幕には「小日本は釣魚島(尖閣諸島の中国名)から出ていけ」といった激しい文字が並んだ。

 尖閣諸島が国際法上も正当な日本領土である事実を中国政府は認めず、勝手な領有主張をしている。横断幕はともかく、日本製というだけで破壊対象とする暴力は断じて許されない。

 2010年9月に尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件後、中国各地で続いた反日デモの一部が「経済格差の是正」「一党独裁打破」といった反体制デモに転化した前例がある。今回のデモ参加者も「格差」に不満をもつ若年層が多かったようだ。

秋の共産党大会での最高指導部の交代を前に、国内の安定を最優先したい胡錦濤政権が「尖閣デモ」を大衆の不満のはけ口として利用している可能性もある。これも、尖閣諸島の領土主権について日本政府が腰のすわった姿勢を示していないからだ。

 民主党政権が「政治主導」の象徴として民間から起用した丹羽宇一郎駐中国大使を2年余りで交代させるのは当然といえる。丹羽氏は6月に東京都の尖閣諸島購入計画を批判する不適切発言をしており、事実上の更迭だ。

 一方、東京都が申請した尖閣諸島への上陸許可について、藤村修官房長官は書類不備を理由に「一時保留」していると明らかにした。尖閣の購入価格を決めるための測量調査が目的だ。早急に申請を認めることが、中国に対する毅然(きぜん)とした姿勢になる。





【産経抄】
8月22日
2012.8.22 03:04 [産経抄]
 日露戦争で日本が大国ロシアを破ったときは、アジアの人々に大きな勇気を与えた。ベトナムやインドの独立運動を強く刺激したことは間違いない。当時15歳だった後のインド首相、ネールがその感激を著書『父が子に語る世界歴史』に書き残したことは有名である。

 ▼尖閣諸島や竹島をめぐる「事件」に対する東南アジア諸国の反応がその歴史を思い起こさせてくれた。中国の南シナ海での覇権拡大に直面するベトナムやフィリピンが注視しているからだ。とりわけ日本が中国にどう対応するのかへの関心は強い。

 ▼本紙、青木伸行記者の報告によれば、ベトナムの元外交官は「日本とベトナムは中国相手に似た状況にある」と言う。だから「情報の交換、共有など協力すべきだ」と述べたそうだ。ベトナムは南沙諸島などの領有をめぐり中国との対立が激化している。

 ▼フィリピンの政府筋も南シナ海の関係国と日本との協力を呼びかける。そうすれば「中国への『鉄拳』になる」と激しい。中国の覇権主義にいかに悩まされているかである。一方でベトナムの元外交官は韓国に対しても「助言」を忘れない。

 ▼韓国が竹島で過熱しているのは「中国のわな」だというのだ。中国はいずれ韓国と係争中の離於島に矛先を向けてくる。そのために韓国の目を日本に集中させているという。だが韓国も「早晩そのことに気づき日本との関係維持に動く」と、シビアに見る。

 ▼日露戦争時と今とではアジアの情勢は全く違う。だが日本が「大国」中国の領土欲をはねつければ、同じようにアジアの国々に勇気を与える。逆に屈するようなことになれば信用はがた落ちとなる。野田佳彦首相らはその点も肝に銘じるべきである。
【主張】
都の尖閣調査 上陸許可が抑止力になる
2012.8.24 03:29 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
 尖閣諸島の購入を計画している東京都が、政府に調査のための上陸許可を正式に求めた。野田佳彦政権はこれを速やかに許可すべきだ。

 都は早ければ29日にも上陸を目指している。2千トン級の民間船をチャーターし、財務、港湾、環境などの担当職員や不動産鑑定士ら約10人で調査する予定だ。上陸が認められなければ洋上から調査するという。

 上陸目的ははっきりしている。野田政権がなぜ結論を留保しているのか理解に苦しむ。

 野田首相は23日の衆院予算委員会で「平穏かつ安定的な維持管理」の必要性を重ねて強調し、明言を避けた。一方、藤村修官房長官は記者会見で「政府関係者以外の上陸は認めないという基本方針がある」とも述べた。

 「都の上陸を許可すれば、中国を刺激する」という懸念があり、そのために国が許可を渋っているとすれば、考え違いである。

 上陸許可はむしろ、15日に起きたような香港の反日活動家による尖閣不法上陸を許さない国の強い姿勢を示すことになる。ひいては中国の尖閣奪取の狙いを封じる抑止力にもつながる。中国と波風を立てないという「事なかれ主義」では国家主権は守れない。

 問題は、上陸許可だけでは不十分なことだ。地元の石垣市漁協などが要望する避難港や漁業中継基地建設のほか、警戒監視レーダー設置、本格的なヘリポート建設などの統治強化策について、都や石垣市などと協力して国が早急に実現に移すべきである。

 尖閣諸島などを警備する第11管区海上保安本部(沖縄県)には、1千トン級以上の巡視船が7隻しかない。これでは、武装した中国の漁船群が大挙して尖閣に押し寄せた場合に対応できない。巡視船の増強に加え、主権を侵害する不法行為を自衛隊が排除するための領域警備法制定も急がれる。

 竹島問題では、玄葉光一郎外相と森本敏防衛相は民主党閣僚として初めて、竹島が韓国に「不法占拠」されていると明言した。また野田首相は衆院予算委で、天皇陛下に謝罪を要求した李明博・韓国大統領の発言に対し、謝罪と撤回を求める考えを示した。

 野田政権は過度の対中・対韓配慮が目立った鳩山由紀夫、菅直人両政権時代の外交を少しずつ正そうとしているようにみえる。尖閣でも毅然(きぜん)たる姿勢を求めたい。

【主張】宮沢談話30年 謝罪外交の連鎖断ち切れ2012.8.26 [主張]
 歴史教科書問題で中国や韓国の要求を一方的に受け入れた宮沢喜一官房長官(当時)談話が発表されて30年になる。近隣諸国には謝れば済むというあしき前例となり、今日の対中・対韓外交にも尾を引いている。

 香港の活動家が尖閣諸島に不法上陸した事件で活動家が日本の巡視船にれんがを投げつけるなどの暴力行為があったのに、厳正な刑事手続きをとらず、活動家を香港に強制送還した。対中配慮を際立たせたのも、謝罪外交の一例である。

 李明博韓国大統領が竹島上陸を強行し、天皇陛下に謝罪を求めた問題でも、日本側が十分な対抗措置をとっているとは言い難い。李大統領が再三、蒸し返している慰安婦問題にも、日本政府は有効な反論を加えていない。

 そもそも、昭和57年8月の宮沢談話は日本のマスコミの誤報が発端だった。同年6月、新聞・テレビは、旧文部省の検定により、日本の中国「侵略」が「進出」に書き換えられたと一斉に報じた。

 中韓両国はこの報道をもとに、外交ルートを通じて日本政府に抗議してきた。だが、そのような書き換えの事実はなかった。

 にもかかわらず、「政府の責任で教科書の記述を是正する」「検定基準を改め、近隣諸国との友好・親善に配慮する」と両国に約束したのが宮沢談話である。

 これ受をけて、教科書検定基準にいわゆる「近隣諸国条項」が追加されたため、中国や韓国におもねるような教科書記述が急激に増えたことは記憶に新しい。

当時、産経新聞は誤報を読者に謝罪したが、他紙は黙殺か弁明で終わっている。改めてマスコミの真摯(しんし)な反省が必要である。

 日本がただ謝罪するだけの近隣外交はその後も続いた。

 平成5年8月、宮沢内閣は日本の軍や官憲が慰安婦を強制連行したとする証拠がないのに、強制連行を認める河野洋平官房長官談話を発表した。戦後50年の7年8月には、「遠くない過去の一時期、国策を誤り」と決めつけ、「植民地支配と侵略」をわびた村山富市首相談話が唐突に出された。

 これらの歪(ゆが)んだ政府見解が歴代内閣の外交をどれだけ萎縮させたか計り知れない。その結果、今回の韓国大統領のあまりに非礼な言動を招いたともいえる。

 野田佳彦政権は積年の謝罪外交の連鎖を断ち切るべきだ。
【主張】
尖閣上陸認めず 事なかれでは主権守れぬ
2012.8.28 03:19 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
 野田佳彦政権は、尖閣諸島の購入計画を進める東京都が出していた調査のための上陸申請を認めない回答を示した。

 先に国会議員らが求めた尖閣での慰霊祭を認めなかったのに続く不可解な決定だ。日本の国土になぜ日本人が足を踏み入れることがだめなのか、全く理解に苦しむ。石原慎太郎知事が「到底理解できない」と語ったのは当然だ。

 藤村修官房長官は「尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理という国の賃借目的を踏まえ」「政府関係者以外の上陸は認めない基本方針がある」と繰り返した。

 しかし、東京都の調査が安定的な維持管理の妨げになるとは、とても思えない。政府関係者に限って上陸を認める方針も納得できない。最近は、その政府関係者が上陸するケースもほとんどなく、無人島のまま放置されている。

 これでは、中国や香港の活動家による不法上陸の再発は防止できない。地方自治体職員や国会議員の上陸を認めることは、そこに国の主権が及んでいることをより明確にする。中国の尖閣奪取の狙いを封じる抑止力にもなることを重ねて強調したい。

 野田政権に、中国と事を起こしたくない「事なかれ主義」や対中配慮があったとすれば、極めて問題である。領土が脅かされている現状をそのままにする政府の基本方針では主権は守れない。

 安倍晋三元首相は民放番組で、尖閣諸島に公務員を配置することの重要性を訴えた。日本の統治を強化する有意義な提案だ。

尖閣諸島で最大の魚釣島には、昭和63年に政治団体が設置し、平成17年から海上保安庁が管理している灯台がある。付近の漁業活動や船舶の安全のためには、職員が常駐できる大規模な灯台が必要である。地元石垣市漁協が建設を要望している避難港や漁業中継基地にも、職員の常駐が必要だ。

 魚釣島には戦前、200人以上の鰹節(かつおぶし)工場の従業員が生活していた。自衛隊員の常駐も可能だ。

 陸上自衛隊の東富士演習場(静岡県)で、敵部隊の島嶼(とうしょ)部侵攻に対する陸海空の3自衛隊による奪還訓練が初めて行われた。防衛省は陸自に水陸両用車両を導入する方針だ。尖閣を中国から守る有力な方策である。

 国は都と牽制(けんせい)し合うのでなく、互いに協力して実効統治の強化策で知恵を出し合うべきだ。

【産経抄】
8月29日
2012.8.29 03:42 [産経抄]
 『2014年、中国は崩壊する』という本が最近、扶桑社新書として出版された。筆者は中国でのビジネス経験もあるジャーナリスト、宇田川敬介氏だ。タイトルは相当に刺激的だが、尖閣諸島への不法上陸や日本大使の車襲撃事件などを見ていて、うなずける点は多い。

 ▼宇田川氏によれば、中国国内では年間推計10万回もデモが起きている。それほど少数民族や下層民衆の不満はたまっている。胡錦濤政権は高い経済成長を維持することにより、押さえ込んできた。だがそれが不可能になれば、一党独裁体制はたちまち崩れていくと見る。

 ▼経済成長だけではない。この国は、民衆の不満を海外に向けさせて解消するのを得意技としてきた。徹底的な愛国教育で、反日感情などをあおる。そんな感情をバックに、あるいは先兵役として尖閣をはじめ東シナ海や南シナ海への覇権拡大を目指してきたのだ。

 ▼その証拠に、尖閣に上陸、逮捕された香港の団体メンバーは「反日」だけではなかったらしい。民主化、反中国のデモでも常連で、逮捕経験があるという。いわば不満分子である。その不満のはけ口として日本領土に向かわされたと見てもいい。

 ▼それなら27日に丹羽宇一郎駐中国大使の車を襲い日本国旗を奪った連中も、当局にそそのかされたと考えたくもなる。しかし事件による国の信用失墜を考えるとそれはあるまい。「愛国」や「反日」の暴走を抑えられなかったのが実情だろう。

 ▼むろんそのことをあおってきたツケなのだが、こんな無法がまかり通り、国際社会の最低限のルールも守れない。それでは「崩壊」も現実味を帯びて感じられる。尖閣攻撃だけでなく、そのことにも備えなければなるまい。
【主張】
大使公用車襲撃 「反日無罪」は看過できぬ
2012.8.29 03:47 (1/2ページ)[主張]
 北京市内の幹線道路で丹羽宇一郎駐中国大使が乗った公用車が2台の車に襲われ、日本国旗を奪われる事件が起きた。

 日本国を侮辱する無法を許し、外交官保護を定めたウィーン条約をないがしろにした中国政府の重大な失態である。

 日本大使館の厳重抗議に対し中国外務省は「遺憾」の意に加え、「事件の再発防止に全力を尽くす」「関係機関が真剣に調査を進めている」などと言明した。中国政府はこの約束を厳に守らなければならない。

 背景には、沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中対立がある。15日に尖閣に不法上陸した香港の活動家らを沖縄県警などが現行犯逮捕して強制送還した後、中国各地で反日デモが2週連続で起きた。

 満州事変の発端となった1931年の柳条湖事件から81年にあたる9月18日に反日デモを呼びかけるネットの書き込みもある。

 問題は中国で日本を攻撃する行為は何でも許されるという「反日無罪」の風潮が目立つことだ。

 今回の襲撃事件直後、中国版ツイッターには、襲撃した男らを英雄視する意見が相次いだ。既に日本車が破壊されたり、日本料理店や日系企業が標的になり、在留邦人の安全も脅かされている。こうした風潮は到底看過できない。

中国山東省で「尖閣」反日デモ 一部が暴徒化、日本料理店を襲撃
尖閣に不法上陸した活動家らの反日団体は昨年、黒竜江省の県政府が建立した日本の旧満蒙開拓団員のための慰霊碑にペンキをかけ、ハンマーで破壊した。にもかかわらず実行犯5人は警察の事情聴取後、釈放された。

 暴挙を批判した中国国営中央テレビの著名キャスターは、ネット上で総攻撃を受けている。

 中国政府は共産党大会という秋の重要行事を前に国内安定を最優先し、「格差是正」などを標榜(ひょうぼう)するデモは絶対許さない方針だ。

 今回の襲撃には、米国務省報道官も異例の懸念を表明した。国内治安を優先する一方で、民衆の不満の「はけ口」として反日デモの暴走を黙認するというのなら、北京五輪や上海万博を開催した大国の実績が泣く。

 海上保安庁がやっと公開した反日活動家の尖閣不法上陸のビデオ映像には、海保の巡視船にれんがを投げつける暴走ぶりが映し出されている。日本政府は尖閣領有の正当性とともに、こうした証拠をもっと積極的に発信し、国際世論の支持を高めるべきだ。
【主張】
改正海保法 尖閣防衛の一歩にすぎぬ
2012.8.31 03:31 (1/2ページ)[主張]
 沖縄県・尖閣諸島の防衛を念頭に、海上保安官に離島での逮捕権などを与える改正海上保安庁法がようやく成立した。

 海上保安官の警察権が及ぶ範囲を海上だけでなく離島にも拡大したことで、外国人の不法上陸といった事態にも、より迅速に対応できる。領土主権の守りは前進したと評価したい。

 ともに改正された外国船舶航行法によって、無害でない航行を行う外国船には、立ち入り検査なしに領海からの退去命令を出す迅速対応も可能になった。

 しかし、これで十分だとはいえない。国連海洋法条約は「沿岸国が無害でない通航を防止するため自国の領海内で必要な措置をとることができる」と規定している。日本は、これに対応し、領海侵犯した外国公船を強制排除する法整備を怠ってきた。今回の法改正は第一段階にすぎない。

 問題は、不法な主権侵害行動を排除する有効な対抗措置が、依然として取れていないことだ。

 尖閣諸島は歴史的にも国際法上も日本固有の領土である。にもかかわらず、周辺海域で石油資源埋蔵の可能性が浮上した昭和40年代後半から中国と台湾が領有権を主張し始めた。中国公船は頻繁に尖閣周辺の領海侵犯を繰り返し、今月15日には香港の反日活動家が不法上陸した。

 この事件では海保とともに沖縄県警の警察官が島で待ち受け、上陸後すぐに現行犯逮捕した。しかし、平成16年3月の中国人活動家の不法上陸の際は警察官が逮捕するまでに12時間かかった。
香港の活動家は尖閣再上陸を公言している。改正法を抑止力とするためにも、これまでのような強制送還では済まさないとする強い姿勢を示すべきだ。

 海保は現在、小さな巡視艇を含め巡視船を357隻保有するが、1千トン以上は51隻、5千トン以上の大型は3隻しかない。しかも、尖閣などを警備する第11管区海上保安本部(沖縄県)には1千トン以上が7隻配備されているだけである。尖閣を含めた領土防衛に必要な体制を早急に整備すべきだ。

 中国は尖閣奪取の意図を隠さなくなった。仮に武装した漁民が大量の船団を組んで押しかけてきた場合、海保だけでは対応できない。主権の侵害を自衛隊が排除するための領域警備法制定も喫緊の課題である。


【産経抄】
9月4日
2012.9.4 03:15 [産経抄]
 天保10(1839)年の「蛮社の獄」は、幕府による言論弾圧事件だった。洋学者で文人画家の渡辺崋山は、高野長英とともに首謀者とされ、2年後に自刃に追い込まれる。

 ▼崋山にかけられた容疑のひとつが、「無人島(ぶにんしま)」への渡航計画だ。現在の小笠原諸島を指し、そこからアメリカに渡ろうとしたというのだ。小笠原の存在は、すでに江戸時代の初めごろに知られていた。発見したのは、紀州から江戸に向かう途中に遭難し漂着したミカン船だ。

