埴輪の表情にくぎづけ にじむ地域色、豊かな造形 埼玉 |
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发布日期:2012-01-20 阅读:次) |
古代の首長たちの奥津城(おくつき)(墓所)である古墳。そこに並べられたのが動物、人、財物などの埴輪(はにわ)だ。古墳時代の、バラエティー豊かなこの造形物から、地域色や工人たちの手さばきまでを読み解こうとする展覧会が、東京、埼玉で開かれている。
東京国立博物館(東京都台東区)平成館で開催中の特集陳列「古墳時代の人々――人物埴輪の表情と所作」は、小規模ながら、埴輪の本質にじわりと迫る。
人物埴輪ばかり約30点。注目されるのが、「笠を被る男子頭部」と「下げ美豆良(みずら)の男子頭部」だ。
いずれも、まん丸にあけられた二つの目と口が特徴的。実はこの2点、有名な「踊る人々(通称・踊る埴輪)」と同じ、埼玉県熊谷市の野原古墳の出土品。「踊る人々」の魅力の一つであるユーモラスな表情はあの埴輪にとどまらず、同じ古墳の埴輪全体の特色であることがわかる。
製作集団の特色がうかがえるのが、「挂甲(けいこう)の武人」(茨城県行方市小幡出土)だ。挂甲とは小さな鉄板を綴(と)じて作ったよろいのこと。武人は上半身と下半身を別々に製作し、組みあわせて1体にするのが特徴で、こうした造形は茨城県域に多くみられるという。
女子像で注目してほしいのが着衣の表現だ。「袈裟状衣(けさじょうい)の女子」(奈良県三宅町石見出土)のような、襷(たすき)をかけ、脇の下が袋状に広がる袈裟状衣と呼ばれる衣服をつけた埴輪は、東海地方より西の地域でしか出土しない。「両手を前に出す女子」(栃木県足利市熊野山古墳群出土)などと比べれば違いは明らかだ。
考古学者たちが明らかにした人物埴輪製作の基本的ルールに、身分が高いと思われる人物は両足を分けて作り、それ以外の人物は2本の足を一体化して表現する……というのがある。
武人などは両足が表現されているが、女性像などはほとんどが一体作りにしている。同館には、特集陳列以外にも「踊る人々」など数十体の埴輪が展示されており、こうした視点で通覧するのも面白いだろう。
一方、埼玉県立さきたま史跡の博物館(埼玉県行田市)で開催中の「さきたまのハニワたち」は、埼玉古墳群の出土品から、古墳群中での埴輪の変遷を探る。中心は、瓦塚古墳などの出土品。楯を持った人なども展示され、表情の違いや共通性から、工人集団に思いを馳(は)せるのも楽しい。
珍しいのが中の山古墳出土の大型壺(つぼ)だ。古墳時代の焼き物である須恵器と同じ焼き方で作られており、須恵器の工人が、これらの製作にかかわっていたことがわかる。
ちなみに、こうした埴輪が古墳に並んだ様子を見たいのであれば、かみつけの里博物館(群馬県高崎市)がお薦めだ。墳長96メートルの八幡塚古墳には、復元された5千本を超える円筒埴輪が立てられ、内堤の一角には人物などの埴輪が樹立する。今はひびだらけの武人たちが、粛々と立ち並んでいた当時の様子がうかがえる。
▽「古墳時代の人々」は7月31日まで、「さきたまのハニワたち」は5月15日まで。月曜休み。かみつけの里博物館のみ火曜休み。(宮代栄一)
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