 ▼生還者の報告を受けて、幕府は早速探検船を派遣し、日本領として確認した。迅速な措置は称賛に値する。ただしその後は関心を失ってしまった。幕末になって、欧米人が住みついている事実を知らされ、「回収」に苦労することになる。

 ▼尖閣諸島の購入に向けた、東京都の調査団による周辺海域の調査は、9時間半にも及んだ。魚釣島付近でウミガメの姿が目撃され、地元でもほとんど知られていない南側では洞窟も発見された。観光地としての期待が高まる一方で、ヤギによる食害も目立つ。やはり、居住者による適切な管理が必要だ。

 ▼都の購入計画を尻目に、政府は魚釣島など3島の地権者に約20億円を示して、交渉を進めているという。国有化が本来の姿とはいえ、中国の意向に沿って、あくまで無人島のまま放置しようとする魂胆が見え見えだ。

 ▼崋山の海外渡航計画はまったくの濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)だったが、小笠原への関心は高かった。西洋の事情に通じ、海防の重要性を説く崋山は、太平の夢をむさぼる幕府にとって、目障りな人物であったに違いない。当時の幕府と同じく、危機から目を背け、問題を先送りする政府の姿勢は、その目にどのように映るだろう。

 【主張】
尖閣諸島 国有化して何をするのか
2012.9.4 03:19 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
 尖閣諸島の購入に向けた東京都の調査が行われた。国が上陸を許可しないため、洋上からの調査だったが、活用策の検討に欠かせない多くの貴重なデータや知見が得られたことを評価したい。

 野田佳彦政権はこれらの成果を生かし、国独自の統治強化策を早急に打ち出すべきだ。

 調査は東京都や地元石垣市の職員らが小型船などに分乗し、9時間半行われた。島に手が届くほどの距離に接近し、海岸線の地形、水温、海鳥やヤギなどの生息状況などが綿密に調べられた。

 最大の魚釣島では、ヤギが増えて植物を荒らす食害が進んでいることが確認された。北小島と南小島では、石原慎太郎都知事が指示した荒天を避ける船だまりの適地の有無を探る調査も行われた。

 これだけ本格的な調査は、昭和54年5月に大平正芳内閣の下で沖縄開発庁(当時)が尖閣に上陸して行った調査以来だ。今回、上陸が許可されていれば、さらに詳しいデータが得られたはずだ。

 石原知事は来月、自身が尖閣に行き、上陸する意向を示した。国は今からでも、都の調査のための上陸を許可すべきである。

 野田政権は約20億円で尖閣を買い取る方向で地権者と交渉を進めていると伝えられる。一方で、石原知事が国有化容認の条件として野田首相に提案した漁船待避施設や漁業中継基地の整備などには応じない方針だともいわれる。

これでは国有化の意味がない。施設整備を許可すれば、尖閣の領有権を不当に主張する中国を刺激しかねないと判断したのなら問題だ。事なかれ主義では尖閣を守れないことは明白である。中国との間で現状のまま維持する合意があるのではないかと危惧する。

 石原知事は仲井真弘多・沖縄県知事とも会談する意向で、石垣市も含む共同購入などを提案するとみられる。野田政権も関係自治体と同じテーブルにつき、尖閣整備策の知恵を出し合うべきだ。

 自民党の石破茂前政調会長はフジテレビの番組で、尖閣諸島の実効支配を高めるため、くい打ち式桟橋やヘリポートを建設すべきだとの考えを示した。石破氏を支援するグループは安倍晋三元首相の陣営に、領土に関する勉強会の共同開催を打診している。

 自民党総裁選や民主党代表選に向け、尖閣の活用・防衛策などについて熱い論戦を期待する。

【主張】
広域FTA TPP先行で対中圧力を
2012.9.5 03:27 (1/2ページ)[主張]
 アジア広域自由貿易協定(FTA)が動き出す。東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓、インド、豪州など16カ国が2015年末妥結に向け来年早期の交渉開始で合意した。

 実現すれば、人口約34億、名目国内総生産(GDP)で世界の約3割を占める一大経済圏になる。日本の貿易総額の半分近くに当たる地域でもあり、デフレ、少子高齢化で国内市場が縮小する日本が期待するのは当然だろう。

 だが、同様に、アジア太平洋地域の成長力を取り込む枠組みである、米国主導の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への取り組みはどうなったのか。米国抜きのFTA構想に問題はないか。

 野田佳彦首相が交渉参加を表明するとされた8月は過ぎた。8日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での参加表明も難しい。首相は党内の意見集約どころか、TPPの議論を持ち出すことすらできなかった。

 日本は、年内にTPP交渉に加わりルール作りに関与するシナリオを描いていた。TPPに比べてハードルが低くなるとみられるアジア広域FTAを、そのTPP交渉を有利に進めるてこにしようと考えていたようだが、もはや年内の交渉参加は絶望的だ。

 先行国によるTPP交渉も難航し、年内妥結は困難視されるものの、交渉参加の日程さえ見えない日本が、蚊帳の外であることに変わりはない。

 さらに無視できないのは中国の存在だ。先に交渉開始で合意した日中韓FTA同様、アジア広域FTAにも後ろ向きだった中国はTPPを警戒し積極的になった。

 一方、米国も8月31日の太平洋諸島フォーラム(PIF)にクリントン国務長官が初参加し、太平洋の重要性を強調、「太平洋における中国の行動が公正・透明であることを望む」と述べた。

 アジア太平洋をめぐる米中の攻防が激化する中で、アジア広域FTAは中国主導になりかねない。そうさせぬため、日本は中国を警戒するインドなどと連携し、広域FTAのルールが中国の都合で決まる事態を避ける必要がある。

 その場合も、日本がTPPに参加して中国に圧力をかけることは極めて重要だ。アジア広域FTAを意味ある経済連携にするためにも、日本は一刻も早くTPP交渉参加を表明すべきなのである。

【主張】
大使公用車襲撃 「反日」を煽る甘い処分だ
2012.9.6 03:07 (1/2ページ)[主張]
 丹羽宇一郎駐中国大使の乗った公用車が襲われ日本国旗が奪われた事件で、中国当局は実行犯に極めて甘い処分を下した。約束した「厳正な対処」とはいえない。これでは再発防止にはならず、模倣犯が出てくることを憂慮する。

 北京市公安局によれば、国旗を奪った20代の男2人を軽微な違法行為を処罰する治安管理処罰法に基づき5日間の行政拘留処分とした。公用車の走行を妨げた別の20代の男は、さらに軽い警告処分にとどめた。

 国旗強奪という蛮行に対し、器物損壊罪などの刑事責任を追及しなかったのは、他国の国旗への敬意が鉄則の国際規範を無視した判断と言わざるを得ない。日本側が求めた国旗の返還も中国当局は「2人が遺棄した」と返答しただけだ。誠意ある対応ではない。

 にもかかわらず、藤村修官房長官は「類似事件の再発防止」を強調する一方で、処分内容について「適当か不適当かを言う立場ではない」と述べた。これでは事件の幕引きに同調したことになる。極めて残念な発言だ。

 事件の根底には、最近の尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる軋轢(あつれき)など、中国社会の中での根強い反日感情がある。北京市公安局は、国旗を奪った2人について「現在の日中関係に不満を持っているが、犯行は衝動的で計画性はない」と説明した。

だが、若者が反日感情に駆られ「衝動的」に日本国旗を冒涜(ぼうとく)する行動に走ったのだとすれば、問題はより深刻だ。中国のネット上には「なぜ英雄を捕まえたのか」といった批判が殺到した。ゆがんだ愛国教育に染まり、偏狭な見方をする人たちが、これからの中国を担うことになるからだ。

 胡錦濤政権がこうした世代の反日行動に甘い処分を下したのは、10月の共産党大会での最高指導部交代を前に国内の安定を配慮したためではないか。「反日」「愛国」なら何でも許される誤った風潮を広げ、新たな事件を誘発する逆効果を生みかねない。

 中国刑法では、中国国旗を毀損(きそん)した者は3年以下の懲役などに処せられるが、他国の国旗の場合は規定がない。8日からロシアで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する野田佳彦首相は胡主席に抗議し、他国の国旗に敬意を払う啓発の必要性を直言すべきだ。
【主張】
尖閣国有化 首相は統治強化策を語れ
2012.9.7 03:18 (1/2ページ)[主張]
 政府が尖閣諸島を約20億5千万円で購入し、国有化することで地権者と大筋合意した。

 国有化されれば、そこに国家主権が及んでいることがより明確になる。そのこと自体は評価したい。だが、問題は、国と地権者の協議で、漁船待避施設の整備などを中国の反発に配慮し、当面行わないと確認したことだ。

 これでは何のための国有化か分からない。尖閣で日本に何もさせないことを狙う中国の“拒否権”を認めるかのような腰の引けた対応と言わざるを得ない。

 東京都の石原慎太郎知事は以前から最終的な国有化を否定しておらず、今回の合意についても「地権者と政府が折り合ったなら口を挟める問題ではない」と言っている。しかし、先に地権者と尖閣購入計画を進めていたのは都であり、国が後から交渉に割り込んだ不自然な印象は否めない。

 石原知事は先月の野田佳彦首相との会談で、国有化容認の条件として漁業中継基地や気象観測所の建設も提案していた。国はまず、これらを一つ一つ吟味し、都に誠意ある回答をすべきだ。

 今回、国有化の経緯を石原知事に伝えた首相補佐官の長島昭久氏は2年前の中国漁船衝突事件後、尖閣諸島への警戒監視レーダー設置、尖閣周辺での日米共同演習などを求める建白書を当時の菅直人内閣に提出している。今の国家公安委員長、松原仁氏らも同時期、尖閣諸島への自衛隊常駐などを訴える声明を出した。

 野田首相はこれら政権内の意見を改めて集約し、都や尖閣を管轄する石垣市などの意見も聞いたうえで、国としての統治強化策をまとめ、国民に示すべきだ。それが尖閣国有化に踏み切った国の指導者の務めである。

 野田首相は先月下旬、「わが国を広大な海洋国家たらしめているのは竹島や尖閣諸島も含む離島だ。主権確保は日本の壮大なフロンティアを守ることになる」と領土と主権の問題に不退転の決意で臨む覚悟を示した。言葉だけで終わらせてはいけない。

 中国外務省は日本政府による尖閣国有化について「中国は国家の領土主権を守るために必要な措置を取る」と対抗措置を示唆した。国営新華社通信は日本政府を「強盗」と誹謗(ひぼう)した。不当な対抗措置を封じるには、目に見える形での尖閣防護・活用策が急務だ。
【産経抄】
9月9日
2012.9.9 03:06 [産経抄]
 大まじめな話なのだが、思わず笑ってしまった。本紙の「世界おもしろ法律事典」が紹介していた中国・北京市の「公衆トイレ管理基準」である。臭いの抑制策のほか「公衆トイレ1カ所につき、ハエは2匹を超えてはいけない」と決められているという。

 ▼不衛生なトイレに対する国内外の観光客らからの苦情に応えたものだ。ほかに2匹ではなく3匹という「緩やか」な市もあるそうだ。もっとも基準発表から3カ月後、北京の著名なスポーツ施設のトイレでは10匹以上のハエが確認された。基準達成は容易ではない。

 ▼こちらはもっと深刻だが、一昨日中国南西部を襲った地震で100人近い死者が出た。M5級で規模はさほど、大きくない。それなのに被害が甚大になった。少数民族が多い山岳地帯での震災対策が遅れていたためと言われても仕方ないだろう。

 ▼その一方で経済成長をバックにした中国の海外進出は衰えない。最近では、北極に近いアイスランドに急接近中だという。石油や金など北極圏の資源が狙いらしい。東シナ海や南シナ海だけに飽きたらず、北の海にも触手を伸ばしているわけである。

 ▼発展途上に伴う矛盾だといえばそれまでだ。しかし国内での地震への備えやハエ退治もままならないのに、海外に覇権を広げようとして、国民が果たしてついていくのだろうか。不満が蓄積されていけば、体制が崩壊するのも近いと見る人も多い。

 ▼むろん日本と違ってこの国の政治家は多士済々だ。その力で強引に乗り切るかもしれないが、内部の権力闘争も熾烈(しれつ)らしい。次期トップが約束されている習近平国家副主席が、水泳中に背中を痛め入院中との報道もある。何やら暗雲がたれこめてきた。
【主張】
オスプレイ報告 速やかに本格運用始めよ
2012.9.12 03:19 (1/2ページ)[主張]
 米軍の新型輸送機MV22オスプレイの事故に関する防衛省独自の専門家による報告が出そろい、モロッコと米フロリダ州の事故のいずれも原因は「操縦士らの人為的ミス」と結論づけた。

 一部の反対派などが掲げた「機体や設計上の欠陥」などの疑いを晴らす分析が得られたことを率直に評価したい。今後は日米両政府が安全運用ルールを定め、普天間飛行場などでいつ本格運用に入るかが重要な焦点となる。

 尖閣諸島をめぐる中国の挑発的行動などで日本の安保環境は緊迫しつつあり、米海兵隊の装備・能力を高めるオスプレイの導入が急がれることはいうまでもない。

 日本の安全を守り、日米同盟の抑止の実効性を高めるためにも、野田佳彦政権は地元の説得強化に努め、速やかに運用開始への準備を進めてもらいたい。

 MV22は老朽化したCH46中型ヘリと比べて速度、行動半径、積載量が2~4倍に強化され、朝鮮半島や尖閣諸島などの緊急事態への対処能力が飛躍的に高まる。米政府も昨年6月、「日本の防衛や同盟の抑止力向上に不可欠」として正式に沖縄配備を決めた。
だが、同型機を含めて今年4月以降に起きた2件の事故について「設計ミスや機体の欠陥ではないか」との懸念や疑問が高まり、日米両国で原因究明と分析を進めてきた。今回の報告は、米軍だけでなく日本の専門家チームも加えた二重の検証を通じ、そうした懸念が払拭されたことを意味する。

 普天間に配備される第1陣12機は米軍岩国基地(山口県)に搬入ずみだが、米軍が希望する「10月の本格運用開始」を満たすには、市街地の安全や騒音防止などを勘案した訓練飛行や運用ルールで日米が合意し、日本政府が「安全宣言」を出す必要がある。

 大きな問題は、政権与党の民主党が地元への誠意ある説得を尽くそうとせず、配備計画見直しを求めるなど普天間移設問題と同様の迷走すらみせていることだ。

 声高な反対派に安易に迎合し、安全保障上の必要性に耳をふさぐようでは、国民の安全や日本の領土・主権は到底守れない。

 野田首相は報告を機に、自らもオスプレイ導入の意義と必要性を国民に訴えるべきだ。その上で外務、防衛両省を督励し、安全宣言に向けた日米協議を遅滞なく進めるよう全力を投入してほしい。

【主張】
尖閣購入決定 中国の実力行使に備えを
2012.9.12 03:19 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
 政府が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の魚釣島と北小島、南小島の3島の購入にあてる予備費20億5千万円の支出を閣議決定し、地権者と売買契約を交わして3島を国有地とした。これにより統治を強化することは、安全保障と海洋資源確保の両面で大きな意義がある。

 これに対し、尖閣を自国領土だと主張する中国政府が激しく反発し、海洋監視船2隻を尖閣付近海域に派遣した。国家海洋局の「行動計画」に基づく「主権維持行動」だとしている。中国はまた、尖閣周辺を「領海」とする基線を発表するなど尖閣奪取への布石も急速に打ち始めている。

 こうした威嚇や恫喝(どうかつ)は断じて受け入れられない。さらにエスカレートさせ力で取りにくることも想定すべきだ。日本政府が何もしない「現状維持」策を取ることで、尖閣は累卵(るいらん)の危うきにある。

 政府は領土防衛の備えの強化を急がなければならない。

 ロシアでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議最終日の9日、胡錦濤国家主席は野田佳彦首相と立ち話をし、日本政府の尖閣購入について「不法かつ無効で、断固反対する」と述べた。翌日、中国外務省が「日本があくまで耳を貸さずに独断専行するならば、それによって生じる一切の深刻な結果は日本側が負うほかない」との声明を発表した。

 中国側の対応に野田政権はなすすべもない。首相は民主党代表選の出馬演説で「領土、領海に関わる問題には毅然(きぜん)と対応する」と標榜(ひょうぼう)したが、尖閣の実効統治強化に不可欠な恒久的な施設の設置や公務員常駐を実現させる考えはないようだ。

 首相は胡主席には「大局的観点から対応したい」と伝えたという。それが、国有化しただけで、「現状維持」や紛争激化を一時回避する「棚上げ」を意味するなら、極めて問題だ。

 日本としては、一昨年の中国漁船衝突事件や、この8月の尖閣不法上陸などから、今後は、武装した中国漁船が船団を組んで尖閣周辺に出現する事態まで想定しておく必要がある。

 改正海上保安庁法に伴い、外国人の離島不法上陸に、より迅速に対応できるようになったが、主権侵害行動を排除するには十分とはいえない。自衛隊に領域警備の任務を与える法整備は、対話に臨む場合も抑止力として必要だ。
【主張】
自民党総裁選 領土と主権もっと論じよ
2012.9.14 03:16 [主張]
 14日告示される自民党総裁選への立候補者5人が出そろった。

 求められているのは、再び政権を担おうとする野党第一党として、日本をこういう国にするという明確なビジョンの提示だ。国家をどう立て直すかについて、論戦を通じて競い合ってほしい。

 「国難の10年」(石破茂前政調会長)、「日本再起」(安倍晋三元首相)など、日本が危機的状況にあるという認識を5氏は示しているが、日本の領土・主権をいかに守るかをめぐってそれぞれの主張に濃淡はある。

 積極的に取り上げている石破氏は「国家主権は他国に指一本触れさせてはならない」と公約でうたい、安倍氏は尖閣問題を「未曽有の国難」の要因と位置づけた。

 林芳正政調会長代理は「領土問題等に毅然(きぜん)と対応する」とし、町村信孝元官房長官は「尖閣・竹島・北方領土への取り組み強化」を挙げた。

 石原伸晃幹事長も「わが国の領土と主権を守る国内法や組織・機関の整備を進める」としたが、民放番組では「中国は(尖閣に)攻めてこない。誰も住んでいないから」とも語った。中国が尖閣奪取の姿勢を強める実態をどうみているのだろうか。

 具体的措置として、安倍氏は避難港の創設や領海警備のための自衛隊法改正などを挙げた。石破氏も領海侵犯への対処を訴えた。町村氏は自衛隊や海上保安庁の人員、装備強化を課題とした。

 対韓、対中外交では、歴史認識をめぐる政府の対応が相手に不当な要求を許す余地を与えた面がある。慰安婦問題で、証拠がないのに日本軍による強制連行を認めた「河野官房長官談話」などだ。

 安倍氏は出馬会見で「強制性があったとの誤解を解くため、新たな談話を出す必要がある」との見解を示した。国家観にかかわる歴史認識を、政権復帰に合わせてどう転換するかが問われる。

 5氏はいずれも集団的自衛権の行使容認に言及した。日米同盟の深化に欠かせない政策転換について、政権復帰後に確実に実現することを明確にしておくべきだ。

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)では「聖域なき関税撤廃に反対」などと、野田佳彦政権の対応への批判が多い。新たな自由貿易の枠組み作りから取り残される不利益は放置するのか。さらに踏み込んだ議論が必要だ。
【産経抄】
9月15日
2012.9.15 03:14 [産経抄]
 いま上海は異様な空気に包まれているという。道を歩いていただけで、ラーメンをぶっかけられたり、飲食店で殴られたりする日本人が続出している。小欄の友人も「おまえは日本人か」と路上で聞かれ、とっさに「シンガポールからきた華僑です」と英語で答えて難を逃れたとか。

 ▼いよいよ中国が、本気で尖閣諸島を奪おうとしている。6隻もの海洋監視船が尖閣諸島沖に襲来し、日本領海を侵犯した。近く漁業監視船が漁船を伴って大挙して尖閣周辺に押し寄せ、一部は不法上陸するとの情報さえある。「開戦前夜」といっても過言ではない。

 ▼野田佳彦首相は「緊張感を持って警戒監視に万全を期してほしい」と指示したが、あきれた。島を死守している海上保安庁や上空からP3Cで監視している自衛隊の面々は、常に緊張感をもって仕事をしてきた。緊張感がないのは、3代続いた民主党政権の首相をはじめとする幹部連中だ。

 ▼東アジア共同体を夢想した鳩山由紀夫元首相は論外としても、ど素人の商社会長を中国大使にした罪は万死に値する。大使車の日の丸をひきちぎられても泣き寝入り同然の対応しかできなかったのは、日本人の恥だ。

 ▼首相は、挑発行為を続ける中国政府に抗議して無能大使を召還すべきだ。同時に満州事変の発端となった柳条湖事件記念日(18日)の前に、中国への渡航延期勧告を出す必要がある。

 ▼各地で大規模な反日デモが予想され、ラーメンをかけられるだけでは済まぬかもしれぬ。上層部が腐敗し、貧富の格差にあえぐ人々の怒りの矛先を中国共産党は、日本に向けさせようとしている。そんな火中にわざわざ飛び込む必要はない。3連休は日本でゆっくり、が一番だ。
【産経抄】
9月16日
2012.9.16 03:10 [産経抄]
 民主党4人、自民党は5人-言うまでもなく両党の代表選、総裁選の立候補者数である。特に次期総選挙で優勢とみられる自民党の「盛況」ぶりには目を見張る。伊吹文明元幹事長は「首相のにおいがしてきたら雨後のたけのこのように次々と手を挙げる」と皮肉ったそうだ。

 ▼歴史を遡(さかのぼ)れば昭和47年の自民党総裁選も4人で争われた。7年8カ月に及んだ佐藤栄作政権のもとで力を蓄えた田中角栄氏ら実力者が一斉に名乗りを上げたのだ。当初、リードしているとされたのは佐藤首相の後継者と目された福田赳夫氏だった。

 ▼しかし7月5日の投票では、田中氏が決選で福田氏に92票の大差をつけて当選した。ともに立候補した大平正芳、三木武夫両氏との間で「3派連合」を組んだ結果である。特に水と油のような三木氏と手を握ったことは永田町の住民を驚かせた。

 ▼決め手は日中国交回復だった。佐藤政権で交渉が進まなかった中、推進派の三木氏に「日中をやろう」と呼び掛けたのだ。確かに日中国交回復は重要な政治課題だった。だが結果的には田中氏が「日中」を総裁選に利用したと言えなくもない。

 ▼似たようなことは民主党代表選で起きている。野田佳彦首相は「原発ゼロ」には否定的だったはずだ。それが代表選の最中、「2030年代ゼロ」を目指す政府戦略を決めた。反原発の菅直人前首相ら党内の支持を得て再選、総選挙での勝利も目指していることは明らかだ。

 ▼国家百年の計であるエネルギー政策を党の選挙に利用するなどとんでもないことだ。田中氏の場合、首相就任後「約束」通り日中国交回復を成し遂げた。だがあまりに「前のめり」で中国ペースに乗ったことへの批判は今も強い。
【主張】
中国の尖閣侵犯 公船排除の法整備を急げ
2012.9.16 03:16 [尖閣諸島問題]
 中国の海洋監視船6隻が尖閣諸島周辺の日本領海に侵入した。6隻もの中国公船の領海侵犯は過去に例がない。日本の尖閣国有化に対する危険な実力行使であり、中国が本気で尖閣を取りにきているとみるべきだ。

 政府は程永華駐日中国大使を外務省に呼んで抗議した。不十分である。より強い対抗措置が必要だ。

 中国では反日デモも拡大し、日本人が暴行を受けるなどの被害も出ている。中国当局に、在留邦人の生命、財産を守る義務を果たすよう厳しく求めねばならない。

 6隻の中国監視船の領海侵犯は二手に分けて行われた。うち1隻は、退去を求める海上保安庁の巡視船に「魚釣島は中国の領土で、本船は正当業務を執行中だ。直ちにこの海域から離れてください」と日本語で逆に警告してきた。

 退去要求以上のことができない日本側の警備体制につけ込んだ、許し難い挑発行為である。

 中国の横暴な行動を招いた最大の要因は、野田佳彦政権が尖閣諸島をただ国有化しただけで、中国側に配慮し、何の整備もしないとの方針を示したことにある。中国との摩擦回避のためとされるが、逆効果になっている。

 野田政権は、石原慎太郎東京都知事が国有化容認の条件として提示した、漁船待避施設や漁業中継基地建設などの整備策を、改めて検討すべきだ。2年前の中国漁船衝突事件後、自衛隊常駐を訴えた松原仁国家公安委員長ら政権内の意見も集約する必要がある。

 国連海洋法条約は、沿岸国が無害でない通航を防止するため「自国の領海内において必要な措置をとることができる」(25条)と定めている。しかし、これに対応する国内法がないため、日本は退去要請しかできない。領海侵犯した外国公船を強制的に排除するための法整備は急務である。

 中国農業省漁業局は、尖閣周辺に漁業監視船を送る準備も進めているという。中国国家海洋局の海洋監視船に加え、漁業監視船が漁船群を伴って尖閣周辺の海域に殺到することも予想される。

 尖閣の事態に対処する関係閣僚会議では当然、森本敏防衛相も加わって、海保だけで対応できない場合に備えた海上警備行動などの検討を急がなければならない。

 事なかれ主義外交では領土と主権を守れないことを、野田首相ははっきり自覚すべきだ。
【産経抄】
9月18日
2012.9.18 03:06 [産経抄]
 『阿Q正伝』そのものだ。みなさんが中国各地で繰り広げている、日本人や日系企業に対する乱暴狼藉(ろうぜき)の映像を見ての感想です。なんのことかと、首をかしげる人もいるかもしれません。

 ▼ここ数年、中国の高校生向け国語教科書から、魯迅の作品が次々と姿を消していると聞きます。中国共産党一党独裁体制への批判につながるのを、当局が恐れているのでしょうか。

 ▼阿Qは貧しい農夫です。自尊心だけは高く、すぐケンカをふっかけます。辛亥革命の混乱の中、意味もわからないまま「謀反」だと浮かれますが、結局革命党の仲間には入れませんでした。それどころか、革命党が起こした略奪事件のぬれぎぬを着せられ、処刑されてしまいます。

 ▼衆を頼んで押し寄せるみなさんは、一人になると普通の青年なのではありませんか。みなさんが植え付けられてきた、愛国教育は間違いだらけです。「小日本打倒」などと気勢を上げる前に、尖閣諸島について正しい知識を得ていただきたい。

 ▼実は、怒りの矛先は、格差の拡大や就職難、官僚の汚職を許す政府に向けられている、との指摘があります。「反日」を掲げてさえいれば、当局も見逃してくれるからだ、と。魯迅は、そうした民衆の欺瞞(ぎまん)と、それを利用する政治権力こそ、中国の宿痾(しゅくあ)だと見抜いていました。なんとか覚醒を促そうと決意して、日本留学中に医学から文学へ転じたのです。

 ▼きょう18日は、柳条湖事件から81年に当たる日とあって、日系社会は緊張の度合いを高めています。あなたたちがみっともない振る舞いを続ければ、国の品格に傷が付くのは避けられません。ぜひ、理性ある行動をお願いします。魯迅もそれを望んでいるはずです。
【主張】
中国のデモ暴徒化 反日圧力に屈してならぬ
2012.9.18 03:09 (1/2ページ)[主張]
 日本政府による沖縄県尖閣諸島の国有化に反発して、中国で11日から続いている反日デモ暴徒化は常軌を逸している。

 抗議行動は北京や上海など八十余都市に広がって激化し、暴徒の標的となった日系企業やスーパー、コンビニなどで破壊や略奪、放火が続出した。操業停止に追い込まれた工場もある。日本人というだけで暴行も受けている。

 法治国家では許されない状況である。日本政府はたびたび厳重抗議したというが、抑制の動きが出たのは16日になってからだ。

 満州事変の発端となった柳条湖事件から81年となる18日は、中国では「反日」機運が高まる日だ。中国当局には、在留邦人と進出企業の安全確保、そして暴徒の処罰という、責任ある大国にふさわしい対応を取ってもらいたい。

 野田佳彦首相は尖閣問題などについて、「大局観をもっていれば乗り越えられる」などと述べた。だが、尖閣を国有化しても当面は何もしない、事なかれ主義は逆効果を招いていないか。それは、6隻もの中国公船による尖閣周辺の日本領海侵犯や今回の反日暴動状態の発生ではっきりしている。

 問題は、中国政府の手前勝手な主張だ。「日本は日清戦争末期に尖閣を違法に窃取した」(外務省声明)と史実に反する宣伝をし、「全土が日本の誤った行動に憤り政府の対抗措置を支持している」(同省報道官)と反日デモを後押しする姿勢さえ示している。
日本製品の不買運動などについても、「消費者が理性的な方法で自分たちの考えを表明するのは彼らの権利だ」(商務省次官)と容認した。これでは、政府が歪(ゆが)んだ「愛国教育」に染まった若い世代を煽(あお)っているとしか思えない。

 日本は、中国の官民一体の反日圧力に屈してはならない。うろたえることは禁物だ。中国側が、圧力に弱い日本に揺さぶりをかけている面を忘れてはならない。

 野田政権が直ちになすべきことは、尖閣諸島が歴史的にも国際法上も正当な日本領土だと改めて国際社会に宣言することだ。同時に中国が領有主張を始めたのは「周辺海域の石油資源埋蔵が判明した1970年代」といった明白な事実も指摘する必要がある。

 野田首相は今月下旬、国連総会の一般討論演説で、海洋における「法の支配」の重要性を訴える。逃してはならない機会だ。

【産経抄】
9月19日
2012.9.19 03:15 [産経抄]
 中国では毎年9月18日、反日のデモや集会が開かれてきた。昭和6(1931)年のこの日、関東軍が奉天(現瀋陽)郊外、柳条湖付近の鉄道を爆破、これを契機に旧満州のほぼ全土を占領した。いわゆる満州事変で、日本の「侵略」が始まった日とされているからだ。

 ▼事件から80年の昨年は、現場近くの「九・一八歴史博物館」前で、日の丸を焼くなどの騒ぎがあった。しかし今年の「反日」の激しさはその比ではない。尖閣諸島をめぐるデモがピークに達した。テレビの映像ではシャツに「9・18」と書いた若者が「島」を叫んでいた。

 ▼「尖閣」と「柳条湖」とが重なったことで、反日感情が増幅されているのかもしれない。だが彼らが81年前の歴史を理解して、反日になっているとはとても思えない。真実を知らされずに踊らされていたかつての紅衛兵の姿とダブって見えて仕方ないのだ。

 ▼満州事変の前、日本は日露戦争によって、南満州鉄道とその付属地の権益を得た。当時の清国も条約でこれを認め、日本は合法的に沿線の開発を進めた。だがそれに従って中国人の満州への移住が増え、その「反日」で日本人の安全が脅かされてくる。

 ▼事件を主導した元関東軍参謀の石原莞爾に言わせれば、それは「あたかも噴火山上にあるままに」放置されていた。石原らにしてみれば、先手を打ち事態を打開しようとした。「侵略」どころか「自衛」のためだった、との理屈だって成り立つ。

 ▼むろん中国側が真っ向否定するのは仕方ない。問題は日本の一部の史家やマスコミ、政府までが、一方的に日本を「悪」と決めつけてきたことだ。中国人の「反日」をあおってきたのは、中国当局ばかりでないのである。
【主張】
中国漁船群 総力あげ尖閣防備固めよ
2012.9.19 03:21 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
 中国の漁船約千隻が尖閣諸島に向かって出港した。10隻を超す中国の漁業監視船と海洋監視船も接続水域に入っており、合流する可能性が強い。千隻もの漁船が殺到すれば前例のない事態だ。野田佳彦政権は総力を挙げて尖閣防備の態勢を固め、あらゆる事態に備えなければならない。

 尖閣諸島などを警備する第11管区海上保安本部(沖縄)には、千トン以上の巡視船が7隻しかない。しかも、5千トン以上の大型巡視船は大都市周辺に配備されているだけだ。他の保安本部から11管に巡視船を応援に回すなどして、万全の防備体制を敷くべきだ。

 海保だけで対応できない場合、自衛隊の出動が必要になる。野田首相は7月の衆院本会議で、日本の領土・領海での外国の不法行為には「必要に応じて自衛隊を用いることも含め、政府全体で毅然(きぜん)と対応する」と述べている。

 まず考えるべきは、自衛隊法82条に基づく海上警備行動である。海上での人命・財産保護や治安維持のために防衛相が命じるもので、平成11年3月の能登半島沖不審船事件や16年11月の中国原子力潜水艦による領海侵犯事件などに対し、計3度発令されている。

 より緊急事態を想定した治安出動(同78、81条)や防衛出動(同76条)はまだ発令されたことはないが、検討内容に含めておかねばならない。そのためには、尖閣の事態に対処する関係閣僚会議に森本敏防衛相が出席して意見を述べる必要がある。関係8省庁の協議にも防衛省が入っていないが、これもおかしい。


野田首相「国防に想定外なし」 自衛隊幹部に訓示
海保と自衛隊の連携による堅い守りが、中国との一触即発の危機を回避する抑止力になる。

 来日したパネッタ米国防長官は玄葉光一郎外相との会談後の記者会見で、尖閣諸島が日米安保条約第5条の適用範囲との認識を示した。尖閣周辺での日米合同演習も有効な尖閣防護策である。

 昭和53年4月には、武装した100隻超の中国漁船群が尖閣沖に現れ、領海侵犯を繰り返した。

 海保の巡視船の増強と海上保安官の増員に加え、削減し続けてきた防衛予算の拡充が急務である。農林水産省の岩本司副大臣は違法操業などを取り締まる水産庁の漁業取締船を39隻から41隻に増やす方針を示した。

 オールジャパンで領土と海洋権益を守るべきときだ。


首相「海保や警察で手が負えない状況なら、自衛隊が治安維持」

【主張】
日本企業襲撃 中国リスク強めるだけだ
2012.9.20 03:15 (1/2ページ)[主張]
 中国各地で起きた連日の反日デモで、暴徒の標的となった日系企業の工場やスーパー、コンビニなどの店舗は破壊、放火によって甚大な被害を受けた。

 デモは、日本政府による尖閣諸島(沖縄県)国有化に強く反発したというが、乱暴狼藉(ろうぜき)の数々は中国が「法治国家」とは到底いえない異様な国であることを世界に露呈した。

 しかも中国政府は一部のデモ参加者の暴徒化を黙認した一方で、「責任は全て日本側にある」と無責任な姿勢をみせつけている。

 野田佳彦首相が日系企業への賠償に「中国が責任を負うのがルールだ」と述べたのは当然だ。藤村修官房長官も「被害企業から個別に相談を受け、支援する」としている。政府は中国側が誠意をもって個別の補償に応じるよう、強く申し入れるべきだ。

 多くの小売店が一時休業に追い込まれ、自動車や重機メーカーなどの工場も操業停止を余儀なくされた。1970年代末に始まったトウ小平氏の改革開放路線の下で近代化を支援した松下幸之助氏が創業者のパナソニックも襲撃された。損害は巨額にのぼる。

 中国政府は国際的非難を恐れてデモ封じ込めに乗り出したようだが、対日圧力は緩めていない。日本製品ボイコットを容認する高官発言と同調するように対日経済制裁の動きが出てきた。
日本からの輸入通関で「(遅れの兆しが)察知される情報がある」(日本貿易会)という。

 2年前、中国漁船衝突事件を受けて中国がレアアース(希土類)の輸出規制を行った前例がある。こうした動きについても警戒しなければならない。

 中国は日本にとって最大の輸出相手国で、日系現地法人もすでに5千社を超えた。日本の対中投資は昨年は前年比50%近く増え、今年1~8月も16%超伸びた。

 しかし、今回の反日デモの暴徒化は、日本の経済界に改めて「中国リスク」に対する厳しい認識を迫っているといえる。

 尖閣をめぐる日中の緊張が続く中で、日本企業の生産拠点を中国以外へ移転・分散させる検討を含めた見直しも必要ではないか。

 安住淳財務相は、中国に多くの雇用をもたらす日系企業の破壊は「中国にもメリットがない」と指摘した。襲撃は自らへの打撃であることを中国は認識すべきだ。

【主張】
習氏の尖閣発言 長期戦に備え同盟結束を
2012.9.21 03:09 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
 中国の次期最高指導者となる習近平国家副主席がパネッタ米国防長官との会談で、日本政府の沖縄県・尖閣諸島国有化を「茶番」と批判した。米国に対しても「言動を慎み、主権問題に介入しないよう希望する」と高圧的要求を行った。

 主権国家の行動を愚弄する非礼な発言であるだけでなく、尖閣問題で日米同盟分断を狙った要求と受け止めざるを得ない。野田佳彦政権は強く抗議すべきだ。同時に尖閣奪取を狙った中国の攻勢の長期化を覚悟した上で、日米の結束を強化し、有効な対抗措置を進めるべきだ。

 訪中前に日本を訪ねたパネッタ氏は、日本防衛義務を定めた日米安全保障条約の「尖閣適用」を改めて確約し、在沖縄米海兵隊の新型輸送機オスプレイの運用開始に向けた協議も進めた。

 習氏の発言は、日米同盟のこうした動きを阻止し、米国の手も縛ろうとする意図が明白だ。満州事変を持ち出して日本の軍国主義を批判するなど、「反日」の姿勢も習氏は鮮明にした。

 今回、中国側は一連の反日デモに加え、中国公船による領海侵入の常態化、経済通商面での圧力、「尖閣領有」を主張する海図の国連提出など、強硬かつ計画的な措置を次々と打っている。中国側の大陸棚延伸案も国連大陸棚限界委員会に持ち込むという。
習氏発言と併せて、人民解放軍の政治戦略の法律戦、世論戦、心理戦を駆使して一気に尖閣奪取に出てきた可能性もある。

 問題は、日本政府の対抗措置が後手に回りがちなことだ。野田首相は19日、中国の反応が「想定を超えている」と述べた。危機管理に問題があることを事実上認めた発言ともいえ、極めて遺憾だ。

 玄葉光一郎外相も「日本の対外発信を強化しなければ」と語ったが、中身がはっきり見えない。日本が尖閣で「領土問題は存在しない」との立場をとってきたことが足かせになっていないか。

 オスプレイは、米海兵隊の装備・展開能力を飛躍的に高め、とりわけ尖閣周辺の緊急事態にも有効だ。中国に対する抑止力強化にもつながる。野田政権はその早期運用開始に全面協力するとともに、尖閣に関する日本の立場と主張を米国に繰り返し伝えるべきだ。

 尖閣の防衛手順を緊密に調整することも欠かせない。日米は長期戦に備えなければならない。
【産経抄】
9月25日
2012.9.25 03:05 [産経抄]
 カタツムリの左右の角にある、「触」国と「蛮」国は、領土をめぐって対立していた。中国の古典『荘子』にある「蝸牛角上(かぎゅうかくじょう)の争い」の寓話(ぐうわ)だ。唐代の詩人、白楽天は「対酒」という詩で、そんなつまらない争いはやめよう、と呼びかける。

 ▼中国の最高指導部の誰かが詩を引用して、尖閣諸島について笑い飛ばしていたら、さすが大国の風格と、国際社会から称賛の声が上がったろうに。その絶好の機会になるはずだった日中国交正常化40周年の記念式典を中止すると、中国側が伝えてきた。

 ▼やむを得まい。中国政府は先週、反日デモの暴徒化を許し、現地の日本人を恐怖に陥れ、日系企業に莫大(ばくだい)な損害を負わせた。謝罪するどころか、日本側に責任を転嫁し、経済制裁さえちらつかせている。

 ▼尖閣諸島周辺では、きのうも中国の海洋監視船が、日本の領海内に侵入した。いやがらせを続けて両国間の亀裂を広げているのは、中国である。むしろこちらから、式典への参加を拒絶すべきだった。

 ▼そもそも中国との国交40年は、とても「正常」と呼べるものではない。中国が無防備な日本にどんな謀略を仕掛けて、手玉に取ってきたのか。発売中の『別冊正論 日中国交40年』が、豊富な資料を基に暴き出している。

 ▼「富に随(したが)い貧に随い且(しばら)く歓楽せよ」。白楽天の詩は、「金持ちも貧乏人もそれなりに楽しもう」と続く。胡錦濤政権がめざした「和諧社会」のイメージに近い。ただ現実は大違いだ。共同通信によると、貧富の格差拡大や官僚腐敗への不満から各地で起こった抗議活動は、昨年1年で約18万件にも上った。民衆の怒りをそらして、日本への憎悪をあおる姑息(こそく)な手口も、そろそろ限界ではないか。
【主張】
中国の尖閣攻勢 怯まずに対抗措置強めよ
2012.9.25 03:06 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
 中国の対日交流団体の「中日友好協会」が、27日に北京で予定されていた日中国交正常化40周年記念式典の「中止」を通告してきた。

 中国側は、日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化を中止理由としている。数日前まで「予定通り」だったはずの式典の一方的中止通告は非礼と言うほかない。日本政府は揺さぶりに慌てる必要はあるまい。

 重要なことは、尖閣をめぐって中国側が繰り出す数々の対日攻勢を冷静に分析し、はね返すしたたかな姿勢を貫くことだ。

 尖閣周辺では連日のように中国公船が出現している。24日にも海洋監視船2隻と漁業監視船2隻が領海内に侵入した。

 中国公船は「中国領海における通常業務だ」などと主張し、接続水域内で操業中の中国や台湾の漁船を取り締まるなど「主権行使」を既成事実化する動きも目立つ。外務省はその都度抗議をしているが、中国側の侵犯は常態化している。日本が対抗措置をとらないことにつけ込んでいる。

 尖閣を管轄する第11管区海上保安本部(那覇市)を海上保安庁挙げて応援する態勢をとっているにしても、1000トン以上の大型巡視船が計51隻という現体制で十分に対応できるのか、詳細な点検が必要だ。

海保の警察権を離島の陸上にも拡大する改正海上保安庁法が25日に施行される。しかし、武装した漁船が数百隻単位で襲来した場合は海保だけでは対応できない。

 軍事的威嚇もある。中国海軍が尖閣諸島の北方海域にフリゲート艦2隻を展開した。23日にはウクライナから購入し改修と試験航行を続けてきた中国初の空母の海軍への引き渡し式も行われた。

 日本政府はこうした露骨な中国の圧力に怯(ひる)まず、粛々と尖閣の守りを固めるべきだ。

 自衛隊法に基づく海上警備行動を想定するのはもちろん、領海侵犯した外国公船を強制的に排除するための法整備は最低限の準備である。

 陸上自衛隊と米海兵隊が米領グアム島で実施している離島防衛のための共同訓練は、米国が尖閣を「日米安保条約の適用範囲」と明言したこともあり、中国への大きな抑止力として評価できる。

 それでも、領土防衛について日本自身による毅然(きぜん)とした意思表明と具体的行動が先だ。

【主張】
あす自民総裁選 荒海乗り切る舵取り役を
2012.9.25 03:07 (1/2ページ)[主張]
 日本の最高指導者になりうる自民党の新総裁が26日に選出される。

 問われるのは、日本が抱える難局をいかにして乗り切るかという具体策であり、覚悟と指導力である。自民党の立て直し策も見極めたい。

 総裁選は1回目の投票では過半数を確保する候補者は出ないとみられ、計199人の同党国会議員による決選投票で決まる。

 199人には派閥の論理や有力者の圧力などにとらわれることなく、日本の舵(かじ)取りを担うリーダーを選択してもらいたい。

 日本の当面最大の課題は、尖閣諸島などをめぐる領土・主権が中国などに脅かされている事態にどう対処するかである。

 この問題で、安倍晋三元首相は避難港の建設や公務員の常駐など尖閣諸島の国有化に伴う統治強化策を強調した。

 石破茂前政調会長は海兵隊の創設などを唱え、林芳正政調会長代理は海上保安庁と海上自衛隊との連携強化の必要性を指摘した。

 国有化への反発を強める中国との間で、外交的努力を払うべきだと強調した石原伸晃幹事長や町村信孝元官房長官との違いが際立ったといえる。
 尖閣の危機を乗り切り、今後どのように中国に臨むかについて、新総裁は決断を迫られる。野田佳彦政権の対応を批判するだけでは政権の受け皿にはならない。

 社会保障の大きな課題となる給付抑制をめぐっては、論戦の中で高齢者の医療費負担増や年金支給開始年齢の引き上げなどの意見も出たが、内容を詰め切るには至らなかった。

 原発・エネルギー政策や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)についても、民主党に代わる明確な答えを提示できていない。

 たとえ国民からは不人気で、痛みを伴うものであっても、必要な政策であれば、正面から取り組まなければならない。自民党は先の総選挙では民主党と「ばらまき合戦」をしたが、それを繰り返してはなるまい。

 かつての影響力は失っても、総裁選をめぐる派閥次元の動きはなくならない。ベテランと若手など世代間の対立もある。

 派閥や党と業界団体との「政官業の癒着」の問題が、国民の離反を招いたことも認識すべきだ。こうしたしがらみの打破についても、国民は注視している。


【主張】
尖閣と台湾漁船 中国を利する攻勢許すな
2012.9.26 03:08 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
 中国公船の出現が常態化している沖縄県・尖閣諸島周辺の海域に台湾の漁船群が押し寄せ、約40隻が海上保安庁に相当する海岸巡防署の巡視船12隻とともに一時日本領海に侵入した。

 一部漁船や巡視船は尖閣から約5・6キロまで接近した。台湾側の違法かつ無謀な行為であり、許されない。海上保安庁の巡視船が警告し、放水などで進路を変えさせたのは当然だ。

 台湾は日本の尖閣国有化を「不法占拠」(楊進添外交部長)と抗議する一方、馬英九総統が尖閣問題では中国側と連携しないとし一線を画す立場を表明している。

 だが、中国外務省は「台湾漁船群の行為は正当」とすばやく反応した。台湾公船が率いる漁船群の日本領海侵入は問題を複雑化させ、対日攻勢を強める中国を利することにもなる。

 台湾の尖閣領有の主張は中国と同様、国連機関の調査で付近の海底に大量の石油資源埋蔵の可能性が判明した昭和43年以降だ。法的、歴史的な根拠は全くない。

 ただ、台湾漁船側の主張には、耳を傾けざるを得ない側面もなくはない。尖閣周辺が台湾の伝統的漁場で、漁民の生活にかかわる問題である点だ。
日中間の漁業協定では、中国が領有権を主張する尖閣諸島の日本領海外の海域に「暫定措置水域」を設け、双方は相手国の漁船に対して自国の法令を適用しない。これに対し、日台間には漁業協定がない。そのため、台湾漁船が日本の排他的経済水域(EEZ)内で操業すれば摘発され、台湾側は問題視してきた。

 領土と主権で日本は譲歩してはならない。漁業面での取り決めに再検討の余地があるならば、日台間で交渉を再開し、操業秩序の確立を含む解決を模索すべきだ。それが日台の切り離しを狙う中国の狙いを阻むことにもなる。

 2期目に入った馬総統は対中融和政策を維持しているが、安全保障に関しては日米同盟支持の立場だ。日本メディアに対し、「日米安保条約があってこそ台湾を含む東アジアが安定する」と強調したこともあった。この発言に矛盾しない自制を強く求めたい。

 日台間の往来者数は昨年約250万人に上り、今年はそれを大きく上回る勢いだ。これまでに積み上げてきた良好な関係を壊さない知恵が必要である。
【主張】
安倍新総裁 「強い日本」再生策を語れ 政権奪還に反省生かせるか
2012.9.27 03:29 (1/3ページ)[安倍晋三]
 「強い日本」を掲げ、尖閣国有化後の統治強化策などを積極的に訴えた安倍晋三元首相が自民党の新しい総裁に選出された。

 5年前、病気を理由に首相を辞任した安倍氏は大きなハンディを抱えての再挑戦だった。しかし自民党は安倍氏に党の立て直しを託し、日本が抱える難局を打開する「切り札」に選んだ。

 この3年間の民主党政権の迷走が日本を弱体化させ、今日の国難を招いた。尖閣諸島をめぐる中国の攻勢や竹島、北方領土問題などで韓国、ロシアにどう対処するかが最大の課題となっている。

 ≪憲法改正で先頭に立て≫

 そのための「強い日本」を構築していくことこそが安倍氏の歴史的使命である。党の総力を挙げ、処方箋をまとめてほしい。

 安倍氏はこれまで、国のかたちを決める憲法改正や教育改革などを持論としてきた。領土・主権を守ることを最優先し、集団的自衛権の行使容認で日米同盟を深化させることを訴え続けた。今後は実行力が問われる。

 永住外国人への地方参政権付与や人権救済機関設置法案について、安倍氏がはっきりと反対姿勢を示した点も重要だ。民主党が日本の主権や言論の自由を侵害しかねない政策を実現しようとしていることへの危機感が、安倍氏を後押しした面もあろう。

 安倍氏は社会保障・税一体改革をめぐる民主、自民、公明の3党合意を「公党間の約束」として維持する考えを会見で述べた。だが、論戦においてはデフレが続いている限り、消費税率は引き上げるべきでないと主張していた。

 日本経済にとってデフレ脱却は最優先課題であり、日銀との政策協調を進めることも重要だ。

 しかし、日本の財政はデフレ脱却の遅れを理由に、いたずらに消費税増税を先延ばしすることが許される状況ではない。むしろ予定通り、平成26年4月に消費税率引き上げを実施すべく、そのためのデフレ克服の目標時期を定めることなどが求められる。

 少子高齢化に耐えうる社会保障制度の構築も、新総裁に課せられる最重要課題の一つだ。消費税増税が決まったとはいえ、高齢者を含め支払い能力に応じて負担する仕組みに改めなければ、制度は早晩、維持できなくなる。

 社会保障については政局と切り離して、超党派で議論すべきだ。安倍氏はまず、高齢化によって膨らむ年金や医療、介護費用をどう抑制するのか具体策を示し、「社会保障制度改革国民会議」の発足を急がせなくてはならない。

 野田佳彦政権は「2030年代に原発稼働ゼロ」の環境・エネルギー戦略を掲げたが、原発ゼロでは産業空洞化が加速し国力の低下を招く。安倍氏は野田政権に原発ゼロ政策の早期撤回を促し、安価で安定的な電力を確保するために着実な原発再稼働が不可欠との立場をはっきりさせるべきだ。

【主張】
首相の国連演説 情報発信力の差が心配だ
2012.9.28 03:10 (1/2ページ)[主張]
 野田佳彦首相が国連総会で演説し、領土、領海の防衛は国家の責務と主張した。また記者会見で、尖閣諸島の国有化に中国が激しく反発していることに関し「後退をする妥協はあり得ない」と強い決意を示した。

 各国代表が集まる国連総会で、領土問題を取り上げるのは異例だ。尖閣や竹島が日本固有の領土だと改めて宣言し、守り抜く覚悟を示した。首相の姿勢を評価したい。

 ただ、野田首相は島の名称や中国、韓国という国名には直接言及しなかった。両国を過度に刺激しないとの配慮だろうが、北朝鮮による日本人拉致問題やシリアの圧政では国名を挙げただけに、弱腰ではなかったか。日本の主張の正当性が、世界に十分伝えられたとは思えない。

 さらに見過ごせないのは、日中間の情報発信力の差だ。

 中国側は、野田首相の演説にすぐさま反撃した。首相が「自らの主義主張を一方的な力や威嚇を用いて実現しようとする試みは受け入れられない」と公船による日本領海侵犯や中国国内での反日デモを批判し、「法の支配」を力説したのに対し、「領土帰属問題は歴史的根拠と法に基づき解決すべきだ」と反論した。

 国営新華社通信は、これに先だって行われた玄葉光一郎外相と中国の楊潔●外相との会談についても、楊外相の発言だけを世界中に発信した。何より、量で圧倒している。
野田首相は国連総会の日程の合間をぬってオーストラリア、インドネシアなど4カ国首脳と個別に会談し、日本の立場への理解を求めた。クリントン米国務長官との会見はできなかったが、首相が先頭に立つ外交を今後も積極的に続けていく必要がある。

 竹島の不法占拠を続ける韓国が日本の提案する国際司法裁判所(ICJ)への共同提訴に応じないことを批判したのも、効果があった。ICJの強制管轄権を受諾すべきだとの訴えは、一定の理解を得たのではないか。

 一方で、国連総会の舞台裏で行われた中韓外相会談は警戒すべき動きだ。韓国の金星煥外交通商相は「正しい歴史を広めていく必要性で一致した」と、領土問題に歴史問題をからめて中韓連携で対日圧力をかける意向をのぞかせた。領土と歴史認識は別の問題であり、混同させてはならない。

●=簾の广を厂に、兼を虎に

【産経抄】
9月29日 「中国のみなさん申し訳ない」尖閣国有化を謝罪した親中派
2012.9.29 03:26 [尖閣諸島問題]
 いやはや恐れ入った。小欄も時折、「孫も読んでいるので下品な表現はやめてください」といったお叱りを頂戴するが、国連総会の場で他国を「盗っ人」呼ばわりする中国の外相にははだしで逃げ出さざるを得ない。

 ▼ビアスの「悪魔の辞典」によれば、外交とは「祖国のためにウソをつく愛国的行為」だそうだが、楊潔●外相は希代の愛国者だ。なにしろ、「尖閣諸島は中国領だ」というウソを論証しようと、次から次へと珍論を繰り出す力業は尋常でない。

 ▼珍論の白眉は、「第二次大戦後、カイロ宣言やポツダム宣言などに従い、これらの島々を含む占領された領土は中国に返還された」とのくだりだ。両宣言とも尖閣のセの字も書いていないばかりか、かの島々が中国や台湾に返還された事実はまったくない。

 ▼ただし、ウソも100回つけば真実になるのは人間社会の悲しい常で、日本側が即座に反論したのは良かった。外交の場では、沈黙は金どころか、黙っていては相手の言い分を認めたと宣伝されかねない。

 ▼日中国交正常化から40年の節目を迎えたが、偽りに満ちた「友好」の時代は終わった。河野洋平前衆院議長をはじめ、友好団体の長が雁首(がんくび)そろえて北京詣でをしても首相はおろか引退間際の幹部にしか会えなかった事実がすべてを物語っている。

 ▼反日暴動に文句も言えず、「非常にいい会談だった」と話す財界人にもあきれたが、「中国のみなさん申し訳ない」とテレビで尖閣国有化を謝罪した親中派もいる。「売国奴」という下品な表現は使わぬが、11年前の自民党総裁選に名乗りを上げようとした野中広務元官房長官の野望を、同じ派閥の幹部が潰してくれたことを小欄は今でも感謝している。

●=簾の广を厂に、兼を虎に
【主張】
日中正常化40年 緊張関係に耐える覚悟を 日米共同で戦略を練り直せ
2012.9.29 03:28 (1/3ページ)[主張]
 日中国交正常化40年を迎えた。眼前に広がる世界には、この地域の覇権を握りたいという「帝国主義的」ともいえるむき出しの中国の野望が見え隠れしている。

 日本固有の領土である沖縄県尖閣諸島の奪取を狙う動きがそれを象徴する。中国公船による尖閣領海侵犯の常態化や反日デモと略奪、日本製品不買といった一連の行動は、日本の尖閣国有化が引き金とされるが、荒々しい膨張を続ける中国パワーの発露という本質を見誤ってはならない。

 40年前、最貧国だった中国は切迫するソ連の脅威を前に対日関係の正常化を急いだ。賠償請求権を放棄し、尖閣などの領土・領海問題も棚上げして、日本の援助をテコに富国強兵路線を邁進(まいしん)した。

 ≪「友好」の自縛解き放て≫

 だが、それは「中華帝国再興」のための方便でしかなかった。富強路線が軌道に乗り始めた1990年代からは、日中戦争の過去を強く糾弾しだし、尖閣を自国領と明記した領海法も制定した。

 対する日本は、事を荒立てない低姿勢に終始した。領海法制定に至っても、まともに抗議していない。その結果、日本は強く出れば引っ込むと侮られてつけ込まれたのではないか。そして、それは「友好」の2文字に自縛されてきたからだ。

 中国と付き合うにはとりわけ、譲れない価値観や原則をまず明確にし、交渉の余地を残して、したたかに駆け引きする粘り腰が必要だ。「友好幻想」を捨て、言うべきを言い、なすべきをなす普通の関係に立ち返るときだろう。
中国の楊潔●外相が27日の国連総会演説で、尖閣国有化は中国主権への「重大な侵害」だとし、日清戦争末期に「中国から盗んだ歴史的事実は変えられない」と激しく攻撃した。事実無根の主張には日本の国連代表部が「尖閣は日本固有の領土だ」と直ちに反論したが、なりふり構わぬ中国の「世論戦」をはね返すには不十分だ。

 中国は尖閣周辺を「領海」とした海図を国連に出し、尖閣は「固有の領土」との主張を並べた日中英3カ国語の「白書」を国営通信で流している。対外発信力を強めないと、米国をはじめ国際社会の支持を得ることはかなわない。

 日本が問われるのは、高まる一方の緊張関係にひるむことなく、したたかに生き抜く知恵と覚悟である。同時に、中国の背理や暴力などを訴え、国際社会を味方につけることが必要不可欠である。

 要(かなめ)は日米の連携である。次期国家指導者に内定している習近平国家副主席は19日のパネッタ米国防長官との会談で、日本を強く批判して米国が尖閣問題に介入しないよう求め、日米同盟分断に出た。長官はしかし、尖閣は日米安保条約の適用範囲だと改めて強調し、習副主席を牽制(けんせい)したという。


 ≪国際社会を味方にせよ≫

 この日米同盟関係を強靱(きょうじん)にしていくことは喫緊の課題である。そのために日本がなすべきことは、集団的自衛権の行使容認だ。安倍晋三自民党総裁の持論でもあり、野田佳彦首相は安倍氏と連携して行使容認に踏み切ってほしい。

 中国と領土・領海問題を抱える東南アジア諸国との連携も強め、相手の力を尖閣に集中させないようにすることも肝要である。

 日中はこの40年、政治が冷え切っても、経済は拡大した。「政冷経熱」である。日本の貿易総額に占める対中貿易の割合は2割を超え、中国は最大の貿易相手国となった。中国進出企業は約2万2300社に上る。中国にとっても日本は第2の貿易相手国だ。日系企業の雇用者も推計数百万とされ、米欧の対中投資が鈍る中、日本の投資は高い伸びを見せている。

 その日本企業を狙い撃ちした報復措置も拡大、強化されようが、それは中国経済に相当な痛みを伴う。相互依存とはそういうものだ。経済界は音を上げてはならない。さらなる反日暴動や政変など中国の混乱を想定し、進出・投資先を近隣諸国に移すなど、リスクの回避策を講じるべきだ。

 中国と今後も対話を通じて堂々と渡り合い、現下の緊張を和らげなければならない。そもそも日中間は政治体制などが違い、緊張関係が生じるのは自然といえる。

 そして中国が改めるべき点をきちんと指摘するのは日本の大きな役割だ。見せかけの友好関係にとらわれぬ建設的な緊張関係こそ両国が育てていくべきものであり、地域の平和と安定に資する。

●=簾の广を厂に、兼を虎に

【主張】
首相の国連演説 情報発信力の差が心配だ
2012.9.28 03:10 (1/2ページ)[主張]
 野田佳彦首相が国連総会で演説し、領土、領海の防衛は国家の責務と主張した。また記者会見で、尖閣諸島の国有化に中国が激しく反発していることに関し「後退をする妥協はあり得ない」と強い決意を示した。

 各国代表が集まる国連総会で、領土問題を取り上げるのは異例だ。尖閣や竹島が日本固有の領土だと改めて宣言し、守り抜く覚悟を示した。首相の姿勢を評価したい。

 ただ、野田首相は島の名称や中国、韓国という国名には直接言及しなかった。両国を過度に刺激しないとの配慮だろうが、北朝鮮による日本人拉致問題やシリアの圧政では国名を挙げただけに、弱腰ではなかったか。日本の主張の正当性が、世界に十分伝えられたとは思えない。

 さらに見過ごせないのは、日中間の情報発信力の差だ。

 中国側は、野田首相の演説にすぐさま反撃した。首相が「自らの主義主張を一方的な力や威嚇を用いて実現しようとする試みは受け入れられない」と公船による日本領海侵犯や中国国内での反日デモを批判し、「法の支配」を力説したのに対し、「領土帰属問題は歴史的根拠と法に基づき解決すべきだ」と反論した。

 国営新華社通信は、これに先だって行われた玄葉光一郎外相と中国の楊潔●外相との会談についても、楊外相の発言だけを世界中に発信した。何より、量で圧倒している。
 野田首相は国連総会の日程の合間をぬってオーストラリア、インドネシアなど4カ国首脳と個別に会談し、日本の立場への理解を求めた。クリントン米国務長官との会見はできなかったが、首相が先頭に立つ外交を今後も積極的に続けていく必要がある。

 竹島の不法占拠を続ける韓国が日本の提案する国際司法裁判所(ICJ)への共同提訴に応じないことを批判したのも、効果があった。ICJの強制管轄権を受諾すべきだとの訴えは、一定の理解を得たのではないか。

 一方で、国連総会の舞台裏で行われた中韓外相会談は警戒すべき動きだ。韓国の金星煥外交通商相は「正しい歴史を広めていく必要性で一致した」と、領土問題に歴史問題をからめて中韓連携で対日圧力をかける意向をのぞかせた。領土と歴史認識は別の問題であり、混同させてはならない。

●=簾の广を厂に、兼を虎に
【主張】
日米韓外相会談 対中牽制の大局見失うな
2012.9.30 03:13 (1/2ページ)[主張]
 訪米中の玄葉光一郎外相はクリントン米国務長官と会談後、韓国の金星煥外交通商相を交えた日米韓外相会談を行った。3カ国は東アジアで日米韓の協力を深め、北朝鮮に対し連携して対応する方針を確認した。

 日本は韓国と慰安婦や竹島問題で、中国とは尖閣諸島問題で対立が深まっているが、「共通利益や価値で結ばれた同盟国」(クリントン長官)である日米、米韓がその原点に戻って対話と協力の必要性を確認し合ったことは評価できる。

 とりわけ北の核・ミサイル開発や拉致問題の解決に3カ国の協調は欠かせない。中国の強引な海洋進出に対抗する上でも、日米、米韓同盟に日韓を加えた連携が肝要だ。野田佳彦政権は領土・主権などでは決して譲らぬ一方で、日米韓の協調と連携の速やかな回復に知恵を絞ってもらいたい。

 玄葉氏は前日の27日、金氏と日韓外相会談を行い、竹島、慰安婦問題とも双方の主張は平行線に終わったが、「緊密な意思疎通を図る」ことでは一致した。

 また日米会談では、クリントン氏が対中外交で「細心の注意の下に進めてほしい」と求めたのに対し、玄葉氏は「譲れないものは譲れないが、大局的観点で冷静に対処する」と説明したという。

 米側が日米韓外相会談を呼びかけたのは、日中の対立が先鋭化する中で中韓による対日連携の動きなどに危機感を持ったからだといえる。このままでは、北の脅威に対処しつつ日米、豪、インドなどで対中包囲網を築いていくオバマ政権のアジア太平洋戦略にも悪影響が及ぶからだ。

 クリントン氏は領土問題などで「仲介役は務めない」と直接対話で解決を求めた。野田政権に問われるのは、領土や歴史問題などで自らの主張を堂々と国際社会に説明するとともに、同盟国の米国を最大の味方につけることだ。

 中国が米有力紙に尖閣諸島領有権を主張する広告を掲載したのに対し、日本政府が「一方的で事実に誤りがある」と抗議したのは当然だ。韓国に対しても、慰安婦問題は解決ずみであり、竹島問題の国際司法裁提訴に応じるよう説得を続けることが必要だ。

 言うべきは言った上で、日米を軸に韓国と連携して対中牽制(けんせい)を強化する。それが日本の「大局的」方向だ。首相は腰を据えてしたたかに国益を確保してほしい。
【主張】
オスプレイ配備 尖閣からめて説得進めよ
2012.10.3 03:11 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
 米軍新型輸送機MV22オスプレイの第1陣12機の沖縄県・普天間飛行場への配備が始まった。

 野田佳彦首相は「米海兵隊の能力の中核を担う優れた装備で、わが国の安全保障に大きな意味を持つ」と述べた。先月の安全宣言などを踏まえ、日米が同盟の抑止力を飛躍的に高めるオスプレイの本格運用へ向けて踏み出したことを評価したい。

 地元の反対が続いているが、尖閣諸島奪取を狙う中国の攻勢を防ぐためにも早期運用が不可欠であることは言をまたない。安全性を確保しつつ、首相や森本敏防衛相らが先頭に立って地元説得に全力を投じてもらいたい。

 オスプレイは、老朽化が進む現行のCH46ヘリと比べ速度、積載量、行動半径が2~4倍になる画期的な輸送機だ。とりわけ行動半径が600キロに広がり、尖閣有事に普天間からノンストップで即応できるなど、中国の海洋進出や北朝鮮を牽制(けんせい)・抑止する能力が格段に強化される点は大きい。

 日本の安保環境が悪化する中で離島防衛のカギを握る輸送力、展開力、速度のどれをみても日米に必須といえ、こうした軍事・戦略上の意義を認識しておきたい。

 問題は、国内や地元の反対論には「オスプレイ=危険」のレッテルを貼り、尖閣を含む沖縄や日本全体の平和と国民の安全を守る必要性には耳を貸そうとしない姿勢がみられることだ。

米軍は月内に本格運用に入り、2014年までに計24機を配備する方針だが、仲井真弘多知事らは遺憾の意を表明、住民らが抗議集会を開いた。その背景には、民主党政権下で迷走を重ねた普天間移設問題も響いている。

 だが、普天間が現状で固定化される懸念も併せて考えるなら、唯一最良の解決策は日米合意に沿って普天間を速やかに名護市辺野古へ移設する以外にはない。

 日米両政府はオスプレイの飛行訓練に日本の航空法を適用、市街地の安全や騒音にも配慮することで合意した。地元負担軽減のために訓練の一部の本土移転も協議中だ。こうした対策を積み重ねて地元の信頼を回復し、普天間移設へつなげる誠意と努力が大切だ。

 首相が「普天間の一日も早い移設や沖縄振興に一層力を入れて取り組む」と語ったのは重い。日本の平和と安全のために、言葉だけでなく行動で示してほしい。

【主張】
外国人献金 田中法相の責任は重大だ
2012.10.6 03:23 (1/2ページ)[主張]
 1日に就任したばかりの田中慶秋法相に、外国系企業からの献金問題が表面化した。

 法相が代表を務める民主党支部が、台湾籍の男性が経営する企業から4年間で計42万円の政治献金を受けていたもので、指摘を受けて全額を返金したという。

 政治資金規正法が外国人献金を禁止し、株式の過半数を外国人が保有する企業の献金も原則禁止としているのは、日本の政治が外国勢力の影響を受けるのを避けるためにほかならない。

 そんな基本的ルールを法の執行を司(つかさど)る人物が守っていなかった責任は極めて重大だ。自民党からは辞任要求も出ている。田中法相はまず献金の詳細について説明責任を果たさなければならない。

 それにしても、民主党政権で外国人献金の問題が後を絶たないことにはあきれる。

 前原誠司国家戦略担当相は外相だった昨年3月、在日韓国人女性から5年間で25万円の献金があったことを認めて閣僚を辞任した。当時の菅直人首相も在日韓国人系金融機関の元理事からの計104万円の献金問題を追及されて窮地に立たされたが、東日本大震災の発生でうやむやになった。

 野田佳彦首相も在日本大韓民国民団(民団)関係者ら在日韓国人2人から47万円の献金があり、国会で陳謝したが、十分な説明責任を果たしたとはいえない。

 自民党も福田康夫元首相の選挙区支部が北朝鮮系企業から20万円の献金を受けていた例がある。

 民主党の場合は、同じことがなぜこうも繰り返されるのか。

 民主党は、基本政策に永住外国人への地方参政権付与を掲げ、今年1月に党規約などを改正するまで、外国人の入党や代表選への参加資格を認めていた。参政権をめぐり、民団は民主党を支援してきた。これらにより、外国人献金を受け入れやすい党の体質があるとの疑念をもたれている。

 おかしいのは、民主党幹部らがいまだに「献金する相手に国籍は聞きにくい」と語るなど、事態の深刻さを受け止めていないことだ。外国人献金の違反は、3年以下の禁錮か50万円以下の罰金を科され、罪が確定すれば公民権停止となる重い犯罪だ。

 党を挙げて外国人献金のチェックを徹底しなければ、国家の利益を貫く政党として、国民の信頼は到底得られない。
   【主張】
   中国海軍 威嚇に日米連携を強めよ
   2012.10.7 03:15 (1/2ページ)[主張]
    ミサイル駆逐艦など中国海軍艦艇7隻が4日、沖縄本島と宮古島の間を抜け太平洋に出たことを防衛省が確認した。
   
    中国は、日本による沖縄県尖閣諸島の国有化に強く反発し、尖閣周辺で海洋、漁業監視船による日本領海侵犯を常態化させている。中国海軍艦艇が確認されたのは、尖閣からわずか約250キロの海域である。尖閣をにらんでプレゼンスを誇示するとともに威嚇する意図もあったのだろう。
   
    野田佳彦政権はひるんではならない。監視と警戒を強め、領土・領海を守る備えを万全にしなければならない。
   
    中国海軍はここ数年、東シナ海から沖縄近海を経て太平洋で訓練する外洋航海を繰り返している。尖閣国有化後では、9月19日から20日にかけて尖閣北方海域にフリゲート艦2隻を展開した。試験航行を重ねてきた中国初の空母「遼寧」も就役させた。いずれも計算ずくの力の誇示だといえる。
   
    こうした中国海洋攻勢への牽制(けんせい)・抑止を狙って、米第7艦隊は9月中旬以降、2個の空母部隊を西太平洋上に展開中だ。今回の中国艦艇7隻の派遣は、それへの対抗措置という意味合いもあろう。
   
    まず自国の領土を自力で守る覚悟が第一だ。野田首相は、「必要に応じて自衛隊を用いることも含め、毅然(きぜん)と対応する」との国会答弁を守ってほしい。
    一方で、対中抑止力としての日米同盟は極めて重要だ。オバマ米政権は「領有権問題では中立」としつつ、尖閣諸島について、米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約第5条の「適用範囲」であると明言し続けている。
   
    米軍は、最新鋭のステルス戦闘機F35を沖縄・嘉手納基地に配備する方針も打ち出した。沖縄の米海兵隊と陸上自衛隊が「離島の奪還」を想定して、グアム島などで行った共同上陸演習も意義深い。日米防衛協力を粛々と深化させるべきだ。
   
    米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイは、ようやく全12機の米軍普天間飛行場(沖縄県)への配備が完了した。従来の米軍輸送ヘリコプターに比べて、最大速度は2倍、給油なしの行動半径は4倍と、尖閣まで伸びる。
   
    尖閣をめぐる緊迫状況を前に、その防衛に威力を発揮する新鋭機が「危険物扱い」されているのはおかしくはないか。
   
   【主張】
   「尖閣」政務官発言 許されぬ実効統治の否定
   2012.10.11 03:17 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
    尖閣諸島をめぐり、鷲尾英一郎農林水産政務官が「中国政府が所有してもいい」と語った。
   
    耳を疑う発言であり、看過できない。
   
    郡司彰農水相は10日、誤解を招く言動は慎むよう注意し、鷲尾氏は「政府の国有化方針には賛成だ」などと釈明した。だが、これで一件落着にはならない。
   
    まず中国の所有を認めるこの発言は「国家が所有することで安定的な維持管理ができる」とした尖閣国有化に関する政府の説明とも相いれず、中国側に誤ったメッセージを与えるものでしかない。
   
    一方的に尖閣の領有権を主張している中国に所有が移れば、日本が領土そのものを失うことにつながるのは自明だ。
   
    実効的に統治していることは「領土」の重要な要素であり、尖閣が日本の主権下であることを内外に示す決定的な意味がある。
   
    中国が漁業監視船など政府公船による領海侵犯を常態化させ、尖閣北方海域に海軍艦艇を展開するなど、力の誇示で威嚇しているのも日本の実効統治を何とか崩したいからだろう。
   
    仮に日本の実効統治が失われれば、米国が「尖閣は日米安保条約の適用範囲」との立場を引き続きとることは難しい。日米連携による尖閣防衛も望めない。
   
   
   尖閣、竹島めぐり橋下市長「恨み持たれてもしょうがないことも」
   中国を含む外国資本が、政府や自治体が気づかない間に、水源を抱える森林を買収したり、自衛隊の基地周辺の不動産などを所有したりしている。これらをいかに食い止めるか。放置している状況ではない。
   
    農水省は漁業取締船による違法操業の取り締まりを通じて、尖閣周辺の海洋権益を守っている。
   
    担当官庁の政務三役から、このような発言が飛び出すこと自体、実効統治を貫くことに対する政府の見識が問われる。
   
    自民、公明両党は「政務官という責任ある立場の重さを知らない」「いかに政権の統率がとれていないかの表れだ」と、鷲尾氏の発言とともに野田佳彦政権の対応を厳しく批判している。
   
    藤村修官房長官は、郡司農水相に注意などの対応を委ねたことで、官邸として、さらに鷲尾氏から直接、事情を聴くなどの対応はとらないというが、おかしい。
   
    直ちに鷲尾氏に発言の撤回と謝罪をさせ、その責任を明確にしなければならない。
   
   
   尖閣、竹島めぐり橋下市長「恨み持たれてもしょうがないことも」
   【産経抄】
   10月12日
   2012.10.12 03:16 [産経抄]
    村上春樹さんの作品は、世界の約40カ国で翻訳、出版されている。ことに中国ではすさまじい人気らしい。すでに実売部数が100万部を超えている代表作の『ノルウェイの森』をはじめ、小説のすべてが中国語に訳されている。
   
    ▼比較文学者、張競(ちょうきょう)さんの『海を越える日本文学』(筑摩書房)によると、2004年に、ブームを象徴するような出来事が起こった。『ノルウェイの森』の続編となる『ノルウェイに森はない』が刊行されたのだ。作者の福原愛姫は、村上さんの「秘密の愛人」という触れ込みだ。村上さんと、やはり中国で知名度の高い卓球の福原愛選手にあやかって、ひともうけを狙ったようだ。本当の執筆者はいまだに謎だという。
   
    ▼その村上さんが今年も本命といわれながら、ノーベル文学賞を逃した。来年の受賞に期待するとともに、ぜひお願いしたいことがある。
   
    ▼村上さんは先月末、尖閣諸島をめぐる問題について、朝日新聞にエッセーを寄稿した。領土問題が「国民感情」に踏み込むと危険な状況が出現する。そうならないよう、静かな姿勢を示せ、というのだ。
   
    ▼お説ごもっともだが、むしろ人民日報に掲載されて、中国人に読まれるべき原稿ではないか。村上さんの比喩でいえば、安酒に酔って頭に血が上り狼藉(ろうぜき)を働いたのは、中国の暴徒たちだ。政府は彼らに自制を促すどころか、とんでもない暴挙に出た。
   
    ▼日本での開催が気にくわないと、IMF・世界銀行年次総会に直前になって、財政相と中国人民銀行総裁をドタキャンさせた。こうなったら、中国で若者を中心に絶大な影響力を持つ村上さんに、現地で呼びかけてもらうしかない。そろそろ安酒の酔いから醒(さ)めなさいと。
   
   
   “反日声明”韓国で大歓迎 大江健三郎氏ら、領土問題「日本が侵略、反省を」
   何より、大幅議席減が予想される衆院解散・総選挙につながる可能性がある。民主党はそれらを恐れ、政権与党でありながら国会の召集を遅らせている。無責任な遅延戦術はもうやめるべきだ。
   
    安倍氏は首相に「実り多き党首会談をお願いしたい」と語った。首相が、国民との約束である解散の覚悟を決めて党首会談に臨まなければ、与野党協力の枠組みは確認できず、内外の難題を解決する展望は開けない。
   
    こうした民主党の消極姿勢は、東日本大震災の復興予算が不適切に使用されている問題をめぐる閉会中審査が流会したことにも、端的に表れている。
   
    衆院決算行政監視委員会の新藤義孝委員長(自民党)が、11日の小委員会での審議を呼びかけたものの、民主党委員が「委員会理事の選任が遅れている」などの理由で欠席したためだ。野党の追及を警戒したのだろう。
   
    国会を開けば、復興予算のあり方は予算委員会でも大きく取り上げられる。野田内閣は平野達男復興相の下で予算を精査するとしているが、逃げの姿勢で実効性のある見直しができるのか。
   
   【主張】
   中国財政相欠席 自国流の押しつけ通らぬ
   2012.10.12 03:21 (1/2ページ)[主張]
    中国が国際社会で主導的地位を占めるにふさわしい成熟した国か、明白になった。
   
    東京で開催中の国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会に、中国の財政相と中国人民銀行総裁が欠席することになった。中国側は「全て日本側の責任」としている。つまり、日本が沖縄県の尖閣諸島を国有化したことへの対抗措置ということだ。
   
    率直にいえば、中国の閣僚級の不参加が、総会や開催国の日本に大きなマイナスになることは考えにくい。日本は、揺さぶりに動じることなく、総会をはじめ関連行事を成功させることに専念し、その責任を全うすればよい。
   
    過去にも、加盟国の担当閣僚や中央銀行総裁が国内事情などから年次総会への出席を見合わせるケースはあった。その場合も、どちらか一方は出席している。両者そろっての欠席は異例だ。
   
    今回、中国の大手国有銀行の欠席が事前に伝えられる中、財政相と人民銀行総裁は出席するとされていた。それが直前のキャンセルである。世界第2の経済大国で、IMF副専務理事を出す一等国らしい行動とは到底いえまい。
   
    経済で台頭する中国など新興国は発言力強化を目指し、IMFの出資比率引き上げ、理事ポストの配分変更を求めてきた。ただ、中国を警戒する米国は承認せず、この改革は実現していない。
   
   今回のふるまいに、中国がIMF、世銀の主要加盟国たる資格があるか首をかしげる国が増えるのではないか。インドやブラジルなどの新興国も中国を先頭に立てることをためらう可能性もある。
   
    自国ルールを国際協調の場に持ち込み、その混乱をもやむなしとする中国の姿は異様である。ラガルドIMF専務理事は、「美しい季節の東京で重要な問題を議論する素晴らしい機会を逃した」と述べた。180を超す他の加盟国にも同様に映ったに違いない。
   
    尖閣国有化から1カ月、中国が取ってきた対日報復措置は、力を背景に自国の流儀を外に対し押し通そうとする姿勢で共通する。
   
    反日デモの暴徒化を許し、根拠のない尖閣領有権を声高に唱え、尖閣領海侵犯を常態化させ、日中交流事業を一方的に中止した。
   
    南シナ海に目を転じれば、中国はその大半が自国領海だと公言している。そんなごり押しが国際社会でまかり通ってはならない。
【産経抄】
10月14日
2012.10.14 03:03
 チベット文化研究所名誉所長のペマ・ギャルポ氏が月刊誌『教育再生』に巻頭言を寄せている。「中国の侵略主義に対抗する政策」という、領土問題での日本人へのアドバイスである。中でも興味深いのは、領土や主権に対する日本人と中国人の意識の違いだ。

 ▼中国では徹底した領土拡張主義の教育が浸透し、自信を持って自国の理屈を唱える。これに対し日本は、専門家でさえも他人事のように自国の主権に関わる問題を語る。しかも「恥ずかしくなるくらいに地球市民を気取っているのが情けない」と述べる。

 ▼見事なご指摘と感心ばかりしてはおれない。専門家どころか、外相経験者の前原誠司国家戦略担当相までが領土問題を「他人事」と見ているようだからだ。民放の番組収録で、石原慎太郎東京都知事の尖閣購入計画を批判したという発言からそう思えた。

 ▼前原氏は「石原氏が(購入を)言い出さなかったら問題は起きていない」と述べた。中国の反日はそのせいだというのだ。だが中国はそれ以前から尖閣への攻勢を強めていた。これに対する政府の無策を見かねて購入計画を打ちだしたのだ。

 ▼前原氏は、石原氏と野田佳彦首相の会談で石原氏が「戦争も辞せず」みたいな話をしたことを明かしたそうだ。だがそれを批判するなら戦争の代わりにどうやって尖閣を守るかを語るべきだ。そうしないなら「他人事」であることを露呈したにすぎない。

 ▼日露戦争前夜、黒岩涙香は主宰する新聞で、けんかの最中に賊に入られた夫婦が力を合わせて退ける話を例に存亡の機の不毛な論争を戒めた。領土が脅かされているとき、政府要人が相手国ではなく国内に批判の矛先を向ける。中国の思うツボである。


中国、安倍“新政権”に期待 対日当局者「野田首相との交渉、意味なし」
【主張】
ミャンマー支援 中国リスク回避の拠点に
2012.10.14 03:04 (1/2ページ)
 民主化に取り組むミャンマーを支援するため東京で開かれた国際会合で、日本政府が主要国の先頭に立ち、新たな資金提供方針を表明した。

 中国は尖閣諸島を国有化した日本への反発から会合に参加しなかった。相変わらずの嫌がらせだ。日本は粛々と民主化を後押しして、異様な国との違いを世界に示した。

 日本はミャンマーに約5千億円の資金を提供してきた最大の債権国だ。城島光力財務相は会合で、来年1月に一部の債権放棄などを実行し、両国が合意している円借款の再開についても「来年のできるだけ早い時期に行う」と明言した。世界銀行とアジア開発銀行(ADB)も同調した。

 四半世紀に及んだ軍政の独裁支配で米欧の経済制裁が続いたミャンマーには、主要国や国際金融機関による支援の再開が不可欠だ。つなぎ融資を盛り込んだ日本の提案で、新たな資金支援が可能となる道筋がついた。

 ミャンマーの民主化も、一定の進展を見せている。

 昨年3月の「民政移管」で就任したテイン・セイン大統領は民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏との対話を図り、政治犯の釈放にも踏み切った。

さらに8月の内閣改造で、汚職疑惑のあった閣僚を更迭するなど改革断行の姿勢を明確にした。一方、今年4月の国会補選ではスー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が大勝している。

 米国が先月、対ミャンマー経済制裁をほぼ全面解除したことも歓迎したい。この流れを後戻りさせてはならない。現憲法は上下両院定数の4分の1を軍人に割り当てており、日米などは支援を通じ、憲法改正を促す必要がある。

 最貧国に甘んじてきたミャンマーだが、天然ガスや鉱物資源は豊富だ。人口約6200万人、識字率も高い。消費市場としても生産拠点としても潜在力は大きい。

 ミャンマーにとっての急務はインフラ整備だ。日本のゼネコンが現地事務所を開設したり、通信大手が現地法人の設立準備を進めたりしているほか、自動車メーカーにも進出の動きが出ている。

 中国における反日デモの暴徒化で打撃を被った日本企業にとって、ミャンマーへの投資は「リスク回避」の意味合いもある。日本の支援を、経済の互恵関係を生む好循環へとつなげたい。
【産経抄】
10月17日
2012.10.17 03:15 [産経抄]
 司馬遼太郎氏は『坂の上の雲』で明治27年からの日清戦争について「原因は、朝鮮にある」とやや刺激的に書く。といっても韓国や韓国人に罪を求めているわけではない。「罪があるとすれば朝鮮半島という地理的存在にある」というのだ。

 ▼半島は常に背後の大陸国家、中国(清)の影響下にあった。しかし海峡を隔てた日本にとって、これが完全に清のものとなれば国の防衛は成り立たない。そのため清を半島から追い出そうとしたのである。日露戦争もここに触手を伸ばすロシアへの危機感からだった。

 ▼「ゆらい半島国家というものは維持がむずかしい」と司馬氏は書く。例として欧州のバルカン半島やベトナム(インドシナ半島)をあげる。バルカン半島はしばしば背後の大陸国家の覇権争いの場となった。ベトナムをめぐっては仏と清との間で戦争も起きた。

 ▼亡くなったシアヌーク前国王のカンボジアもそのインドシナ半島にある。しかも隣国のベトナムなどに比べ小国だ。自伝では「地理と歴史は人の手で変えることはできない」とする。前国王も半島国家の難しさと悲哀をたっぷり味わったのである。

 ▼このため国際的批判は受けても終始、強大な大陸国家、中国に寄り添ってきた。中国もこれを利用し、自らの懐中に入れようとしてきた。晩年は北京でがん治療にあたり、亡くなったとき中国の次期最高指導者、習近平氏が「中国人民の古くからの友人」と称(たた)えた。

 ▼だが、前国王のこの極端な親中路線は今、アジアの軋轢(あつれき)を大きくしようとしている。7月のASEAN外相会議で、中国の南シナ海進出に言及する共同声明がカンボジアの反対で流れたのだ。「半島の難しさ」は今も人ごとではない。


【日々是世界 国際情勢分析】山中教授受賞を激賞、自省する韓国

【主張】
中国軍艦 ついに武力の威嚇みせた
2012.10.17 03:19 [主張]
 中国海軍のミサイル駆逐艦など7隻が沖縄県・与那国島の南南東約49キロの接続水域を通過した。海上自衛隊のP3C哨戒機が確認した。

 日本西端の接続水域で中国海軍艦艇の航行が確認されたのは初めてで、武力による威嚇を示したと受け止められる。

 国連憲章は国際関係において、「武力による威嚇又は武力の行使は慎まなければならない」と加盟国に求めている。

 軍事力行使も辞さないという中国のメッセージに対し、日本は厳重な警戒に加え、威嚇に屈しない備えが不可欠だ。政府は南西諸島の防衛力強化を急ぎ、領土、領海を守らねばならない。

 現場は尖閣諸島からは南約200キロにあたり、通過した7隻は今月4日、沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を南進していた。

 16日朝は与那国島と西表島の間を抜けて北進し、両島間にある仲ノ神島を基点とする接続水域を通過した。

 接続水域は領海の外側に定められた水域(約22キロ)で、沿岸国は国内法に基づき、密輸や不法入国の取り締まりなどさまざまな措置を取ることができる。

 接続水域での軍艦の航行は国際法違反ではないが、日本の一定の管轄権が及ぶ海域を航行していった意味は小さくない。

 中国側は「台風を避けるためで(尖閣諸島に)近づく意図はない」と釈明した。だが、東シナ海から太平洋へと活動範囲を拡大する中国海軍が、明確な形で南西諸島周辺での軍事プレゼンスを誇示したとみておく必要がある。

 日本固有の領土である尖閣を政府が国有化した後、中国は海洋監視船などによる領海侵犯を常態化させてきた。さらに、武力による威嚇も辞さないという新たな段階にまで行動をエスカレートさせてきたといえよう。

 藤村修官房長官は会見で、「日中関係の大局に鑑みて適切に対応するよう外交ルートで申し入れた」と語った。何より重要なのは、与那国島での沿岸監視部隊の創設や警戒監視能力の強化など、日本の防衛力強化である。

 来月行われる日米共同統合演習では、沖縄県の無人島で、自衛隊と米軍による事実上の離島奪還訓練も予定されている。中国の無謀な行動を抑止するためにも、米軍との共同対処能力を高めてゆく意義は大きい。
【産経抄】
10月22日
2012.10.22 03:07 [産経抄]
 中国の反日デモが狼藉(ろうぜき)の限りを尽くしてから、1カ月あまりが過ぎた。被害を受けた日系企業の工場や店舗は、ほぼ通常の営業に戻ったらしい。それでも、自動車や家電、衣類など日本製品の不買運動は続いている。

 ▼日本を訪れる中国人観光客も、大幅に減った。どれほど魅力的な市場であっても、やはりリスクが大きすぎる。多くの経営者が、中国への過度の依存を改める戦略へ、転換を図っているはずだ。

 ▼米国では2007年、ペットフードや玩具、練り歯磨きなどの中国製品から危険物質の検出が相次ぎ、大騒ぎになったことがある。安全面での不安を解消しようと、「チャイナフリー」、つまり、中国産品を使っていない商品がもてはやされた。

 ▼この数年前、中国製品の氾濫に疑問を感じたサラ・ボンジョルニさんという米国の女性ジャーナリストが、夫や幼い2人の子供とともに1年間、中国製品なしの生活を試みている。その奮闘ぶりをコミカルに綴(つづ)った『チャイナフリー』は、日本でも出版された。

 ▼ボンジョルニさんによると、中国メディアも早速興味を示し、取材にやって来た。ところが報道の内容を知って仰天したという。米国人は中国製品に完全に依存しており、それなしの生活は悲惨だ。そんな実例として紹介されていた。

 ▼先週発売の「サンデー毎日」で、「『脱中国ライフ』をやってみた」、とのタイトルが目に留まった。ただ中身といえば、立ち食いそば店で中国産を使わないと、月見そばでは卵しか残らないなどと、泣き言が目立つ。脱中国は、着実にしかも上手に進めていかなければならない。でないとかえって中国に、日本の依存を世界に宣伝する材料を与えかねない。
【主張】
中国経済 失速リスクの備え怠るな
2012.10.22 03:10 (1/2ページ)[主張]
 中国経済は、もはや黄信号から赤信号に変わりつつあると見た方がよいのではないか。日本企業は、中国経済の失速が現実のものとなったときの備えを進めておくべき時期が来ている。

 今年7~9月期の中国の実質国内総生産(GDP)は前年同期比7・4%の伸びにとどまった。7四半期連続の成長率鈍化であり、経済の減速ぶりは顕著だ。4~6月期に続く8%割れで、政府目標の年間7・5%成長の達成も微妙になっている。

 中国では雇用の維持に「8%成長」が必要とされている。このままでは雇用不安が表面化しかねない。きわめて危うい状況だ。

 高度成長を続けて世界2位の経済大国になった中国は、その一方で、富が特定の地域や階層に集中する深刻な所得格差が起きている。雇用危機で、好況の陰に隠れていた社会矛盾が一気に噴き出す可能性もある。中国政府も、財政や金融など政策を総動員して景気の軟着陸を図るだろう。

 ただ、世界経済全体の停滞で輸出の急回復は望めない。リーマン・ショック後の大規模な景気対策で生じた不動産バブルに加え、生産・供給の過剰など不安材料は多い。中国経済は、減速から失速に転じる懸念が高まっていると言わざるを得ない。

 これは世界経済、とりわけ近年、中国への依存度を高めている日本には警戒すべき事態だ。

 中国は日本にとって最大の貿易相手国だ。進出企業は約2万2300社に上る。対中直接投資も米欧の勢いが鈍る中で日本の伸びは突出し、中国の経済状況が悪化した場合の衝撃は計り知れない。

 安い労働力を求めて中国に進出した製造業は、人件費上昇という問題に悩まされている。流通・サービス業にとって人口13億人の市場は魅力だが、沖縄県・尖閣諸島の国有化をめぐる暴動でデパートなどが真っ先に標的になった。


【ビジネスの裏側】中国暴徒に3店を…平和堂社長が無念の激白


今後、経済状況の悪化で社会不安が増せば、再び襲撃リスクが高まる可能性は否定できない。

 日本企業にも、ミャンマーやベトナムなど「中国以外のアジア」に拠点を分散する動きが出てきた。完全撤退は非現実的としても、中国集中の利益とリスクを改めて精査したうえで、分散を加速すべきだ。中国経済の失速も見据えた対応策を立てておくのは、企業経営者の責務である。
  【主張】
  米大統領選と日本 姿見えぬ同盟を懸念する
  2012.10.25 03:46 (1/2ページ)
   外交・安全保障を主題とした米民主党のオバマ大統領と挑戦者のロムニー共和党候補の最後のテレビ討論会で際立ったのは、アジア太平洋の「要石」とされる同盟国・日本について両氏が全く言及しなかったことだ。
  
   大統領選の争点は内政が大半を占めるのが通例で、特に今回は空前の巨額債務を抱える中で雇用や経済再生策が問われている。そうした文脈で日本に触れずとも不思議はないし、初めてでもない。
  
   だが、中国の急速な台頭にどう向き合うかに世界が注目し、現実に尖閣諸島をめぐる日中対立も起きている中で「日米同盟」も「日本」も登場しなかったことを日本政府は憂慮すべきである。
  
   野田佳彦政権には同盟を強化し、対中抑止の実効性を高める方策に一層の奮起を求めたい。
  
   討論では前半で中東情勢、イランの核開発問題などが論じられ、ロムニー氏は「4年間に世界のどこを見ても米国の影響力が弱まった」と批判し、オバマ氏は「ロムニー氏の主張は向こう見ずで、時代錯誤」と反撃した。
  
   「力の外交」を重視するロムニー氏に対し、オバマ氏は「協調重視」という違いはあるものの、ともに「強いアメリカ」を掲げ、そのために米経済の再生を最優先する基本姿勢で共通していたことは評価されていい。
  
   中国については「敵対者だが、ルールを守れば潜在的パートナーになる」(オバマ氏)との見方で一致した。米中の経済相互依存や中国が最大の米国債保有国であることとも無関係ではあるまい。
  
  )
   だが、現実の中国は国際規範を無視して周辺海域で強引に海洋権益を拡大しつつある。オバマ氏は昨年来のアジア太平洋にシフトした外交を強調したが、日本の存在や日米同盟に触れなかった。両氏ともに日中関係に言及しなかったことも、大いに気になる。
  
   日本では過去3年の民主党政権下で普天間移設、オスプレイ配備などで同盟空洞化の危機を招いてきた。強い米国の再生に向け同盟国の義務をきちんと果たす存在として、あえて言及されなかったのなら問題はない。現実はそうでないところに問題がある。
  
   いずれが勝っても、次期大統領がアジア太平洋の安定のため日本に一層の課題を迫ってくる可能性もある。同盟に甘えが許されないことを日本は認識すべきだ。
  【産経抄】
  10月27日
  2012.10.27 03:06 [産経抄]
   その昔、経団連会長が「財界総理」と称された時代があった。昭和の後期に石坂泰三、土光敏夫といった重量感のある経営者が経団連会長となり、体を張って日本経済の発展に尽くし、発言にも重みがあった。
  
   ▼高度成長期の池田勇人内閣時代、景気が過熱し、米国との間でも繊維輸出をめぐって摩擦が生じた。池田首相の意を受けた日銀総裁は、投資の1割削減を主張するが、自由主義経済論者の石坂は「コンピューター君を総裁に」と猛反発した。
  
   ▼景気が過熱すれば、日銀が公定歩合を上げればいい話で、低金利政策の放棄を避けたい政権の顔色ばかり見る総裁に我慢できなかったらしい。みかねた知人が妥協を勧めたが、「池田内閣と日本とどっちが大事だ」と啖呵(たんか)を切ったという。
  
   ▼それに引きかえ今の経団連会長は、という物言いは年寄り臭くて好きではない。ないけれども、石原慎太郎都知事の国政復帰宣言について「(日中関係に)具合が悪い」と口にする見識のなさには開いた口が塞がらなかった。
  
   ▼尖閣諸島国有化のきっかけをつくった石原氏が国政に復帰すれば、中国をより刺激し、中国進出企業に悪影響が出るのを懸念しているようだが、根本的に間違っている。経済成長で傲慢になり、領土的野心を隠さなくなった中国に対抗する手段として国有化は必須であり、むしろ遅すぎたくらいだ。
  
   ▼経団連会長のみならず、日中修復のため日本側が妥協すべきだ、という「識者」も少なくない。だが、中国は昔も今も弱肉強食の国だ。強い相手には下手に出て機会を待ち、弱ったとみるや徹底的にたたく。石坂翁存命なら「中国と日本とどっちが大事だ」と世間知らずの連中にカミナリを落とすはずだ。
  【主張】
  続く領海侵犯 威嚇に屈せぬ覚悟持とう
  2012.10.27 03:11 (1/2ページ)[主張]
   日本政府の尖閣諸島(沖縄県石垣市)国有化に反発する中国が海軍艦艇や監視船などの公船を連日動員し、威嚇を続けている。執拗(しつよう)で異様な圧力である。
  
   25日に中国の海洋監視船計4隻が尖閣沖の日本領海に侵入し、領海外側の接続水域では26日にかけての2日間で計7隻の航行が確認された。
  
   24日には周辺の排他的経済水域(EEZ)の事前通報とは異なる海域で調査活動を行った海洋調査船が、中止を要求した海上保安庁の巡視船に「日本に帰れ」と応答している。
  
   中国側は尖閣諸島周辺の海域をあたかも自国の領海や管轄区域とする行動を常態化させ、日本を屈服させようと意図していると見るべきだ。これは、日本が音を上げるまで続くだろう。
  
   いま求められているのは、こうした中国の圧力に屈せず、自らの領土を守り抜く覚悟と、毅然(きぜん)とした態度である。
  
   海保は全国11の海上保安本部から約30隻の巡視船艇を沖縄周辺に集め、ぎりぎりの厳重警戒シフトを敷いている。このような現実の脅威に対し、国民全体で危機感を共有すべきだ。
  
   しかし、日本の一部には「尖閣の国有化が中国を怒らせ、現在の事態を招いた」といった本末転倒の考え方も散見される。こうした考えこそ中国側の思うつぼで、つけ込む隙を与えかねない。
その意味で、日米両政府が11月に予定していた沖縄県の無人島を使った離島奪還訓練を断念したことは極めて残念だ。陸上自衛隊と在沖縄の米海兵隊による奪還訓練は、現実の脅威にさらされている尖閣の防衛上、大きな抑止力になるはずだった。

 断念の背景には先日、米兵が起こした女性強姦(ごうかん)致傷事件による地元感情の悪化がある。事件は言語道断で、米軍に綱紀粛正を強く求めるのは当然だが、国の安全保障と事件とを峻別(しゅんべつ)して対応する冷静さが必要である。

 尖閣の守りという点では、警察力(海保)だけで対応できない事態への備えも急務だ。

 中国側の武装漁民による尖閣不法占拠などの事態を想定し、海保と海上自衛隊の連携強化、沿岸監視部隊の創設、さらに領域警備法制定など自衛隊の新たな運用方法を早急に準備すべきだ。米国に丸投げするわけにはいかない。
【主張】
ASEMと尖閣 首相の姿勢まだ物足りぬ
2012.11.7 03:34 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
 約50カ国・機関が参加してラオスで開かれたアジア欧州会議(ASEM)の首脳会議が取りまとめた宣言に注目すべき文言が盛り込まれた。

 尖閣諸島領有をめぐる紛争を念頭にしての「国際法に従い、威嚇や武力の行使をせず、対話などにより平和的解決を求める」との内容だ。中国の傍若無人な振る舞いへの歯止めにはなり得る。

 中国は尖閣周辺の海域に連日、海洋監視船などを出し、領海侵犯を繰り返している。野田佳彦政権には、ASEM首脳会議で醸成された日本支持の動きをさらに広げる積極的な努力を求めたい。

 地域情勢をテーマにした6日の協議で、中国の楊潔●外相が尖閣をめぐる日本の対応にふれ「反ファシズム戦争の成果が否定されてはならない」などと激しく攻撃した。野田首相は「日本固有の領土であり、解決すべき問題は存在しない」と応じた。

 9月の尖閣国有化後、首相が国際会議の場で尖閣を「固有の領土」と表明したのは初めてで、即座に反論したのも当然だ。

 ただ気になるのは、2日間にわたる会議での首相の発言の随所に、中国を刺激するのを最小限にとどめたいとする過度の配慮がにじんだことである。

 フィリピンのアキノ大統領らとの個別会談で、首相は「(日中関係は)日本にとって最も重要な2国間関係」と説明し、尖閣問題を「一貫して冷静に対応してきた」と強調した。領土主権に対する日本の毅然(きぜん)とした態度が各国に伝わったかどうか、心もとない。

これに対し、中国の温家宝首相はラオスのチュンマリー・サイニャソーン国家主席との会談で「それぞれの核心的利益を支持することが重要だ」と同調を促す狙いを隠さなかった。会議の舞台となったラオスの国際会議場は中国の援助で建てられたばかりだ。

 日本政府は今後、中国と領有権問題を抱えるフィリピンやベトナムなどとの連携を強め、価値観を共有する欧州各国の理解を深める外交を展開する必要がある。

 むろん、尖閣有事に対する備えは重要だ。5日から始まった日米共同統合演習は中国への強い牽制(けんせい)となるが、沖縄の無人島での奪還訓練は中止された。中国への配慮とみられるが、「冷静な対応」とは尖閣を守る手を緩めることでは決してない。

●=簾の广を厂に、兼を虎に

【主張】
万里の長城遭難 悲劇繰り返した罪は重い
2012.11.7 03:34 (1/2ページ)[主張]
 悲劇は中国に舞台を移し、繰り返された。河北省の万里の長城付近で日本人旅行客が吹雪で遭難し、3人が死亡した。

 ツアーを主催した東京の旅行会社「アミューズトラベル」は、平成21年に北海道・トムラウシ山で登山客ら8人が凍死したツアーを企画していた。反省はまったく生かされなかったことになる。

 参加者の人命を預かる旅行会社のあり方や、観光庁の指導が十分だったのかなど、悲惨な事故を繰り返さないための検証を徹底する必要がある。

 亡くなった3人を含む4人が参加したのは、7日間かけて万里の長城をめぐるツアーだった。6日目の3日夜に52年ぶりという大雪に見舞われ、遭難した。

 アミューズ社は現地を下見したこともなく、天候や旅程強行の判断を中国人の添乗員と現地ガイドに任せきりにし、定時連絡も行っていなかった。携帯電話に頼った遭難後の現地との連絡もおぼつかない状況が続いた。

 トムラウシ山の事故でも悪天候の中でツアーを強行し、参加者が犠牲となった。観光庁は当時、同社に対し「安全管理の態勢が不十分だった」として業務停止51日間の行政処分を下した。

 同社には天候悪化に伴う危険回避の判断基準がなく、気象情報について現地との定時連絡をせずに引き返す判断ができなかったことや、通信手段の確保を怠ったことなどがその理由だった。

 今回の遭難で、何も改善されていないことは明らかだ。観光庁は昨年、同社に対し、3回の立ち入り検査を実施したという。「問題は見つからなかった」というが、検査や指導に不備はなかったのか。そもそも業務停止51日間という処分は適切だったのか。

 日本旅行業協会などの業界団体が17年に作成した登山ツアー主催社向けの指針は、初めての企画では現地の下見や十分な情報収集を要請しているが、これすらも守られていなかった。

 同社は遭難を受けた会見で「万全の対策を取ったつもりだった」と語ったが、あまりに空々しい。トムラウシ山事故の遺族が「またか」と怒るのも当然だろう。

 中高年の登山ブームが続いている。山の自然は素晴らしいが、時に牙をむくこともある。旅行会社にはツアー参加者を守る重責があることを肝に銘じてほしい。
【主張】
習近平体制 「覇権国」への備え急げ 国内矛盾転嫁に注意が肝要
2012.11.16 03:10 (1/4ページ)[主張]
 中国共産党第18回全国大会の閉幕を受け、習近平国家副主席が新たな党総書記に選ばれた。首相候補の李克強副首相とともに政治局常務委員に就任し、新体制が始動した。両氏は来年3月の全国人民代表大会(国会)で胡錦濤国家主席、温家宝首相と交代し、今後10年の中国のかじ取りを務める。

 胡氏の完全引退に伴い、習氏は党中央軍事委員会主席にも就き、党と軍を掌握した。日本はこの体制を直視し、紛争抑止や有事への万全の備えを急ぐ必要がある。

 日本政府の尖閣諸島国有化を契機とした領海侵犯の常態化や常軌を逸した反日暴動などは、中国が「異様な国家」であることを改めて世界にみせつけた。

 ≪経済改革の後退を懸念≫

 その渦中に米国防長官と会談した習近平氏は国有化を「茶番劇」「戦後の国際秩序を否定する日本の行為を絶対許さない」と口を極めて非難した。反省のかけらもなく、さらなる膨張と海洋覇権をめざす以上、同じ事態が今後も繰り返される恐れが強い。

 今後を懸念させる要素は、党大会初日に胡錦濤主席が行った報告の随所にうかがえる。

(次ページ)江沢民時代に逆戻りした観が強い大会報告


とりわけ、「国家の主権、安全保障、発展の利益を断固として守り、外部のいかなる圧力にも屈服しない」「強固な国防と強大な軍隊の建設は、現代化建設の戦略的任務」「海洋権益を断固守り、海洋強国を建設する」などは、その象徴といっていい。

 10年前、「調和のとれた社会の建設」や「平和的発展」「善隣友好」を掲げて登場した胡錦濤・温家宝政権への期待は高く、「胡温新政」とも呼ばれた。江沢民前政権が「反日親米」外交と富国強兵路線を突っ走ったのとは対照的で清新なデビューだった。

 にもかかわらず、結果は全くのかけ声倒れに終わり、任期最後の大会報告は多くの面で江沢民時代に逆戻りした観が強い。

 その理由は、江氏ら上海閥・太子党(高級幹部子弟)勢力に推されて総書記となった習近平氏の思想や政策が、胡氏の大会報告にも組み込まれたからだろう。

 温氏が何度も提起した政治改革では「党指導下で民主と法治を堅持」して「西側の政治制度のモデルを引き写ししない」とし、何の新味も改革意欲もみられない。

 経済改革でも「公有制経済を強化し、国有経済の活力、支配力、影響力を絶えず増強させていく」と民営化、市場経済化の流れを後戻りさせるような言及がある。習氏の属する太子党など既得権益層の意向を反映しているのか。

(次ページ)新体制の目標は「偉大な中華民族の復興」。対外膨張加速か

これでは薄煕来事件で露呈した幹部の腐敗、特権乱用、所得格差に歯止めがかからない。

 一方で、習氏は就任会見で新体制の目標が「偉大な中華民族の復興」にあると強調した。国内矛盾を外に転嫁して対外膨張を加速する懸念が一段と高まるわけだ。

 ≪中国リスクを見極めよ≫

 日本のとるべき道は明確だ。

 習体制は尖閣問題で一層の圧力をかけてくる可能性があるが、日本は断じて屈してはならない。

 領土・領海を守る十分な防衛力と、それを的確に動員可能にするために、憲法改正を含む法整備を急ぐ。日米同盟を基軸に豪州、東南アジア、インドなどとの政治、軍事的連携も強化すべきだ。

 過度の対中経済依存を防ぐために生産拠点を分散し、領土・領海に関する日本の主張を国際社会に普及することも必要だ。中国国内や世界の華僑社会に向けた中国語の情報発信にも力を入れたい。

 米国のアジア太平洋重視外交と連携して中国に「責任ある行動」を求める一方、不測の事態を防ぐため政治、軍事、経済、文化など幅広い対中交流を可能な限り維持拡大する工夫も欠かせない。

(次ページ)上海閥、太子党、共青団… 対日姿勢は異なる

江氏らの上海閥、太子党、胡氏率いる共産主義青年団(共青団)の対日姿勢は異なる。上海閥と太子党は概して日本に厳しい。習氏は過去の言動からも「親米反日」の傾向がうかがえ、軍の権力を掌握したことも要注意だ。

 共青団系は対日姿勢が比較的穏健とされ、李氏は滞日経験もある。それでも、尖閣奪取の攻勢を容認した胡氏が共青団直系だったことを忘れてはならない。

 日本は国益を断固堅持し、何よりも日中が衝突する最悪の事態に十分に備えた上で、互恵・共存の道を探ることが大切である。中国共産党政権は「力が全て」の相手だからだ。


習近平氏が対日強硬策主導 韓国大統領の竹島上陸など機に一変
【産経抄】
11月18日
2012.11.18 03:15 [産経抄]
 衆院解散で国民による新たな政権選択が始まったが、中国では国民の与(あずか)り知らぬところで習近平氏が最高指導者に就いた。それは中国国内の問題だが、習氏に関して日本人も忘れてならないことがある。3年前の12月、国家副主席として来日したときの天皇陛下との会見だ。

 ▼中国側は来日の半月ほど前、会見を求めてきた。外国要人が会見を希望する場合1カ月前までに申し入れるルールなので、宮内庁は難色を示した。だが中国が「副主席訪問の成否は会見にかかっている」と「圧力」をかけると鳩山由紀夫政権はあっさり特例会見を認めた。

 ▼一役買ったのが当時民主党幹事長だった小沢一郎氏である。なお抵抗する宮内庁長官を「辞表を出した後にモノを言うべきだ」と恫喝(どうかつ)まがいに受け入れさせた。小沢氏はその少し前、150人近い国会議員を含む民主党大訪中団を率い北京入りしていた。

 ▼習氏としては陛下との会見で、国内外に自らの力を誇示したかったのだろう。それがルール違反にもかかわらず簡単に実現した。しかも民主党は朝貢するかのようになびいてくる。習氏が「この政権はチョロい」と感じたことは想像に難くない。

 ▼対外強硬姿勢が目立つ習氏は「尖閣」でさらに高飛車に出る可能性がある。むろん「国内の不満を外に向けるため」との指摘もなくはない。だが3年前の経験から「尖閣も強く出れば日本が譲るに違いない」と見くびっている恐れもあるのだ。

 ▼民主党政権の失政は数え切れないが、屈服といってもいい中国への傾斜は最たるものだ。そういえば、あの訪中で、民主党議員は先を争って胡錦濤国家主席とのツーショットを撮った。選挙事務所にでも飾るおつもりだろうか。

【主張】尖閣の守り 領海警備の提起は当然だ
2012.11.24 03:10 [主張]
 日本が固有の領土である尖閣諸島をどう守り抜いていくかは、衆院選で問われる国家の立て直しの中心的課題である。

 自民党が政権公約で領海警備法の検討や海上保安庁の人員、装備拡充などを打ち出したのは極めて妥当な判断だ。

 安倍晋三総裁が必要性を訴えてきた尖閣への公務員常駐などの統治強化策が盛り込まれた点も評価したい。

 中国は1992年に領海法で尖閣諸島を自国領と明記し、政府公船による領海侵入などを繰り返している。尖閣のさらなる危機を回避するため、必要な具体策とは何かを論じ合うべきだ。

 領海警備法は、自衛隊が平時から海上保安庁や警察を支援して不法な領海侵犯を排除するためのものだ。

 国連海洋法条約では「沿岸国が無害でない通航を防止するため自国の領海内で必要な措置をとることができる」と規定しているのに、日本は国内法を整備してこなかった。中国公船による主権侵害の排除に領海警備法の制定は不可欠である。

 尖閣の現状に関し、北村隆志海上保安庁長官は「(警備体制を)恒常的にきちっとやっていくためには現在の体制では対応は難しい」と21日の会見で語り、「従来程度の増員では今の状況に長期間耐えられない」とも述べた。来年度予算の概算要求で示された150人の人員増は急務だ。

 大型巡視船の建造前倒しも進められているが、実際に使えるのは2年以上先となる。安倍氏は「退役した海上自衛隊の船を海保の船にし、即応予備自衛官を海保職員として雇う」案も提起した。こうした措置も検討すべきだろう。

 野田佳彦首相は国有化に先立ち、政府より前に尖閣購入を計画していた石原慎太郎前東京都知事から、漁船が避難する船だまりや気象観測所の建設を求められたが、応じてこなかった。

 領海警備法制定を求める意見は政府与党内にもあったが、藤村修官房長官は海保の運用改善で対応する姿勢を崩さなかった。

 野田首相は「強い言葉で外交安全保障を語る風潮が残念ながら強まってきた」と述べている。

 石原氏や安倍氏を念頭に置いた発言だろうが、中国を刺激しないよう、統治強化策をとらない言い訳にしているのなら、明らかに問題のすり替えだ。
【主張】
尖閣の領空侵犯 中国への対抗措置を急げ
2012.12.14 03:16 (1/2ページ)[尖閣諸島問題]
 沖縄県・尖閣諸島の領空を中国国家海洋局所属の航空機が侵犯した。中国機による日本領空侵犯は初めてであり、中国が実力を行使して日本を威嚇した事態といえる。

 力ずくで現状を変更する行動は、地域の平和と安定を覆す脅威であり、日本は断固たる対応を取るとともに、抑止の態勢を強めなければならない。

 日本政府が中国政府に厳重抗議したのは当然だ。しかし、海洋局は「中国領空における海空一体のパトロール」だと発表している。習近平政権はさらなる恫喝(どうかつ)を行うとみられるだけに、日本は毅然(きぜん)と対峙(たいじ)し、屈服してはなるまい。

 今回、航空自衛隊の戦闘機は侵犯機に対し緊急発進した。藤村修官房長官が「主権の侵害に断固として対応する」と述べた通り、政府は警戒監視を強め、領土防衛のための態勢強化を急ぐべきだ。

 衆院選の最中にも、中国は、海洋監視船などにより尖閣周辺海域での領海侵犯を傍若無人に重ねている。今後は、空からの侵犯も常態化する可能性が出てきた。

 空自は無線での警告、警告射撃など段階を踏み、侵犯機に退去や強制着陸を命じる措置を取れる。これらはしかし、警察行動と位置付けられ、武器使用は正当防衛に限られる。法改正で領空を守る任務や権限を明確にしなければ、領空侵犯の繰り返しは防げない。

今年9月の野田佳彦政権による尖閣国有化以降、中国公船の尖閣周辺の航行はほぼ連日で領海侵犯も13日までに計17回に上る。中国機に対する航空自衛隊機の緊急発進も、今年4~6月は15回しかなかったのが尖閣国有化以降を含む7~9月には54回と急増した。

 海洋権益の拡大を図る中国軍が、尖閣領有の既成事実化を狙って海と空で偵察や訓練を活発化させている事態を裏付ける数字だ。11月には、中国海軍初の空母「遼寧」で艦載機の発着艦訓練を成功させ、約6千トンと中国最大の漁業監視船も就役させている。

 衆院選の政権公約で民主、自民両党や日本維新の会が海上保安庁の人員・装備など警備体制の拡充を掲げ、特に自民党が「南西諸島に警察、海保、自衛隊を重点配備する」としたのは評価できる。

 今日の状況を招いたのは、尖閣で「極端な排外主義に陥ると日本が危ない」などとする政府の姿勢だ。事なかれ外交は日本を危うくしただけだと認識すべきだ。


日米安保は無効? 国連の「敵国条項」かざす中国の危険
【主張】
回顧2012 領土を守り自信取り戻せ ものづくりで経済力回復を
2012.12.29 03:18 (1/3ページ)[主張]
 日本を取り巻く国際環境がいかに厳しいかを思い知らされた1年だった。3年3カ月の民主党政権による内政・外交の迷走が最大の原因であり、それが国民の自信喪失に追い打ちをかけた。

 これを見透かしたように、習近平新体制となった中国は東シナ海などへの海洋権益拡大の野心をむき出しにした。わが国固有の領土・尖閣諸島の上空を初めて中国機が領空侵犯し、周辺海域を含む公船の侵犯も常態化した。年末の衆院選で復帰した安倍晋三政権に託された使命と責任は大きい。

 ≪国旗奪われて何もせず≫

 尖閣問題は、東京都知事だった石原慎太郎氏が「都で購入する」と表明した後、政府が慌てて国有化したが、実効統治強化に向けた措置を講じようとしなかった。

 中国側は「領土問題では半歩も譲らない」(温家宝首相)と強硬姿勢を強め、中国国内で日本排撃の嵐が吹き荒れた。反日デモで暴徒化した群衆は日系企業やスーパーを襲った。丹羽宇一郎駐中国大使の公用車も襲われ、国旗が奪われたにもかかわらず、日本政府は抗議しただけだった。

 日本領土への挑戦は、中国にとどまらなかった。ロシアのメドベージェフ首相が北方領土の国後島を再訪問し、韓国の李明博大統領も島根県・竹島に上陸した。北朝鮮は「衛星打ち上げ」と称して長距離弾道ミサイルを発射した。
 日本が各国につけ込まれたのは野田佳彦政権が尖閣問題で「平穏かつ安定的な維持管理」を繰り返し、領海・領空侵犯にも明確な対抗措置を取らなかったことが大きい。抑止の源泉となるべき日米同盟は普天間飛行場移設問題が進展しないまま空洞化が進んだ。

 国内で気がかりなのは、多くの国民が長引く経済の沈滞もあって自信を失ってしまったことだ。

 企業の平成24年3月期決算で、電機大手のパナソニックが7721億円、ソニーが4566億円、シャープは3760億円と、いずれも過去最大の最終赤字を計上した。テレビ事業の不振が大きな理由だが、衝撃的な数字である。

 日本は長く家電製品や自動車を輸出して稼いできた。だが、昨年3月の東日本大震災を機に、貿易収支は赤字に転じた。原発再稼働が困難となり、火力発電用の化石燃料の輸入が増え続けている。

 笹子トンネル事故は、日本経済を支えてきたインフラの老朽化に警鐘を鳴らした。ものづくりこそ日本の経済力の中心であり、自信を取り戻さなければならない。

 教育の荒廃も目立った。中2男子が自殺した大津市のいじめ問題は、暴行容疑などで同級生2人が書類送検、1人が児童相談所に送致された。生徒アンケートで「自殺の練習をさせられていた」などの回答も明らかにされ、教育をめぐる問題の深刻さが示された。
≪国民が結束するときだ≫

 米大リーグで活躍し、ひたむきなプレーで日本人を元気づけてくれた松井秀喜選手が引退を表明した。同選手の引退は残念だが、スポーツや学術・文化の世界では明るい話題も多かった。

 ロンドン夏季五輪で、日本は史上最多の38個(金7、銀14、銅17)のメダルを獲得した。

 競泳男子平泳ぎの北島康介選手は3大会連続2冠の期待があったが、個人種目のメダル獲得はならなかった。その北島選手を「手ぶらで帰らせるわけにはいかない」と後輩らが勇み立った。メドレーリレーでチームが団結し、みごと銀メダルを獲得した。

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作製した山中伸弥京大教授が日本人2人目のノーベル医学・生理学賞を受賞した。山中氏は米国などとの競争に勝つため「オールジャパン体制で研究が必要」と訴えて、国の支援を得た。

 山中教授は「日の丸の支援のおかげで日本が受賞した。世界の難病の方にメード・イン・ジャパンの薬を提供したい」と語ったが、国民が自信を取り戻し、日本を元気にするには全ての分野で「オールジャパン」のアプローチが有効だ。日本人は団結すれば、一人で出せない力を発揮する。

 「再チャレンジ」を掲げて再登板した安倍首相率いる自公新政権にも、同じことがいえる。憲法改正や集団的自衛権の行使容認などの公約を掲げた新政権の課題は多く、震災復興にもスピードが求められる。今度こそ短命政権に終止符を打ち、日本再生を果たしてもらいたい。
【主張】
中国機侵入 領空を守る措置は十分か
2012.12.30 03:21 [主張]
 領空侵犯に対処する航空自衛隊の任務や権限が、曖昧なまま放置されている。

 わが国固有の領土である尖閣諸島をめぐり、中国の国家海洋局所属の航空機が領空侵犯や領空への接近を繰り返している現状を考えれば、対領空侵犯措置は明確にしておく必要がある。

 自衛隊法84条は、外国航空機が国際法に違反して日本領空に侵入した場合、これを着陸させるか領空から退去させるための「必要な措置をとれる」としている。

 空自はこれに基づいて、外国機が日本の防空識別圏に入るたび戦闘機を緊急発進(スクランブル)させ、無線での警告や警告射撃などの段階を踏んで、領空侵犯機に退去や強制着陸を命じる措置をとることになっている。

 だが、警告や警告射撃などの措置は公共の秩序を維持する「警察活動」とされ、武器使用は正当防衛に限られるなど、極めて抑制的にとらえられている。

 実際に警告射撃を行ったのが、昭和62年に旧ソ連の偵察機が沖縄本島上空などで領空侵犯を繰り返した際の一度だけ、ということにも示されている。

 警告を無視して侵犯した外国機に、どう対応するかも考えておかなければならない。その意味で空自の対領空侵犯措置は不十分であり、実効性のある抑止にならないところに問題がある。

 今月13日に初めて領空侵犯した中国国家海洋局のプロペラ機(Y12)は、その後も24日から3日連続で尖閣の領空近くまで接近するなどの行動を重ねている。

 中国機が再び領空侵犯した場合でも、空自は警告射撃を行うことには慎重だという。

 直ちに日本国民の生命や安全が脅かされることはないとの判断もあるようだが、相手の攻撃を受けた場合にどう反撃するかなどは、どうなっているのか。先送りすることは許されない。

 尖閣の「領有権問題」を強調するため、中国側が領空侵犯を繰り返し、空自を誘い出す意図を持っていないのかも警戒すべきだ。そのためにも、どの段階で警告射撃を行うかなどを明確にしておくべきだろう。

 政府公船による領海侵犯などの常態化に加え、空からも尖閣奪取の動きを加速する中国の行動をいかに抑止するかが安倍晋三政権に問われている。
【産経抄】
12月31日
2012.12.31 03:04 [産経抄]
 「自分の子供等が今の自分ぐらいの年配になる頃には、ことによるともう正月に雑煮を喰うという習慣もおおかた忘れられているかもしれない」。昭和10(1935)年のはじめに、こんな随筆を書いた寺田寅彦は、その年の大みそかに亡くなる。57歳だった。

 ▼今年も寺田の著作の復刊が相次いだ。「天災は忘れた頃にやって来る」。著作に記述はなく、弟子に語ったとされる名言が、東日本大震災の発生以来、再び脚光を浴びているからだ。

 ▼寺田は、文明の力を過信して自然を侮り防災を怠る現代の日本人に、強い警告を発しているだけではない。物理学者の池内了(さとる)さんによると、クモの糸を人工的に作る研究など、今注目されている技術のアイデアをすでに持っていた。

 ▼そんな寺田に、「半分風邪を引いていると風邪を引かぬ話」と題した随筆がある。流感、今で言うインフルエンザに早めにかかった人の方が悪性になりにくい。その経験則を外交問題にあてはめていう。

 ▼「今に戦争になるかもしれないというかなりに大きな確率を眼前に認めて、国々が一生懸命に負けない用意をして、そうしてなるべくなら戦争にならないで世界の平和を存続したいという念願を忘れずにいれば、存外永遠の平和が保たれるかもしれないと思われる」。

 ▼中国が、国民の不満のガス抜きに反日運動を利用し、尖閣諸島での挑発活動を繰り返すようになったのはなぜか。日中関係が「風邪を引く」のを恐れるあまり、民主党政権が、「友好」に前のめりになりすぎた結果だとすれば、合点がいく。第2次安倍政権は、3年半に及んだ「外交敗北」から得た教訓を生かし、新年から新たな覚悟で対中政策に臨んでほしい。

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